常石勝義&赤見千尋が見つけた 競馬の職人/常石勝義&赤見千尋

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敵は去年の自分自身!木幡巧也2年目の誓い

2017年01月10日(火)18時00分

注目数:38人
木幡巧也騎手1

1年目で45勝を挙げた関東のホープ・木幡巧也騎手にインタビュー (C)netkeiba.com



感謝の気持ちを忘れずに

赤見:デビュー年は大活躍でしたね!

木幡:本当に恵まれました。師匠の牧先生、スタッフの皆さんのバックアップのお蔭です。デビュー週も8頭乗せてもらったんですけど、その中で牧厩舎が7頭ですからね。かなりバックアップしてもらいました。初勝利も自厩舎で勝たせてもらって、本当に牧先生がいての僕なので、このまま初心を忘れずいきたいです。

赤見:1年目で45勝は素晴らしい数字です。いい波に乗れました?

木幡:いい波に乗って、勢いがついたと思います。3キロの減量もあったし、牧先生が僕に求めるものはとにかく前に行くことだったので、その通りに乗って、結果を出すことができました。弟子にしてくれる先生は、今じゃあんまりいないって聞きますけど、その中で僕を弟子にしてくれて、本当に感謝しています。馬主さんのご理解があってこそだし、牧先生が馬主さんに頭下げて乗せてもらっているので、感謝の気持ちでいっぱいです。

木幡巧也騎手2

「牧先生に感謝の気持ちでいっぱいです」と語る木幡騎手。左は牧調教師 (C)netkeiba.com


赤見:お兄さんの初也騎手とワンツーする場面が何度もありましたけれども。

木幡:そうですね。普段はまったく気にしてないんですけど、夏のローカルの時、兄貴が1着で僕が2着のことが多かったんですよ。その時は落ち込みましたね。やっぱりハナ差とかで負けるのは悔しいし、それが続くと落ち込みます。

赤見:いいライバルですか?

木幡:ライバルっていうか家族なので、お互い切磋琢磨して上にいければなと思ってます。普段は競馬の話はしないですね。アドバイスをもらうことはありますけど、競馬場に居る時くらいです。父もデビューの頃と変わらず、パトロールビデオを見ながら、一緒にあーだこーだってやってくれるので、本当にいい環境で競馬に集中できています。

赤見:デビュー年から45勝もしたら、『俺行けるぜ』みたいになりませんか?

木幡巧也騎手3

3月27日の中山1Rで初勝利。そこから昨年は45勝を挙げた(撮影:下野雄規)


木幡:そんな、ムリですムリです(笑)。だって戸崎さんがリーディングで187勝ですよ?!5倍くらい違うのに、40なんて目じゃないでしょう。ここでとどまりたくないですし、まだ1年目が終わったところだし、もっと上に行きたいですね。

赤見:謙虚ですね。

木幡:謙虚になりますよ。ジョッキーなんて安定した位置にたどり着くまですごく時間が掛かるし、そこに行けたとしても一瞬で落ちてしまうこともあるし。年明けて2勝できましたけど、それでも安心できないです。そういうこと考えたら、調子こけないです(笑)。

赤見:2年目の気持ちというのはいかがですか?

木幡:1つ1つ大事にというのは変わらないですけど、今年はなんといっても、去年以上の勝ち星を挙げたいです!それに、今年から自分の下にも後輩ができるし、うかうかしてられないですね。

赤見:いよいよ木幡家三男の育也くんがデビューです。

木幡:特に気にしてはいないけど、そういうことも考えておかないと、後輩には負けたくないし、気合を入れ直しました。

赤見:そういう意味での坊主ですか?

木幡:これですか?(笑)。気持ちの問題というか、髪伸ばしてチャラチャラしても…周りからどういう目で見られるかわからないですし、当分伸ばすつもりはないですね。坊主が一番安定してるんじゃないですか(笑)。

赤見:今は2キロ減ですが、1キロ減目前です。減量に関してはいかがですか?

木幡:3キロと2キロはたいして変わらないかなと思います。みんな1キロになったら違うっていいますけど、あんまり気にしないようにしてます。特別戦とかも勝たせてもらっているので、減量のない状態も経験できているのはありがたいですね。今は減量があるのがラッキーくらいな気持ちで乗って、なくなったらまた考えます。

赤見:デビューして結果を出して、環境は変わりました?

木幡:変わらないですし、変わっちゃいけないと思いますね。それは若いからとかじゃなくて、この先30歳40歳になっても変わっちゃいけないんじゃないですかね。師匠がいて、父がいて、たくさんの方々の応援のお蔭で自分があるっていう。1頭乗せてもらうことの大変さ、大切さを噛みしめながら乗りたいです。

赤見:さっきも言いましたけど、本当に謙虚ですね。

木幡:自分、北海道に飛ばされてるんで、その時の経験が大きいのかなって思います。

赤見:飛ばされてる?

木幡:騎手学校で留年して、日高の育成牧場に3か月くらい行ったんですよ。そこで初めて鞍を付ける馬を育成する場面などを学んで、サラブレッド1頭に関わる人たちの苦労を知ることができました。ジョッキーは華やかですけど、その後ろにはたくさんの人たちの支えがあるってことを忘れちゃいけないと思っています。

赤見:いつ頃留年が決定したんですか?

木幡:卒業する2週間くらい前ですね。初めての挫折だったのですごくショックでしたけど、今振り返れば逆に良かったのかもしれません。そのまま順調にデビューしてたらどうだったかわからないですから。今乗り越えられているし、この先もっと大きな挫折があるかもしれないので、いい経験だったと思っています。

赤見:ここまで目立つ活躍をすると、すでに名前で馬券買う方もいらっしゃると思いますが、プレッシャーはありますか?

木幡:プレッシャーはありますよ。こないだも1番人気に騎乗しましたけど、持ってこられなかったし…。でも注目してもらうのはすごく嬉しいし、有難いです。僕が乗っているということで馬券を買ってもらえることは素直に嬉しいので、その期待にもっと応えられるようになりたいです。少しでも貢献できるようになりたいですね。

赤見:目指す人はどなたですか?

木幡:そうですね、戸崎さんはすごいと思います。リーディングってこともありますし、一緒にレースに乗っていると、自分の行きたい位置に常にいるんですよ。見習いたい部分が多いです。戸崎さんだけではなく、先輩ジョッキーはみんな上手いですよ。追うことなんて誰でもできるけど、道中の位置取りだったり、息の入れ方だったり、そういうのは経験を積んでこそなところがありますから、やっぱり違うなって思います。

赤見:けっこう稼いだと思いますが…大きな買い物はしましたか?

木幡:う〜ん、特にないですね。欲しいと思うものもないですし。家族でよくご飯に行くんですけど、その時に出すことくらいです。

赤見:素敵なご家族ですね。

木幡:そうですね。仲いいと思います(照)。

赤見:では、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

木幡:去年は恵まれた結果で45勝することができました。応援していただき、本当にありがとうございます。今年に入ってそろそろ1キロ減になるので、もっと技術を向上させて、感謝の気持ちを忘れずにがむしゃらに追っていきます!

木幡巧也騎手4

「感謝の気持ちを忘れずにがむしゃらに追っていきます!」

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コラムニストプロフィール

常石勝義&赤見千尋
常石勝義&赤見千尋
常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

赤見千尋
1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミックシリーズ」の「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍中。