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英ダービー第1回登録発表、日本産馬3頭の名前も

  • 2016年12月21日(水) 12時00分


父フランケル、母ウオッカの牡馬も登録

 2015年に生まれたサラブレッドたちが走る2018年のG1英国ダービー(芝12F10y)に向けた第1回登録が、12月6日に締め切られ、登録を行った馬たちのリストが13日に発表された。448頭の現1歳馬が登録を済ませた中には、3頭の日本産馬が含まれていることが確認されている。

 1頭は、岡田繁幸氏のビッグレッドファームが登録した、父ハーツクライ、母マーゼリンという血統の1歳牡馬で、既にコスモインザハートという競走名がついている。

 コスモインザハートの母マーゼリンは愛国産馬で、英国と米国で走り、G1サンタマリアH(AW8.5F)2着、G2サンゴルゴニオH(芝9F)2着、G1イエローリボンS(芝10F)4着の成績を残した活躍馬だった。2番仔となる父ケイプクロスの種を受胎した状態で、2010年のタタソールズ・ディセンバーセールに上場されたところ、栄進牧場に17万ギニーで購入されて日本に輸入。通算6頭目、日本で産んだ5頭目の仔が、2015年2月21日に生まれたコスモインザハートである。

 同馬は、2016年のJRHAセレクトセールに生産者の栄進牧場から上場され、ビッグレッドファームが1600万円で購買。JBISの記録によると西園正都厩舎に入厩予定とあるが、英国ダービーの登録では管理厩舎未定となっている。

 既に馴致から初期調教の段階に差し掛かっている頃だが、調教での動きから、相馬の神様と言われる岡田繁幸氏が、高い能力と欧州競馬への適性を見出しての英ダービー登録になったものと思われる。

 残り2頭は、愛国のクールモアグループによる、日本産のディープインパクト産駒である。

 1頭は、母チェロキーIIの牡馬。母チェロキーIIもまたクールモアの所有馬で、エイダン・オブライエンが管理し、G3ラウンドタワーS(芝6F)に勝利している。2013年に日本に輸入され、この年はディープインパクトを交配されて不受胎だったが、2年目には無事に止まって2015年1月25日にノーザンファームで生まれたのが当該馬である。ちなみにチェロキーIIの父はストームキャットで、すなわち、当該馬が背景に持つのは「ストームキャット×ディープインパクト」というニックス配合となる。

 残り1頭は、母メイビーの牡馬。母メイビー(その父ガリレオ)もまた、クールモアが所有してエイダン・オブライエンが管理した馬で、2歳時は5戦し、G1モイグレアスタッドS(芝7F)、G2デビュータントS(芝7F)、G3シルヴァーフラッシュS(芝7F)という3重賞を含む5連勝をマーク。2歳牝馬チャンピオンの座に輝いている。3歳時は勝てなかったが、G1英千ギニー(芝8F)3着などの成績を残した後、2013年に日本で繁殖入り。2頭目の産駒となるのが当該馬である。2014年に生まれた初仔は父ディープインパクトの牝馬で、パヴレンコという競走名となった同馬はエイダン・オブライエン厩舎に入厩。今年10月29日にレパーズタウンのメイドン(芝7F)でデビューし、3番人気に支持されたが、出遅れて後方からの競馬となり11着に敗れている。

 クールモア所有のディープインパクト産駒2頭は、1歳秋まで日本で過ごした後、今年10月21日に愛国へ向けて輸送されている。

 2018年の英ダービー登録馬にはもう1頭、愛国産のディープインパクト産駒も含まれている。仏国の名門オーナーブリーダーであるニアルカス家のフラックスマン・ホールディング社が登録を行った、母セカンドハピネスの牡馬がその馬である。G1BCマイル(芝8F)連覇、G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)連覇を含め、10ものG1を制した名牝ミエスクの直仔で、すなわち、キングマンボやイーストオヴザムーンといったクラシックホースの妹にあたるという、超良血馬がセカンドハピネスだ。自身は未勝利に終わった後、現役時代はニアルコス家の所有馬で、日本で種牡馬入りしたバゴを配合することを目的に、2006年に日本で繁殖入りしている。同馬の4番仔で、セレクトセールに上場されて金子真人ホールディングスの所有馬となり、日本で走ったのがマンボネフューで、4勝した他、G2スプリングSやG3共同通信杯で5着となった同馬は、1億円近い賞金を収得している。

 セカンドハピネスに初めてディープインパクトが交配され、2012年に生まれたテイルオヴライフは、仏国でデビューして新馬勝ちを収めた後、G1仏二千ギニーに駒を進めるまでになったが、残念ながら重賞勝ちは収めていない。

 セカンドハピネスは、2014年10月15日に当該馬を受胎した状態で日本を離れ、2015年4月9日に愛国で当該馬を産んでいる。ちなみにセカンドハピネスは今年5月10日に、父ガリレオの牡馬を出産している。また、セカンドハピネスの父もストームキャットだから、この馬もまた「ストームキャット×ディープインパクト」というニックスを背景に保持している。

 2018年の英ダービーにはこの他、谷水雄三氏の所有馬で、愛国で繁殖生活を送るウオッカの4番仔となる、父フランケルの牡馬も登録を行っている。ウオッカの産駒からはこれまで、目立った活躍馬は出ていないが、これまでの子がいずれも父シーザスターズだったのに対し、当該馬の父は、今年2歳の初年度産駒が驚異の活躍を見せ、種牡馬としても怪物ぶりを発揮しているフランケルである。母を彷彿とさせる仔が、そろそろ出て欲しいものだ。

 なお同馬は、11月28日に日本に到着をしており、日本調教馬として2018年の英国ダービーを目指すことになる模様だ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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