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ここまでのコンデュイット産駒とはひと味違う/京成杯

  • 2017年01月14日(土) 18時00分


コンデュイット産駒はこれまでよりずっと頑張っている

 土曜日の牝馬限定の「菜の花賞」1600mに出走予定だったニシノアモーレが、水曜日の追い切りを終えたあと、ダブル登録のあった男馬相手のG3「京成杯」2000mに出走を変えてきた。

「これなら牡馬相手でも…」というほどでもないが、マイルでは距離不足ははっきりしているコンデュイット(父はミルリーフ系のダラカニ)産駒。新潟1800mの新馬の勝ちっぷりからして、適距離というなら2000mの京成杯ははっきりしている。そうは相手の強くない重賞でもあり、力試しの挑戦、というのが変更の背景か。

 でも、ニシノアモーレ。スピードに欠け、切れ味も物足りなかったここまでのコンデュイット産駒とは、ひと味違うのである。高速の切れを求められる夏の1800mの新馬を、上がり33秒9で楽勝。ハロン10秒台の鋭い切れで抜け出した地点でも余裕を感じさせる脚さばきだった。夏の平坦新潟の切れ味にだまされてはいけないことを承知で、強気の力試しに出たニシノアモーレに注目したい。2000mなら楽に追走できる。

 父コンデュイットは、キングジョージ六世&クイーンエリザベスSを制し、ブリーダーズCターフを連勝した名馬。ジャパンCで結果が出なかったように、日本向きのスピード能力と鋭さには心配があったが、まさか2-3年で評価が急落し、たった6年の供用でガッカリした岡田さんが見限るほど不成功に終わるとは考えられなかった。ここまで競走年齢に達した4世代の産駒から、現在までJRAの重賞勝ち馬は出ていない。

 だが、あれだけの名馬。成功種牡馬ではなくとも、まるで潮が引いて行くように衰退したミルリーフ系であっても、中にはザグレブのコスモバルクのような馬を残してアイルランドに帰った可能性があるのではないかと考えたい。

 ニシノアモーレの母はマイラーズCの2着馬。祖母は桜花賞などG1を3勝もしたニシノフラワー。母方の豊かなスピードが、スタミナ系のコンデュイットと、絶妙に結びついた可能性は否定できない。小柄な馬体も実は心配ない。ニシノフラワーの桜花賞は420キロだった。ミルリーフも、イギリスの国立スタッドが「小柄だからこそ、脚元などに抱える問題が少ないのだ」と、ビッグレースを連勝し、種牡馬となっても大成功した馬である。

 いま、中山の5レースが終了。出馬表を良く見たら、勝ったマイネルラプティスも、2着のコンボルドも、そろってコンデュイット産駒だった。この3歳世代はもうかなり少ないはずだが、コンデュイット産駒はこれまでよりずっと頑張っているのである。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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