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例年地方馬が活躍!ラブバレットとオヤコダカに期待/兵庫ゴールドトロフィー

  • 2016年12月27日(火) 18時01分


創設以来、馬券圏内に食い込む地方馬多数


 12月28日(水)、園田競馬場で行われる『第16回兵庫ゴールドトロフィー(JpnIII)』。東京大賞典がダート長距離の頂上決戦なら、こちらは短距離戦線の一年を締めくくるレース。2007年からはハンデ戦となりました。

 第1回から昨年まで優勝馬はすべてJRA所属馬が占めていますが、2、3着には地方所属馬が来ることが多く、地方馬の分析が馬券検討をする上で大事なポイントとなっています。

 そこで今回は、創設以来どんな地方馬が活躍しているのか上位に来た馬たちを振り返ってみましょう。

 2001年、初代チャンピオンに輝いたのはJRAの牝馬ゲイリーイグリット。その第1回でいきなり6番人気2着に健闘したのが愛知のブラウンシャトレーでした。安部幸夫騎手とのコンビで各地の重賞で活躍した記憶に残る1頭です。

 さらに、3着も愛知のゴールドプルーフ。この年の白山大賞典で3着。前走・全日本サラブレッドC(2004年で廃止)を制していました。その後2003年にはJRAの東海S(中京)も制しています。

 さらに4着は同年の兵庫チャンピオンシップを制した兵庫のロードバクシンが入り、第1回は2着から4着を地方勢が占めました。

 2003年は1着スターリングローズ、2着ノボトゥルー。3位入線のノボジャックが進路妨害により降着となり、3着となった笠松のレジェンドハンター。1999年には芝の重賞・デイリー杯3歳S(当時の表記)を制し、2003年11月には4連勝で全日本サラブレッドCを制覇。その際に破った相手はスターリングローズでした。

 2005年には前走で道営記念を制したホッカイドウ競馬のバンブーボカが3着。2006年にはスパーキングサマーC3着、クラスターC4着と上位争いをしていた船橋のコアレスデジタルが3着。

 2008年はアルドラゴンが地元・兵庫所属馬として初めて2着に健闘(デビューはJRAから)。アルドラゴンはこの年のJBCスプリントでバンブーエールの3着、前走・園田金盃を制して臨んだレースで、勝ったスマートファルコンの2番人気に推されていました。

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▲地元馬初の2着に健闘したアルドラゴン(写真は2008年JBCスプリント出走時、撮影:高橋正和)


 2010年は前年の全日本2歳優駿を制してNARグランプリ年度代表馬に輝いた笠松のラブミーチャンが3着。その後の彼女の活躍はご存知の通りです。

 2011年の3着は、この年の兵庫ダービー馬・兵庫のオオエライジン。地元デビューで生え抜きの馬が初めて3着に入ったことが強く印象に残っています。翌年2012年も再び3着に健闘。全国各地の重賞レースに積極的に遠征し、2014年には川崎の報知オールスターCも勝利しました。

 2013年、ドリームバレンチノの2着は51kgと軽ハンデだった高知のエプソムアーロン。同年には福永洋一記念も制しています。

 2014年の2着は浦和のジョーメテオ。2013年浦和のゴールドC、2014年笠松グランプリを制した重賞ウイナー。3着は高知のサクラシャイニー。JRAから高知に移籍後2連勝。3戦目でここを3着。その後は2015年の福永洋一記念を勝つなど現役を続けています。

 昨年2015年の3着は北海道のポアゾンブラック。元・兵庫所属馬で2歳時は大晦日の園田ジュニアCを勝利。2012年兵庫ダービー2着。その後JRAに移籍したのち2015年にはホッカイドウ競馬へ再び移籍し、クラスターCでダノンレジェンドの2着となるなど短距離戦線で上位の実力があることを示していました。昨年のこのレースを最後に現在長期休養中。復帰戦が待たれます。

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▲昨年3着のポアゾンブラック、復帰戦が待たれる(写真は2015年JBCスプリント出走時、撮影:高橋正和)


 駆け足で過去の地方の活躍馬を見てみましたが、地方の重賞を勝っている、あるいは掲示板を賑わしている馬であれば十分チャンスあり! 今年も地方馬が馬券圏内に来るのか?! はたまたJRA勢を撃破し、ついに地方馬による初制覇が実現されるのか?! それでは今年の出走馬をご紹介しましょう。

斤量53kgは魅力的!地方馬初の優勝なるか


 JRA勢の筆頭は成長著しい4歳馬ノボバカラ。今年1600万下から3連勝でかきつばた記念を制し重賞初制覇。北海道スプリントCはダノンレジェンドの2着、続くプロキオンSで重賞2勝目。東京盃9着、武蔵野Sも9着と成績を落としましたが、前走・カペラSでは4走ぶりに先手をとってそのまま逃げ切り、重賞3勝目を挙げました。カペラSは最内1番枠からの逃げ、今回は大外12番枠に入り、どんな戦法をとるかにも注目。初めて背負う58kgが鍵となりますが、5戦4勝【4-0-1-0】得意の1400mで当然中心となる存在です。

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▲前走カペラSで逃げ切り勝ちを見せたノボバカラ(撮影:下野雄規)


 ニシケンモノノフはプロキオンSでノボバカラの2着、テレ玉杯オーバルスプリントでレーザーバレットの4着、前走・カペラSでもノボバカラの2着と惜敗続きのレースが続いています。負担重量57kgは2015年6月の安芸S(阪神・1600万下)、今年4月の天王山S(京都・OP)を勝った時にも経験済み。叩き2戦目の今回、ノボバカラを差し切ることが出来るでしょうか。

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▲ニシケンモノノフ、重賞2勝目なるか(写真は2016年天王山S優勝時、(C)netkeiba.com)


 9歳馬ドリームバレンチノは2013年の覇者で、昨年も2着と相性のいいレース。2012年函館スプリント、2013年シルクロードSを制した芝の重賞ウイナーが2013年のJBCスプリント(金沢)でダートに転向。初ダートでエスポワールシチーの2着に大健闘。続く兵庫ゴールドトロフィーを制しダートグレード競走初制覇。2014年にはJBCスプリント(盛岡)を勝ってJpnIのタイトルを手にしました。今年も9月の東京盃を勝利。昨年同様トップハンデ59.5kgを背負いますが、まだまだ上位を脅かす古豪です。

 8歳馬グレープブランデーは2011年のジャパンダートダービー、2013年のフェブラリーSを制しているJpnI・GIホース。今年に入っても1月の根岸Sでモーニンの3着、4月の東京スプリントでコーリンベリーの2着に健闘。その東京スプリント以来2回目となる武豊騎手とのコンビでひとつでも上の着順を狙います。

 期待が集まる地方馬は岩手のラブバレット。ダートグレード競走初挑戦だった昨年のさきたま杯では見せ場十分の競馬で4着。クラスターCでは2015年、2016年と2年連続でダノンレジェンドの3着に健闘。地元岩手の重賞の数々を手にし、笠松グランプリ連覇(2015年、2016年)を飾るなどダート短距離戦線で一目置かれる存在。53kgという負担重量は魅力的。馬券圏内はもちろん、地方勢初の優勝も狙えそうです。

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▲2015年さきたま杯で4着に好走した岩手のラブバレット(写真は2016年さきたま杯出走時、撮影:武田明彦)


 前走・笠松グランプリでラブバレットの2着だった北海道のオヤコダカ。地元の重賞連勝を飾り、今年のホッカイドウ競馬を牽引した4歳馬。11月の道営記念は1番人気で2着でしたが、勝ったタイムビヨンドが先日のクイーン賞で強豪相手に3着に来たことを考えれば、この馬の走りにも期待がかかります。ダートグレード競走では2歳時に兵庫ジュニアグランプリで2着。園田競馬場の1400mを経験しているのは強みで、こちらも負担重量53kg。

 地元兵庫のドリームコンサート。昨年の兵庫ゴールドトロフィーで4着。今年に入ってから園田競馬場のレースでは5戦3勝【3-1-1-0】と絶好調。昨年以上の走りに期待。

 冒頭の過去の地方馬の検証からも、ラブバレットとオヤコダカはその戦歴から上位を脅かす資格十分。JRAの厚い壁を今年こそ破り、地方馬初の勝利なるか?! 夢のある一戦になりそうです。

※次回の更新は明日12月28日(水)18時。今年一年の総決算、大井競馬場で行われる「東京大賞典」のコラムをお届けします。



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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