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東京新聞杯の蒼天航路ときさらぎ賞の斜陣がけ

  • 2017年02月02日(木) 12時00分


田辺が飛ばしている。
1月が終わって、16勝は全国リーディングトップ。
中身も濃い。

成績16-11-0-52
勝率.203 連対率.342 複勝率.342

勝率2割。
1着が一番多くて、2着が1着より少なくて、3着は2着よりさらに少ない名手の着順構成。
特に3着が1度もないのが濃密さを際立たせる。3着ベースではなく2着ベースで買えるのはとてもありがたい。

16勝の内訳も濃い。

社台グループ系 5勝
 ノーザンF生産馬 1勝
 社台F生産馬   2勝
 白老F生産馬   1勝
 追分F生産馬   1勝

非社台系生産馬 11勝

天下のグループ5勝に対して、非系で11勝。それで勝率2割は特濃だ。

実際、自分も中山金杯では田辺騎乗のクラリティスカイを軸にして祝杯をあげられたし、京成杯で1着させたコマノインパルスも安心して◎にできた(ヒモは間違えたけど)。この2頭も非系生産馬だった。

この状況をあと11ヶ月続けられたら、1ヶ月15勝計算で180勝。楽勝でリーディングだ。とはいえだ。非系ベースで180勝は相当なハードルだろう。社台グループ、もっと言えばノーザン系の割合をもっとあげられないと1ヶ月15勝は厳しい。せめて非系と社台系の割合を1:1に持っていければ…。

なんて考えていたら、今週の東京新聞杯でノーザンF生産、金子オーナー、父ディープインパクトのプロディガルサンに騎乗することがわかった。

天下の牧場が生産した、天下の馬主の、天下の種牡馬の馬。田辺が蒼天航路を本気で歩もうとするなら、ノーザンFと金子オーナーの信頼を勝ち取るのは大事だし、ディープインパクト産駒を自在にコントロールできることをアピールするのは大事だ(重賞を22勝してるけど、ディープインパクト産駒での勝利はない)。プロディガルサンには3回騎乗して、10着、3着、11着。まだ勝ち星はない。そろそろ1着させたいところだろう。

プロディガルサン
父ディープインパクトの4歳牡馬

兄貴のリアルスティールが皐月賞・ダービー・菊花賞で2人気になるような馬だったからか、プロディガルサンもデビューからとても期待されていたように思う。
ただG1レース前の前哨戦(青葉賞&セントライト)での走りが物足りなかったのかダービーも菊花賞も11人気で、3歳時は兄貴ほどの評価をされなかった。

っていうか、プロディガルサンへの評価は世間が一番わかっているようにも思える。人気と着順のズレがほとんどないからだ。

新馬   1人気1着
芙蓉S  2人気1着
東スポ杯 2人気2着
青葉賞  2人気4着
ダービー 11人気10着
セントライト 3人気3着
菊花賞  11人気11着

ほぼほぼ人気どおり。
みんなプロディガルサンのことをよ〜〜くわかっている感じだ。

ならば答えは簡単だ。
いつものようにnetkeiba.comの予想オッズをチェックすればいい。

予想4人気

おっと、微妙なところにいる。誤差プラマイ1と想定するなら3着の期待は持てる。
実際、青葉賞では2人気4着と「2ズレ」だったし、ダービーは「1ズレ」で11人気10着だった。上方のズレを期待できなくはない。

田辺が騎乗して3戦。

ダービー 11人気10着
セントライト 3人気3着
菊花賞  11人気11着

人気より下に走らせたことはない。でもこの成績は望んだ成績ではないだろう。今回で4戦連続騎乗。ここはぜがひでも1着させたいところだろう。

世間の評価+田辺の腕で馬券圏内。

と、したいところだけど、あくまでもこれは予想オッズだ。
実オッズで4人気になるとはかぎらない。
5人気になったら、どうなるのか? 

5人気以下なら買いません!
と宣言したいけれど、それもなんだなぁ〜。

と、いうことでプロディガルサンについてもう少しだけ接近してみる。

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ディープインパクト産駒の開幕
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今年はまだディープインパクト産駒が重賞勝ちしていない。

重賞成績 0-1-2-9
アメリカJCC ゼーヴィント2着
京都金杯 フィエロ3着
日経新春杯 モンドインテロ3着

でもこれは今年だけの傾向ではない。去年も一昨年も1月は似たようなもんだった。去年(16年)は自己記録の重賞38勝をあげたにもかかわらずにだ。

1月の重賞成績
17年 0-1-2-9
16年 1-1-1-14
15年 0-2-1-14

16年の1月はアメリカJCCでディサイファが1着したのみ。2月から複数回勝ち始めて、38勝をあげた。
ディープインパクト産駒は、田辺とは逆でスロースターターなのかもしれない(1月の京都牝馬Sが16年から2月に移行したのも大きいかもしれないけど、移行前の15年も0勝だった)。

そのディープインパクト産駒が本格的に始動するのが東京新聞杯ときさらぎ賞だったりする。

16年 東京新聞杯 1・2・4・7・9着
   きさらぎ賞 1・2・3着

15年 東京新聞杯 1・6着
   きさらぎ賞 2・4・7着

プロディガルサンにはいいニュースだ。

東京新聞杯に出走したディープインパクト産駒の成績は
2-2-0-10

ディープインパクト産駒は2連勝中、3年連続連対中。
徐々に成績をあげてきているのが過去からもわかる。

16年
1着 スマートレイアー 5人気 6歳牝馬 470
2着 エキストラエンド 6人気 7歳牡馬 472
4着 ダノンプラチナ  2人気 4歳牡馬 488
7着 マーティンボロ  12人気 7歳牡馬 448
9着 トーセンスターダム7人気 5歳牡馬 502

15年
1着 ヴァンセンヌ   3人気 6歳牡馬 506
6着 エキストラエンド 2人気 6歳牡馬 476

14年
2着 エキストラエンド 3人気 5歳牡馬 470
11着 ヴィルシーナ   9人気 5歳牝馬 456

13年
9着 マウントシャスタ 3人気 4歳牡馬 462 
10着 ドナウブルー   1人気 5歳牝馬 432
11着 リアルインパクト 6人気 5歳牡馬 528

12年
5着 ダノンシャーク  1人気 4歳牡馬 438
7着 フレールジャック 2人気 4歳牡馬 430

しかしいいニュースばかりでもない。4歳馬が1頭も馬券になっていないのと470キロ以下の馬が苦戦しているからだ。

ディープインパクト4歳馬
4着 ダノンプラチナ  2人気 4歳牡馬 488
9着 マウントシャスタ 3人気 4歳牡馬 462 
5着 ダノンシャーク  1人気 4歳牡馬 438
7着 フレールジャック 2人気 4歳牡馬 430

一番馬券圏内に近かったのは488キロのダノンプラチナだった。
(ディープ以外の4歳馬はけっこう頑張っている。過去10年で3-2-3-19)

ディープインパクト馬券圏内馬
1着 スマートレイアー 470
2着 エキストラエンド 472
1着 ヴァンセンヌ   506
2着 エキストラエンド 470

470キロ以上あれば馬券になるわけではないが、470未満の馬は馬券になってない。
(全体的にも馬体重470以下の馬は苦戦傾向にあり。過去10年で470未満の馬は5頭のみ馬券圏内)

今年出走予定のディープインパクト産駒は2頭。

予想4人気 プロディガルサン 4歳牡馬 前走490
予想5人気 ロイカバード   4歳牡馬 前走452

プロディガルサンは前走490。冬の休み明けだし、プラスで出てくることはあっても、470を割って出てくることは考えられない。
ならば、合格だ。
4歳で馬券に最接近したのは488で4着したダノンプラチナ。それを考慮すれば、この馬も4着の可能性はある。

そもそも今年は4歳勢が重賞で頑張っている。京都金杯も日経新春杯も4歳勢が包装紙となった。4歳劣勢と言われた先週のシルクロードSでもセイウンコウセイが2着した。セントライトで2着だったゼーヴィントもAJCCで2着した。同レース3着のプロディガルサンも頑張れると見立てられる。

つまり、ここでも4着の可能性が見えて来たわけだ。ならば田辺の腕で1つ順位をあげてもらうまで。

プロディガルサンが次兄のリアルスティールに近ければ、やれる。
長兄のラングレーに近ければ、足りない。ラングレーは結局まだ重賞で馬券圏内に入ったことはない。プロディガルサンは東スポ杯(G3)2着、セントライト(G2)3着。うむ、大丈夫そうだ。

問題は、先週の白富士S(芝2000)を除外されて、こちらに回ってきたこと。着実に賞金を上乗せしたくて白富士に出ようとしたとしたら、なんだか弱気に思えなくもない。でもここはいいように取るしかない。使いながら仕上げる出走ではなく、賞金を上乗せするための出走、つまり身体を作っている出走だと。

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東京新聞杯・注目馬
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プロディガルサン

4歳勢(エアスピネル・ブラックスピネル・ロイカバード)

ロイカバードは前走452でそこが引っかかるけど(マイナス)、前走元町S1着は2年前に勝ったヴァンセンヌと同じでそこが引っかかる(プラス)。
主戦の武豊がエアスピネルに騎乗するのは引っかかるけど(マイナス)、ヴァンセンヌと同じ松永幹厩舎だけにちょっと引っかかる(プラス)。
だから拾っておく。

3着のない田辺を信じて、来るなら1着か2着と決めつけて、プロディガルサンから2連系で行くか?
あくまでも「4人気+田辺の腕」ということで、プロディガルサンを3着と決めて、他の4歳勢で、非4歳馬を包むか?
プロディガルサンも4歳の1頭としてくくって、ただただ4歳の包装紙で非4歳を包むか?


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きさらぎ賞・注目馬
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タガノアシュラ
スズカメジャー

タガノアシュラに岩田
スズカメジャーに福永
エスピリトゥオーゾに四位
ベルエスメラルダに小崎

岩田が逃げる。
小崎が逃げるのを控えて番手に回る。
先行しようと思えば先行できる福永と四位が3、4番手を追走する。

こんな隊列
タガノアシュラ(岩田)
   ベルエスメラルダ(小崎)
     スズカメジャー(福永)
      エスピリトゥオーゾ(四位)

この斜陣の隊列が決まれば、岩田のタガノは楽に逃げられるのではないか?
脱落したら3番手の福永のスズカが出し抜ける?

先行しそうな和田のプラチナヴォイスが後手に回ったら、楽しみはいっそう広がる。この隊列で、それでもなおサトノアーサーにぶっこ抜かれたら、それはしょうがない。

(ディープインパクト産駒の開幕は、東が東京新聞杯、西がきさらぎ賞と記した以上は、サトノアーサーなんだろうけど、断然の1人気だし、2着か3着の取りこぼしの可能性を追ってみた)

斜陣がけは机上の空論で理想にすぎないと「キングダム」にあったけれど、これは先行勢で差し馬の脚を封じ込める陣形だから、そこは気にしない。

実際、去年のローズSでは、似たような斜陣がけでシンハライトの末脚を封じ込めかけた。

ローズS
逃げ・クロコスミア(岩田)
   2番手・アットザシーサイド(福永)
      内の4番手・カイザーバル(四位)
     3番手・バレエダンサー

で、
1着 シンハライト
2着 クロコスミア ハナ差
3着 カイザーバル 1/2馬身
だった。

クロコスミアはもうちょっとで出し抜けた。

今回はおそらく10頭か9頭立て。
どんな枠に入っても斜陣の陣形を組もうと思えば組める。

あくまでも自分の妄察にすぎない。
でも、相手はサトノアーサーなんだから、こうなる可能性はなくはないし、ローズS以来、久々にこの陣形が見られそうな状況とあらば、自分は自分の妄察に投じるまで。

だから、逃げるであろうタガノアシュラと3番手にいそうなスズカメジャーを狙うことにした。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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