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データで振り返る“2016年小牧太”不動の得意条件とは!?

  • 2017年01月17日(火) 18時01分
小牧太

今回はリクエストに応え、ナムラビクターの思い出も語ってくれました


年明け早くも3勝をマークし、「ひとつでも多く勝つ」という今年のテーマを着々と遂行しつつある小牧騎手。今回は、そんな小牧騎手の2016年をデータで振り返り、不動の得意条件をピックアップしてみました。普段「数字はあまり気にしない」という小牧騎手ですが、果たしてその反応は!? また、ユーザーからのリクエストに応え、ナムラビクターの思い出も語ってくれました。
(取材・文/不破由妃子)


ナムラビクターは、めっちゃ癖のある馬やったね

──今回は、『データで振り返る2016年小牧太』として、昨年のデータをいろいろ調べてきたんですけど、年間を通して連対率No.1のコースがありました。連対率45.5%で、勝率も27.3%と好成績。どこのコースかわかりますか?

小牧 ん〜、乗り数が少ないから高い数字が出てるんちゃう? どこやろ…福島? いや、函館か?

──え〜、去年、函館には行っておりません(苦笑)。

小牧 あ、そうか(笑)。わかった! 阪神のダート2000mやろ?

──当たりです(※阪神ダ2000mで3回以上騎乗した騎手が対象)。

小牧 確かに阪神のダート2000mは、昔からめっちゃ得意。年末はもうひとつやったけど、僕ね、それはみんなに言ってるんですわ。ワンダースピードで出したレコード(07年12月23日・ベテルギウスS1着・2分1秒0)も、いまだに破られてないし。

──ちなみに阪神ダート2000mは、昨年一年間で18番組あって、そのうち3勝が小牧さん。2勝以上しているのは小牧さんだけです。

小牧 そうかぁ。得意意識はあったけど、数字は全然気にしてなかった。ダートは大半がそうやけど、あのコースもとにかく前に行かなアカンねん。京都の1900mとは全然違う。それに、阪神のダート2000mは芝スタートやから、出して行っても馬が躓いたりせえへん。僕ね、スタートは結構得意やから。

──そうですね。結果的に、いつもいい位置が取れると。

小牧 そうやね。やっぱり出して行けるっていうのは大きいね。そもそもダート2000mを使う馬はマイペースの馬が多い。ということは、前々で競馬をしてもバテない。

──なるほど。ちなみに、ダートは逃げそのものが好成績で、勝率は30%で3位タイ、連対率は45%で5位です(※年間20回以上、ダートで逃げた騎手が対象)。

小牧 昔はスタートが下手やったんやけどね。今はむしろ、スタートに賭けているところがあるから。そもそも最近は、中団とか後ろでジーッとしている馬が有利な競馬ではないからね。僕も変わったし、競馬自体も変わったよ。なんせ好位で競馬せな。

──もう少し突っ込むと、ダートの逃げは500万クラス以上での成績が良く、未勝利を除くと勝率38.5%、連対率53.8%です。しかも人気を問わずですから、やはり技術を感じます。

小牧 あんまり数字は気にしたことがなかったけど、もっとアピールしていこか。やっぱり1、2コーナーをうまいこと乗るのが、最後まで残す秘訣やね。

──あと、去年は52キロにけっこう騎乗されたじゃないですか(年間7鞍)。勝ったのはワンダーピルエットだけでしたが、複勝率は71.4%で、年間5回以上52キロに騎乗した騎手のなかでは圧倒的な数字でした。

小牧 それはまぁ、チャンスがありそうな馬やから、52キロでも依頼を引き受けたわけで。むしろ、1つしか勝てなかったのが情けないわ。しかも、ほとんどが人気やったやろ?

──いや、人気を問わずです。クリノラホールは6番人気2着でしたし(8月6日・小倉9R・都井岬特別)。

小牧 あぁ、クリノラホールねぇ。僕が乗ったときは2着や3着ばかりやったけど、北村(友一)くんは巧いこと乗るわ。3連勝やろ? やっぱり合ってるんやね。乗り方が柔らかい。僕にはあの柔らかさは出せんわ。あれは納得や。

──逆に小牧さんでしか走らない馬もいますからね。では、最後にひとつ、ユーザーからのリクエストを。「地方に移籍したナムラビクターが、レース中の故障で亡くなりました。小牧さんとのコンビで重賞を勝ち、チャンピオンズCも僅差の2着。ずっと応援していました。ナムラビクターとの思い出を教えてください」というものです。

小牧 そうなんやってねぇ…。思い出はたくさんあるけど、いまだに一番思うのは、なんで乗せ替えられたのかなって(苦笑)。今思うと、めっちゃ癖のある馬やったね。気が悪いというか、言うことを聞いてくれんかった。レースに行ってしまえばそうでもないんやけど、やっぱり走るときと走らんときがハッキリしていたね。

──そうでしたね。2014年のアンタレスSは、同年の重賞初勝利。嬉しい1勝でしたよね。

小牧 ホンマやね。それ以前に、初めて乗った仁川Sを勝ったときの衝撃が大きかった。なんと走る馬かと思ったもん。それこそ阪神のダート2000mやね。

──4馬身差の圧勝でしたね。

小牧 そうそう。この馬でGIを…と、本気で思ったからね。でも、あのときはまだ、そこまで気が悪いとは思わんかった。なんせ馬場でも回らへんし、追い切りでも動かへんねん。馬場に入ろうとせえへんし、ゲートも入らんし。能力は本当に高かったから、そのあたりの気性の難しさが出世の妨げになったんかなぁと思ったりね。でも、いいときに乗せてもらいました。僕自身、苦労して乗っていたから印象にも残ってます。
小牧太

僕自身、苦労して乗っていたから印象にも残ってます



──いろいろと策を練ってらっしゃったのを覚えています。

小牧 ナムラビクターに限らず、能力があるのに出し切れていない馬はたくさんいるからね。それにしても、レース中に故障したということは、どこか苦しいところがあったんでしょう。かわいそうやったね。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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