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今年の牡馬、牝馬3冠路線はどんな馬が勝ったのか(山本武志)

2016年12月20日(火)18時00分

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◆2歳GIの勝ち馬がクラシックでは結果を出せずにいる

 阪神JF、朝日杯FSが終わり、藤沢和厩舎がソウルスターリング、サトノアレスで史上初となる2歳牡牝GI完全制覇を達成した。その上、今週のホープフルSでは葉牡丹賞を圧勝したレイデオロが控えている。最近こそ堀、国枝、手塚厩舎などの名前を多く見るが、私が競馬にどっぷりハマり始め、競馬記者になった頃はタイキシャトル、シンボリクリスエス、バブルガムフェローなど次々と活躍馬を輩出していた頃。競馬ファンとしても、POG戦線での「名門復活」は素直にうれしい。

 ただ、最近は2歳GIの勝ち馬が翌春のクラシックでなかなか結果を出せずにいる。昨年も牝馬のメジャーエンブレムこそNHKマイルCを勝ったが、当時は圧倒的な潜在能力の持ち主だと思っていた牡馬のリオンディーズは無冠のままに引退した。牝馬で翌春も結果を出したのはウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなど歴史に名を残すような名牝クラスで、牡馬は12年の勝ち馬ロゴタイプが皐月賞を制した程度だ。

 では、今年の牡馬、牝馬3冠路線はどんな馬が勝ったのか。実は勝ち馬6頭すべてが2歳時に重賞を走ったことのない馬だった。桜花賞馬のジュエラー、オークス馬のシンハライト、ダービー馬のマカヒキは新馬を勝ったのみ。皐月賞馬のディーマジェスティ、秋華賞馬のヴィブロスは未勝利を勝ったのみで、唯一の2勝馬だったサトノダイヤモンドも新馬、自己条件の平場での連勝。じっくりと力をつける「遅咲きタイプ」が花開いた年だった。

 最近は入厩前に行われる育成技術の進歩が大きく、従来は「王道の秋始動」がメジャーだった血統馬たちも以前より早めの始動が多くなったというのは何度も書かれていること。ただ、早めに勝つことが2歳戦でバリバリ走るということではなく、ローテーションの選択肢に幅を持たせる傾向が強くなっているような気がする。先述したシンハライト、マカヒキは10月の京都で新馬勝ちしながらも年内は続戦しなかった。マカヒキに関していえば、レース後に鼻出血を発症したこともあったが、「東スポ杯かなと思っていたけど、それも状態を見てからだと思っていたしね」と当時の友道調教師に全く焦った様子もなかった。

 そのトレーナーが管理する今年のアドマイヤミヤビも同じ流れを感じさせる。2戦目で未勝利を勝った後、東京の百日草特別でのちに重賞ウィナーとなったカデナ相手に完勝した。しかし、レース直後には「マイルは忙しいし、オークスが大目標の馬。年内は使いません」とGIには見向きもしなかった。来春の桜花賞出走に関しては、今後の成長次第になるだろうが、かなり強力と感じる阪神JFの1、2着馬の牙城を切り崩せるだけの素材だと感じている。

 牡馬のGI未出走組では池江厩舎のサトノアーサーに注目したい。初戦は1着同着だったが、2か月以上間隔をあけた2戦目のシクラメン賞は上がり32秒7の豪脚で圧勝した。「今回は自己条件で確実に取りにいきました。この後はダイヤモンドと同じようにきさらぎ賞へ向かいます」。菊花賞馬の先輩の名前を出した池江調教師の言葉にも期待度の高さを感じさせた。ただ、きさらぎ賞には先述のアドマイヤミヤビも参戦を視野に入れている。もし、激突となれば、早い時期から非常に熱い戦いが繰り広げられることになりそうだ。
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