●サンジュリアン(牝 美浦・古賀慎明 父ハービンジャー、母サンテミリオン)
　母サンテミリオンはゼンノロブロイが送り出した唯一のGIホース。のちに牝馬三冠を達成するアパパネと同着でオークス(GI)を制した。2代母モテックはフロール賞(仏G3・芝2100m)を、3代母Sudakaはクレオパトル賞(仏G3・芝2100m)を勝っている名牝系で、配合構成も好ましいので繁殖牝馬として大いに期待できる。父ハービンジャーはキングジョージ6世＆クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)を11馬身差で圧勝した名馬。産駒は14年にデビューし、15年の総合種牡馬ランキングは16位、16年は現在12位と着実に上昇している。今年の2歳世代は好調で、ペルシアンナイト、サトノアリシア、アグニシャインなどの素質馬を含めてJRAで21頭が勝ち上がり、2歳総合ランキングで4位につけている。ヨーロッパ出身の晩成型ステイヤー血統としては大健闘といえるだろう。この馬もそれに続くことを期待したい。芝向きの中距離タイプ。

●レッドオリアナ(牝 美浦・手塚貴久 父ダイワメジャー、母シークレットジプシー)
　母シークレットジプシーは現役時代、ディスタフH(米G2・ダ6f)など3つの重賞を制したスプリンター。近い世代にStorm CatとRahyを抱えているので名種牡馬Giant's Causewayと配合構成がよく似ている。ちなみに「ダイワメジャー×Giant's Causeway」はJRAで走ったわずか5頭からブリュネット(13年フローラS-3着)、サンマルクイーン(12年ローズS-6着)、ダノンレーザー(1000万下)が出ている相性のいい組み合わせ。とりわけRahyの父Blushing Groomはダイワメジャーと相性抜群で、メジャーエンブレム、コパノリチャード、サンライズメジャーなど多くの活躍馬が誕生している。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

●プラタナスロード(牝 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母クラリネット)
　母クラリネットはカナダの一般ステークスであるフレーミングページS(芝12f)の勝ち馬。2代母Legs Lawlorは米年度代表馬Favorite Trickの半妹にあたる。Legs Lawlorの父Unbridledは父ディープインパクトと相性がよく、このパターンからダノンプラチナ、ダノンバラード、ブランボヌール、ダコールといった重賞勝ち馬が出ている。連対率31.4％、1走あたりの賞金519万円は、ディープインパクト産駒全体の24.1％、334万円を大きく上回っておりニックスといっていいだろう。母の父Giant's Causewayも父と相性のいいStorm Cat、Glorious Songを併せ持っているので悪くない。芝向きの中距離タイプ。

●レインボージャージ(牡 栗東・中内田充正 父ダイワメジャー、母スマイルトゥモロー)
　母スマイルトゥモローはオークス(GI)とフラワーC(GIII)の勝ち馬。気難しいところがあり、古馬になると道中の抑えが利かず、大逃げを打ってスタンドを沸かせることもしばしばだった。繁殖牝馬としては7頭の産駒を競馬場に送り込み、JRAで勝ち星を挙げたのは2頭で、準OPまで出世したスマイルタイム(父ブライアンズタイム/1600万下)が出世頭となっている。「ダイワメジャー×ホワイトマズル」の組み合わせからはトーセンベニザクラ(12年フェアリーS-GIII)、ダローネガ(11年デイリー杯2歳S-GII・2着)といった活躍馬が出ており、組み合わせとしては悪くない。芝向きのマイラーだろう。

●ロシニョール(牡 栗東・河内洋 父キンシャサノキセキ、母シングライクバード)
　母シングライクバードはフラワーC(GIII)3着、フローラS(GII)5着などの成績を残した。2代母シングライクトークは重賞で入着を繰り返し、3代母フリートークは重賞2勝。一族がコンスタントに走っているので信頼性が高く、本馬の半姉シングウィズジョイ(父マンハッタンカフェ)はフローラS(GII)を勝ったほかエリザベス女王杯(GI)でも2着と健闘した。本馬の父はキンシャサノキセキ。芝・ダート兼用のスピードタイプで、シュウジやモンドキャンノといったスピードタイプが代表産駒だが、母はRoberto 3×4のクロスを持つなど豊かなスタミナを感じさせるので、ウインユニファイドのように距離的な融通性のあるタイプになるかもしれない。