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日高生産馬を指名馬に選ぶ際の「勝利の方程式」(村本浩平)

  • 2017年02月07日(火) 18時00分


◆強い馬作りを更に邁進させている

 11月のコラムで取り上げたアダムバローズだが、京成杯からの連闘、しかも5頭立てで行われた若駒Sを優勝。この勝利で賞金面でのクラシック出走をほぼ確実とした。

 少頭数、しかも最低人気の逃げ切りということで、展開に恵まれた面はあるものの、それでも先手を奪えばしぶといレースができるのは、紫菊賞でも証明済みである。コースこそ違うものの、2度の逃げ切りを果たしている芝2000mで行われる皐月賞でも、スムーズに先手を奪えるようなら充分に見せ場はありそうだ。

 そのアダムバローズは新ひだか・服部牧場の生産馬、そして、昨年の皐月賞馬ディーマジェスティの生産牧場でもあることは、前回のコラムの中でも書かせてもらった。そのコラムでは、ディーマジェスティが日高・ファンタスト木村牧場の育成馬であることも触れているのだが、同じファンタスト木村牧場で育成調教が行われていたのが、アダムバローズも出走していた京成杯を1番人気で勝利したコマノインパルス。生産牧場は鵡川・新井牧場となる。

 2年連続してクラシック候補生を送り出した、ファンタスト木村牧場の育成関係者の技量には恐れ入るが、コマノインパルスの生産牧場である新井牧場と、服部牧場にはある共通点がある。それは両牧場ともに「過去にGI馬を生産している」ということだ。

 服部牧場はディーマジェスティの以前にも、同じ皐月賞馬となったイシノサンデーも生産しているが、新井牧場もまた、2010年の宝塚記念を優勝し、その年の凱旋門賞でワークフォースと差の無い2着となったナカヤマフェスタを送り出している。ちなみにナカヤマフェスタは2009年の京成杯で2着となっており、そのリベンジをコマノインパルスが果たしたという見方もできる。

 近年、日高地区の牧場取材をして思うことだが、過去にGI級の活躍馬、もしくは重賞活躍馬を送り出した牧場に、再び重賞勝ち馬の取材で訪れる機会が増えた。その際に改めて思うことは、以前に行っていた管理をより良いものへと進化させていたり、もしくは広い放牧地での長時間に渡る放牧など、強い馬作りを更に邁進させているといった感想である。

 GI級の活躍馬の管理を行ってきた生産の元で、優れた能力だけでなく心身共に鍛えられた競走馬の騎乗育成を行うのが、こちらもGI馬を育てた育成関係者。この「勝利の方程式」は、今年のPOGで日高生産馬の指名馬を選ぶ際に、頭に入れておいた方が良さそうだ。

 日高生産馬で今年のクラシック戦線における活躍が楽しみな馬、と言えば、1月22日に行われたメイクデビュー京都で、2着馬に9馬身差を付ける圧勝を果たしたファンディーナも取り上げなければいけないだろう。

 生産牧場である谷川牧場は、古くはタケホープ(日本ダービー)、ミナガワマンナ(菊花賞)。平成に入ってからもチョウカイキャロル(オークス)、サクセスブロッケン(フェブラリーS)といったGI馬を送り出している。創業は明治45年と日高を代表する名門牧場でありながら、その時々で血統の更新や、騎乗育成も含めた様々な管理などに取り組んできたことが、途切れない活躍馬の誕生に繋がっている感もある。

 ファンディーナの管理に関しても、以前の取材で話を聞かせてもらった時とは、また違った生産や育成への方法論を取り入れているはず。今後、ファンディーナが重賞を勝利した暁には、クラシックへの期待だけでなく、その辺の話もじっくりと聞かせてもらおうと思っている。

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