調教の中身が前走と大違い ムーヴ陣営自信「楽しみしかない」/トレセン発秘話
◆2017年牡馬クラシック戦線の主役の一頭に
共同通信杯に出走するムーヴザワールドについて、前走の東京スポーツ杯2歳S(3着)ウイークに当コラムでこんなことを書いた。
「直前の追い切りでは前が邪魔になり、ブレーキをかける場面がありながらも、その後即座に伸び返したところに非凡な瞬発力が表れている」と。
一方で、しっかりやるはずの追い切りが軽くなってしまう誤算となったのも事実だ。日迫厩務員は当時をこう振り返る。
「あの時は1週前の稽古も軽かったし、当週も結果的に軽めになってしまって…。あれで重賞(を勝つの)は正直、楽じゃないと思った。あそこまで走ってくれたことに、ちょっと驚きましたね」
当時の調整過程に比べ、今回のそれはどうだ。3週前の時点で栗東坂路4ハロン53.2秒の時計をマークし、その後2週が53.1、53.2秒。最速タイムが54.8秒というプロセスでレースに向かった前回と、時計の出し方に明確な違いがあるのは一目瞭然ではないか。
「2週前の時点ですでに前回の乗り込み量を超えているんじゃないかな。馬はそこまで大きく変わってはいないけど、少なくとも調教の中身は全然違うよ」(日迫厩務員)
この馬の調教を日々つけている古川助手の言葉もまた力強い。
「前回に比べて数を乗ってきたし、1週前にビシッと追って、しんどいところまで回転数を上げたからレース当週はさらに良くなってくれるはず。これまでは体の大きさに中身がついてこない感じで、全ての動きがスローに感じたけど、そういう面がなくなってきたところに成長を感じる。今回は楽しみしかない」
2017年牡馬クラシック戦線の主役の一頭にムーヴザワールドが名乗りを上げる。共同通信杯はそんなレースになることを半ば確信している坂路野郎である。(栗東の坂路野郎・高岡功)