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何度も雪の影響を受けてきた共同通信杯

  • 2017年01月21日(土) 12時00分


◆今年は記録的な年になるかも

 いやいや、先週の大寒波、“ハンパ”じゃなく寒かったですね。競馬開催にも大きな影響が及び、15日の中京競馬が16日に、京都競馬が17日に行われました。その結果、JRAは4日連続となったわけですが、これはきわめて異例です。

 もともと競馬は雪に弱い競技。先週に限らず、雪による開催中止や条件変更は、これまでにもたびたび記録されています。今回のようなことが起こると、その都度、「あのときはこんなだったね」なんていう話になるのですが、時が経つとだんだん記憶が薄れてきちゃうもの。そこで今回は備忘録として、そうした事例をいくつか掘り起こしてみました。

 まだ記憶に新しいのは、3年前、2014年2月の東京競馬。2月8、15日の土曜日に立て続けに大雪が降り、都心では27cmの積雪を記録しました。このときは8、9日と15、16日の開催がすべて中止となり、早いほうから順に10日(月)、17日(月)、18日(火)、24日(月)に代替競馬が行われています。イスラボニータが勝った共同通信杯は、本来の日程から1週後の月曜開催だったわけです。

 共同通信杯は、何度も雪の影響を受けてきたレース。94年は当初の開催日が中止となって月曜に開催され、98年はダート1600m戦に変更して行われました。94年はナリタブライアンが優勝、98年はそこまでダートで2戦2勝だったエルコンドルパサーが1番人気に応えて快勝しています。雪で変則開催となった同レースからは“大物”が輩出される、ってことでしょうか。

 この98年共同通信杯が“最後”になっているのが、雪による芝平地重賞のダート変更。その時がそうだったのですが、使用コースが臨時に変更されるとグレード(GI〜GIIIの格付け)が外されてしまいます。なので、よほどのことがない限り、そういうことは行われなくなりました。でもそれ以前にはけっこうあったような気がします。ザッと調べたところ、次のような事例がありました。

 金杯(現中山金杯、71、78年東京=ダート2100m)、アメリカJCC(84年=同1800m)、日経新春杯(84年=同2600m)、京都牝馬S(84年=同1400m)、東京新聞杯(69、70年=同2100m、95年=同1600m)、クイーンC(69年=同1200m、70年=同1400m、75年中山=同1700m)、共同通信杯(68年中山=同1700m、70、98年=同1600m)、弥生賞(69年東京=同1400m、70年東京=同1600m)、中日新聞杯(78、84年=同1700m)。

 これを見ると、69、70、84年に多い、というのが一目瞭然です。気象庁の記録によると、東京都心では69年に30cm、84年に22cmの積雪、とありました。前述の94、2014年も、都心で20cmを超える積雪が記録された歴史的な年。当然ながら、それらの年と競馬開催の中止、条件変更があった年はピタリと一致しています。これからも寒波は襲ってきそうで、今年は記録的な年になるかもしれませんよ。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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