地方競馬ノート-ダートグレード競走回顧/斎藤修

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強気の先行策がズバリ!ニシケンモノノフ/兵庫ゴールドT・園田

2016年12月29日(木)18時00分

注目数:13人


鞍上の勝負強さには恐れ入った


 ゲート入りに時間がかかった。グリーンチャンネルの中継でスタジオの中にいて、何が原因なのか映像ではわからず、アナウンスなどでも伝えられず。あとから聞いたところによるとオヤコダカのゲート入りに手間取ったということだった。そしてオヤコダカの馬体重は前走笠松グランプリから-15kgの550kg。今年2戦目、赤レンガ記念のときは552kgで勝ってはいるのだが、それにしてもここ3戦は560kg台の半ばで走っていたから、輸送の影響などがあったのかもしれない。

 先行タイプが何頭かいて、予想通り先行争いが激しくなった。最内枠のラブバレットが好スタートを切ったが、トウショウセレクトが交わそうかという勢いですぐに並びかけていった。しかし二の脚が速いランドクイーンが、51kgという軽量もあって一気にハナを奪った。

 意外だったのは、ニシケンモノノフがそのランドクイーンに並びかけるような勢いで2番手を取りに行ったこと。今回人気を集めた2頭ノボバカラとニシケンモノノフは、今年ワンツーの決着が2回。ともにノボバカラが逃げるか2番手からそのまま押し切り、ニシケンモノノフは中団から差を詰めたものの届かずというレース。しかし今回は逆の展開。それでノボバカラの内田博幸騎手は泡を食ったというわけでもないのだろうが、2コーナーを回ったところで早めに並びかけていった。ニシケンモノノフの横山典弘騎手も譲らず併走。外を回ったノボバカラはかなり脚を使わされる形になり、それで直線失速となった。

 ニシケンモノノフは、ゴール前でドリームバレンチノに迫られたものの、これをクビ差でしのいだ。2歳時、今回と同じコースの兵庫ジュニアグランプリ以来の重賞勝ちとなった。それにしてもこれだけ先行タイプが揃ったなかで、それらに真っ向勝負で勝ちきった鞍上の勝負強さには恐れ入った。不良馬場ということもあったのだろうが、横山典弘騎手は過去に2度、昨年の武蔵野Sと師走Sでニシケンモノノフの手綱をとっていて、そのときもやはり2、3番手の好位追走という競馬をしていた。その2戦は結果こそ出ていなかったものの、先行してというイメージはあったのだろう。

 ドリームバレンチノは、前半は9番手を追走、3コーナー手前から大外を回って位置取りを上げていってということでは、メンバーはかなり変わったものの、昨年の再現といえるようなレースをした。

 このレースは、第1回から2012年の第12回まで、もれなく1分26秒〜27秒台の決着だったのが、2013年以降のここ4年は勝ちタイムが1分25秒5から1分26秒0の間に収まっている。近4年の、前半4F + 上り3F = 勝ちタイムを並べてみると……

 2013年 48.3 + 37.2 = 1.25.5
 2014年 48.2 + 37.5 = 1.25.7
 2015年 48.2 + 37.8 = 1.26.0
 2016年 48.1 + 37.7 = 1.25.8

 驚くほど前・後半のペースと勝ちタイムが似通っている。ちなみにその前の2年間の前半4Fは、50.6(2011年)、49.4(2012年)というもので、ここ4年は前半が厳しいペースになっていることがわかる。

 ドリームバレンチノは、2013年には59kgで出走して勝利、2014年は不出走で、昨年と今年が59.5kgでいずれも2着。前半は脚を溜め、末脚を生かすというレースぶりが、このレースの流れに合っているのだろう。

 それにしても昨年も今年も勝ち馬の斤量は57kg。2.5kg差があって、それぞれ3/4馬身、クビという着差だから、JBCスプリント(2014年・盛岡)でJpnIを“勝ってしまった”がゆえに背負わされている斤量が恨めしいことだろう。何より昨年が8歳、そして今年は9歳でという結果には恐れ入る。

 ノボバカラは直線で脚が上って、ドリームバレンチノから3馬身離れての3着。強いときは強いが、負けるときはあっさりというタイプ。たとえば3走前の東京盃では先行争いの2頭を前に見る位置を進んだが、馬群に包まれてなのか、砂をかぶったからなのか、直線でレースをやめてしまった。今回は大外枠ゆえ砂をかぶるということはなかったが、何かしらレースをやめてしまう要因があったのだろう。

 岩手のラブバレットは、ノボバカラを半馬身とらえきれずの4着。最内枠ゆえ逃げるかと思ったが、ランドクイーンが外から来たところで山本聡哉騎手はすぐに控えた。控えて外に持ち出してということを考えていたと思われる。コース取り的にはややロスの多い競馬になったのが残念だった。中央勢とのハンデ差から、個人的にはチャンスがあると見ての本命だったが、厳しい流れになると底力の差があることを感じさせられた。

 オヤコダカはラブバレットの直後を進み、3コーナーあたりからは、内から並びかけ競り合った結果がクビ差の5着。冒頭で触れたように、馬体減やゲート入りを嫌がってということを考えれば、勝ち馬から0秒7差は好走といっていいのではないか。ホッカイドウ競馬のシーズン終了後、遠征しての笠松グランプリが2着、そして今回と、来年に期待が広がる結果だろう。とはいえ地元で出られるダートグレードは北海道スプリントCしかなく、さすがに1200mは短いだろうから、全国区を目指すのであれば常に遠征のリスクはついてまわることになる。
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コラムニストプロフィール

斎藤修
斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。