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ダート路線で堅実に稼ぎそうなトーセンスティール

  • 2017年02月22日(水) 12時00分
≪2歳≫

トーセンアスター(牝 美浦・池上昌和 父エイシンフラッシュ、母タチアナ)
 父エイシンフラッシュは現2歳世代が初年度産駒。現役時代は日本ダービー(GI)と天皇賞・秋(GI)など4つの重賞を制し、速い上がりのレースを得意とした。ドイツ血統を色濃く受け継いでいるため馬体は重厚で、配合相手の牝馬にはサンデーサイレンスの血やスピードが求められる。母タチアナ(その父スペシャルウィーク)は不出走馬ながら、その4分の3弟にユニコーンS(GIII)を勝ったストローハット(父フジキセキ)がいる。2代母の父Starboroughは“ブダペストの弾丸”の異名をとったハンガリー調教の名スプリンターOverdose(独G2ゴルデーネパイチェを含めて19戦16勝)の父として知られている。母方の血は父の配合相手の条件をまずまず満たしているので悪くない。芝向きの中距離タイプだろう。

トーセンスティール(牡 美浦・宗像義忠 父フレンチデピュティ、母トーセンパピヨン)
 現3歳の半兄スプリングフット(父トーセンブライト)は8戦1勝で、ダ1800mで勝ち星を挙げた。本馬の「フレンチデピュティ×フジキセキ」の組み合わせは、Deputy Minister(フレンチデピュティの父)とフジキセキのニックスが生じるので注目したい。この2つの血を近い世代に持つ馬には、カネヒキリ(ダートGI/JpnIを7勝)、サウンドトゥルー(15年東京大賞典-GI、16年チャンピオンズC-GI)、ホワイトフーガ(15、16年JBCレディスクラシック-JpnI)、ミラクルレジェンド(13年エンプレス杯-JpnII、10年クイーン賞-JpnIII、12年マリーンC-JpnIII)、メイケイペガスター(13年共同通信杯-GIII)、デグラーティア(08年小倉2歳S-GIII)、カラフルデイズ(11年関東オークス-JpnII)をはじめ多数の活躍馬が出ている。父がフレンチデピュティの場合、ほとんどダート向きに出るので、本馬もダート路線で堅実に稼ぐタイプだろう。

≪3歳≫

アルファベット(牡 栗東・石坂正 父The Factor、母Oneminutetomidnite)
 2016年3月、米フロリダ州のOBSマーチトレーニングセールに上場され、27万ドル(約3000万円)で落札された。母Oneminutetomidniteの半兄WicapiはW.L.マクナイトH(米G2・芝12f)、フレッド・W.フーパーH(米G3・ダ9f)の勝ち馬。父The FactorはWar Frontを経てDanzigにさかのぼるサイアーラインに属し、現役時代にパットオブライエンS(米G1・AW7f)など3つの重賞を制覇した。現3歳世代が初年度産駒で、昨年のファーストシーズンサイアーランキングでは第6位。代表産駒Noted and QuotedはシャンデリアS(米G1・ダ8.5f)を勝った。芝適性を感じさせる配合構成なので日本向きかもしれない。日本ではすでに2頭がデビューし、そのうちの1頭ズアーは昨年暮れの中京新馬戦(芝1400m)を勝ち、こぶし賞(3歳500万下・芝1600m)は4着だった。本馬は「The Factor×Street Cry」という組み合わせで、Mr.Prospector 6・4×4。おそらく芝・ダート兼用のマイラーだろう。

ララスモーキン(牡 栗東・高橋義忠 父ルーラーシップ、母ブライダルドレス)
 母ブライダルドレスは現役時代7戦未勝利に終わったものの、その全姉にベストクルーズ(09年ファンタジーS-GIII・2着、09年阪神JF-GI・3着)、マーチャンテイマー(14年ブリーダーズゴールドC-JpnIII・3着)などの活躍馬がいる。この姉妹と同じ、「クロフネ×サンデーサイレンス+チヨダマサコ牝系」という配合パターンはニックスで、ホエールキャプチャ(GIヴィクトリアマイルなど重賞5勝)、シゲルスダチ(12年北九州記念-GIII・2着)をはじめ多くの活躍馬が出ており、繁殖牝馬としても期待できる。父ルーラーシップは昨年のファーストシーズンサイアーチャンピオンで、本馬と同じ「ルーラーシップ×クロフネ×サンデーサイレンス」という組み合わせからは若駒S(OP)2着馬ダノンディスタンスが出ている。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

ロードブラームス(牡 栗東・安田隆行 父ハービンジャー、母レディバラード)
 半兄にダノンバラード(13年アメリカJCC-GII、ラジオNIKKEI杯2歳S-GIII)、ロードアリエス(08年京都新聞杯-GII・2着)などがいる。母レディバラードは現役時代にクイーン賞(GIII・ダ1800m)とTCK女王盃(GIII・ダ2000m)を勝った。しかし、それ以上に価値が高いのは血統。2代母Angelic SongはGlorious Song(米古牝馬チャンピオン)、Devil's Bag(米2歳牡馬チャンピオン)の全妹、Saint Ballado(G2、G3レース2勝で種牡馬として成功)の全姉にあたる超良血。本馬の父はハービンジャー。母方にサンデーサイレンスはないものの、その父Haloを持っており、母の高いポテンシャルを考えると重賞クラスに出世してもおかしくない。芝向きのマイラーだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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