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アロゲイトがペガサスワールドCへ向けて追い切り

  • 2017年01月11日(水) 12時00分


雨続きからようやく馬場が回復

 出走を予定していた1月1日のG2サンパスカルS(d8.5F)を、馬場悪化のため取り消したアロゲイト(牡4、父アンブライドルズソング)の追い切りが、8日(日曜日)にサンタアニタ競馬場で行われた。この日、サンタアニタでは競馬開催が組まれていたが、アロゲイトが同厩のアンインヴァイテッドとともに馬場に入ったのは、第1競走(12時30分発走)のスタートを45分後に控えた11時45分で、すなわち、観客たちが見守る中で追い切られる「レースコース・ギャロップ」の形がとられた。

 マーティン・ガルシアが騎乗したアロゲイトは前半、アンインヴァイテッドを2馬身前に見る位置を追走。6ハロン標識から追い切り態勢に入ると、最初の2ハロンで24秒51という時計を刻んでアンインヴァイテッドと併走状態に持ち込み、次の2ハロンで23秒45を計時。残り2ハロンを、11秒93、12秒05で上がり、最後はアンインヴァイテッドを3馬身突き放してフィニッシュ。5ハロン=59秒89、6F=1分11秒94という時計をマークした。公式な追い切りは6Fだったが、アロゲイトはゴール後の1Fを12秒62、次の1Fを12秒44で駆け抜け、7F=1分24秒56、1マイル=1分37秒0の時計が刻まれている。

 この動きに、まずはひと安心したのが、同馬を管理するボブ・バファート調教師だった。例年通り、クリスマス翌日の12月26日に開幕したサンタアニタの冬春開催は、初日こそ良馬場で行われたものの、以降は雨続きで、朝の調教でも午後の競馬開催でも、関係者はおおいに振り回されていたのである。例えば12月31日に行われたG1アメリカンオークスは、本来ならば周回コース脇にあるヒルサイドコースと呼ばれる下り坂からスタートするはずだったのが、路盤が緩んで下り坂を走るのは危険と判断され、距離を10Fから9ハロンに短縮し、周回コースのみを使っての施行となった。

 1月1日のG2サンパスカルSを、当日に取り消したアロゲイトも、馬場悪化のため朝の調教でも本格的な攻め馬を消化できず、12月27日に6Fから追われて以降、時計になる追い切りを1本も行っていなかったのだ。昨年8月、「真夏のダービー」と言われるG1トラヴァーズS(d10F)で重賞初制覇を果たし、まさしく彗星のごとく、北米ダート中距離戦線の最前線に躍り出たのがアロゲイトだ。2着につけた着差が13.1/2馬身で、勝ち時計の1分59秒36はサラトガ競馬場の10F戦で史上初めて2分の壁を破るトラックレコードという、超絶パフォーマンスで一躍スターダムに伸し上がった彼の、真価が改めて問われたのが11月5日のG1BCクラシック(d10F)だった。

 アロゲイトはそこで、北米古馬ダート戦線の絶対王者カリフォルニアクロームを2着に退けて優勝。世代交代を明確な形で成し遂げ、レイティング134を獲得して世界ランキングでも首位に立ったアロゲイトが、2017年最初の目標に掲げたのが、1月28日にガルフストリームパークで行われるペガサスワールドC(d9F)だった。そしてそこには、今年春の種牡馬入りが決まっているカリフォルニアクローム(牡6、父ラッキープルピット)も出走を予定しており、すなわち、BCクラシックのリターンマッチが実現する運びなのである。

 ところが、ペガサスワールドCへ向けた足慣らしとして出走予定だったG2サンパスカルSを取り消しただけでなく、その後も追い切りが出来ない状況に陥り、アロゲイトの周辺からは「ペガサスワールドC回避もやむなし」の声も挙がりはじめていたのであった。

 馬場がようやくGoodまで回復したことから、この日に追い切ることを決めたバファート師は、アロゲイトの動きを確認すると「今日の調教には大変満足しています」とコメント。「ただしこの後、馬がどのように変わってくるかが肝心です。今日の馬場も、理想的ではありませんでしたが、アロゲイトは泥んこが好きですからね。名馬は道悪を厭わないものです」と付け加えた。次の追い切りがいつになるか、ガルフストリームパークにはいつ移動するかについて、バファート師は「お天気と相談」と答えている。

 一方、G1BCクラシックで2着に敗れた後、12月17日にロスアラミトスで行われたウィンターチャレンジS(d8.5F)を楽勝したカリフォルニアクロームは、1月6日(金曜日)に本拠地のロスアラミトスからガルフストリームパークに移動。アロゲイトがサンタアニタに追われた8日朝に、初めてガルフストリームパークのメイントラックに入り、ダグで2周して体をほぐしている。

 ペガサスワールドC出走を目指す馬では、昨年のG1ケンタッキーダービー3着馬で、11月25日にチャーチルダウンズで行われたG1クラークH(d9F)で待望のG1初制覇を果たしたガンランナー(牡4、父キャンディライド)が、7日(土曜日)に拠点としているルイジアナ州のフェアグラウンズ競馬場で追い切られ、6F=1分13秒2の時計をマークした。ただし、フェアグラウンズ競馬場の厩舎地区では年末から、「EHV-1」と称されるヘルペスウィルスの発症が確認されており、現段階では移動禁止措置がとられている。これが解除されない限り、ガンランナーもフェアグラウンズから外に出ることが出来ず、従ってペガサスワールドCにも出走出来ない状況となっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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