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サトノアーサーの“定位置”

  • 2017年02月02日(木) 19時15分


 2月に入り、寒さも本格化するかと思いきや、少し気温が上がって栗東も過ごしやすい毎日となりました。薄っすらと“通り雪”は降ることもしばしばあれど、1月後半は極寒というほど寒くはなっていませんね。個人的には嬉しいです。よく馬は寒いのが好きだといいますが、競走馬はアスリートですし筋肉を維持するためにもそれが該当するかは定かではありません。馬服を着せるくらいですしね。ともあれ、春がやってくる前にもう数回は極寒もやってくることでしょう。なるべくその期間が短いことを祈りつつ、今週もトレセンで毎日を過ごしたのでありました。

 さて、今週の注目はなんといってもきさらぎ賞に出走するサトノアーサーでしょう。新馬戦、シクラメン賞と2連勝中。満を持して3連勝に挑みます。

 ディープインパクト産駒ですが、ディープの走りとはまったく違いますね。新馬戦では低いフットワークから顔を前に突き出すようにしてゴール線を通過。あの走り方だったからこそ、得られた勝利だったように感じます。ディープが“飛んで”いたなら、アーサーは低いけれども軽いチーターのような走り。

「フットワークが低く大きいですからね。普段からその良さを生かすように心掛けています。普通に乗っているとガツンといかれたときに抑えられなくなってしまいます。そこで肘を軸にしっかりと抑えて長手綱にするなど少し工夫して乗っていますね」と担当の田重田助手。

 手綱を短く持ってアーサーを抑え込んでしまったら、あの伸びのある走りができないと考えてアーサーの良さを生かすためにあえてそうしているんだそうです。

 普段からあのような低い走りをするので、パッと見、躓きやすいんじゃないか!?とも思いますが、そういうことは全くないそうです。むしろ、躓かない。あれがアーサーのかたちなんですね。そして、田重田助手は手足が長くて細身の人なんですが、手綱にせよ、結果的にほかの馬たちとは可動範囲が少し違うアーサーの動き方を人間が邪魔しないようにしているのがいいんじゃないかなって思います。まさにベストパートナー、ですよね。


 馬房ではすごく大人しくて、いつも馬房の奥のほうで横を向いて過ごすか、通路にお尻を向けています。呼んでも全然こっちを向きませんが、「これがアーサーの“定位置”なんですよ」と田重田助手に言われて妙に納得。これがアーサー流のリラックス方法らしいです。今週日曜、またあの低くて大胆なフットワークが見れるのが楽しみです!

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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