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人気馬への割り込みチャンスとおしまいのうた

  • 2017年02月23日(木) 12時00分


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1人気はシュウジ
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阪急杯

予想
1人気 シュウジ     1.8
2人気 ロサギガンティア 4.0
3人気 ブラヴィッシモ  6.6

予想とはいえシュウジが圧倒的な人気だ。
前走の阪神Cの鮮やかな突き抜けを見たら、
そして、重賞1着経験馬がシュウジ以外にはロサギガンティアしかいないメンバーを見たら、
シュウジでどうしようもない気にはなる。

予想の段階で単は1倍台だけど、実オッズでも1倍台になるように思えてくる。

シュウジは2歳の頃から強くて、しかし1600では少々足りなくて、でも1200では古馬に混じっても強さを発揮して、年末に1400の阪神Cでイスラボニータらを差し切った。

小倉2歳S    1人気1着 1200
デイリー杯2歳S 1人気2着 1600
朝日杯FS     3人気5着 1600
ファルコンS   1人気12着 1400
NHKマイル    8人気12着 1600
函館SS      2人気2着 1200
キーンランドC  1人気2着 1200
スプリンターズS 5人気4着 1200
阪神C      7人気1着 1400

阪神Cと同じ阪神芝1400の阪急杯。しかも阪神Cより落ちるメンバーで、負けるとは思いにくい。単1倍台に支持されるのも納得だ。

だが、しかし。
阪神Cを1人気で勝ったわけではない。7人気だ。ちょっとした伏兵の1頭だった。1人気の競馬でも1着できるのだろうか?
本当に取りこぼすことなく1着できるのだろうか?

心配指数が上がらないないわけじゃない。

暮れの阪神Cと年明けの阪急杯の勝ち馬を並べてみると、少々心配なことがわかる。

左・阪神C 右・阪急杯
07年暮 スズカフェニックス 08年早春 ローレルゲレイロ
08年暮 マルカフェニックス 09年早春 ビービーガルダン
09年暮 キンシャサノキセキ 10年早春 エーシンフォワード
10年暮 キンシャサノキセキ 11年早春 サンカルロ
11年暮 サンカルロ     12年早春 マジンプロスパー
12年暮 サンカルロ     13年早春 ロードカナロア
13年暮 リアルインパクト  14年早春 コパノリチャード
14年暮 リアルインパクト  15年早春 ダイワマッジョーレ
15年暮 ロサギガンティア  16年早春 ミッキーアイル
16年暮 シュウジ      17年早春

阪神Cは連覇があるけど、阪急杯は連覇がない。阪急杯の馬券圏内でのリピートはある。でも、連覇はない。
暮の阪神Cに勝った馬が、年明け早春の阪急杯を勝ってない。

阪神Cと阪急杯が大得意で、この2レースのために長らく現役を続けていたと思われるサンカルロも、暮→早春の連覇はなかった。わずか2ヶ月しか違わないのに。

阪神Cは阪神開催最終週で、阪急杯は阪神開幕週。そこの違いか?
逃げ先行のミッキーアイルが、阪神Cは7着、6着に負けて、阪急杯は2着、1着だったことが象徴的だ。

6歳・7歳で阪神Cを勝ったキンシャサノキセキは、4歳・5歳のときに阪急杯に出走して、1人気4着、2人気5着に負けた。

暮→早春で連覇に近かったのは07年暮1人気1着→08年早春1人気2着のスズカフェニックスか。スズカフェニックスは阪神Cを11番手から差して1着して、阪急杯を8番手から差して2着だった。勝ったのはローレルゲレイロで逃げ切りだった。

ゆえに思う。
暮の阪神Cで強烈な差し脚を繰り出して勝ったシュウジは、阪急杯で単1倍台の期待に応えられるのだろうか? シュウジはもともと先行馬で阪神Cの差しがむしろ異例だったという見方はできる。しかし、1200を先行しても最後ちょっと甘くなって2着していたことや1400のファルコンSを先行して崩れていたことを思うと、阪神Cは差したことが正解だったとも言える。

だからこんな心配事が生まれる。
逃げたり番手を追走したりしたら、その後ろ3〜5番手を追走していた馬に差されるかもしれない。差しに回ったら、1〜3番手を走っていた馬を捕えきれないかもしれない。

阪急杯を1人気で1着している馬はロードカナロアとミッキーアイルの2頭。どちらもマイルのG1でも勝利している馬だ。もし1人気で勝つには「そういう力」が必要ならば、シュウジはやっぱり少々心配だ。

とはいえだ。シュウジは3歳で阪神Cを勝った強い世代の代表ホースの1頭だ。些末な心配事など蹴散らす可能性だってある。なんせメンバーも弱そうだ。

馬券圏内のリピート走はいっぱいあるけど、連覇はない阪急杯。
そして、阪神Cから約2ヶ月後の阪急杯での足掛け2年の連覇もない傾向。
ここを重視するならシュウジはこぼす。

んなもん全部蹴散らす。それが強い4歳だ。
そこを重視するなら、めったにない足掛け連覇ありでいい。

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阪急杯・注目馬
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ブラヴィッシモ
ロサギガンティア

ブラヴィッシモはシュウジと同じ須貝厩舎の馬。
ロサギガンティアは藤沢和厩舎の馬。
どちらも社台F生産の馬。

当たり前だけど、非系生産のシュウジが負けるときは、社台系の馬が勝つことが多い。

登録している社台グループ生産馬は5頭。
ロサギガンティア  社台F 予想2人気
ブラヴィッシモ   社台F 予想3人気
ミッキーラブソング 社台F 予想4人気
メドウラーク    ノーザンF 予想10人気
ヴァイサーリッター ノーザンF 予想14人気

ここは社台Fでいいのではないか。
で、自分はミニ・カルロ的な期待を込めて、ブラヴィッシモとロサギガンティアにしてみた。

ブラヴィッシモは1200成績1-2-0-4、1400成績4-2-3-3で、1200より1400の馬。
ブラヴィッシモは京都成績0-1-0-4、阪神成績2-2-2-1で、阪神1400成績2-1-2-1。阪神1400こそが一番力を発揮できる舞台。
(ダートは除く)

去年の阪急杯も3着した。4歳で3着して、翌年1着した馬といえばサンカルロ。サンカルロの阪神14好きのほどは今更書くまでもないだろう。
正直、サンカルロほどの重賞実績はないけれど、ブラヴィッシモも阪神1400大好物系の可能性は見せている。

ロサギガンティアは、15年暮の阪神Cを勝ってるけど、去年の暮は出負けなどして、5着に負けた。もうちょっと前のポジションを取りたかったのではないか? 阪神Cと阪急杯の両方を勝つ馬はめったにいないけど、この馬も阪神1400で食べて行くことを決意したとなれば、サンカルロ的敬意で接してもいいはず。藤沢和厩舎が四位騎手を押さえるということはそういうことではないか?

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1人気はアンビシャス
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中山記念
予想
1人気 アンビシャス   2.4
2人気 リアルスティール 3.0
3人気 ツクバアズマオー 6.0

アンビシャスとリアルスティールが1人気を争っているけど、ムーアが騎乗しなくなったことでリアルスティールにもう一押しがなくなって、実オッズでもこんな感じで、接戦ながらもアンビシャスが1人気になるのではないか?

単1倍台が予想されるシュウジを心配したのだから単2倍台のアンビシャスを心配しないのは失礼だ。だからアンビシャスも心配してみる。

過去11年
外国人騎手の1人気 2-1-0-0
日本人騎手の1人気 1-0-1-6

アンビシャスの鞍上はルメール。頼りになりそうだ。
ただこんなデータもある。

日本人騎手の2人気 3-0-2-5
外国人騎手の2人気 0-1-0-0

リアルスティールの鞍上は日本人の戸崎。
1人気になるよりはぜんぜん頼りになるデータだ。

リアルスティールを信じられるなら馬券も簡単だ。アンビシャスとの2頭軸で買えばいい。

今年の中山記念は2人気のリアルスティールを信じられるか、信じられないか。そこに尽きる!

おっと、1人気のアンビシャスを心配するつもりが、いつの間にか2人気のリアルスティールに夢中になってしまった。

話を戻さないと。

アンビシャスの鞍上はルメール。このコンビの成績は3-2-0-0。
1人気でも2勝している(プリンシパルS、ラジオNIKKEI賞)。
っていうか、ルメール騎乗時には着順が人気を下回ったことがない。
今回は1人気だから1着以外はないことになる。

去年の中山記念は、
アンビシャス   55 2着
リアルスティール 55 3着
だったけど、
今年は、
アンビシャス   57
リアルスティール 58
で、重量的にもアンビシャスは有利で、1人気の支持通り、今年もリアルスティールに先着できるのではないか?

うむ、決まった。
今年の中山記念は、アンビシャスーリアルスティールの順番だ。
問題はアンビシャスとリアルスティールの間に割り込む馬がいるのか? そこだ。

1頭いたら、1着-3着、2頭いたら1着-4着。
リアルスティールの4着は信じられないけれど、去年同様のローテでドバイを狙うということは、去年と同等の仕上げの可能性あり。

っていうか、もう馬が完成されてきているからか、また気性的に激しくもなっているからか、最近は目標以外のレースはあまり使いたくないようにも見受けられる。

ドバイターフ
1着賞金 約4億円
2着賞金 約1億3200万円
3着賞金 約6600万円

中山記念
1着賞金 6200万円

どう見ても欲しい賞金は4億だろう。2着に負けても1億だ。
日本の前哨戦を8分の仕上げでも勝てるくらいでないと海外では勝ち負けできないかもしれないけど、リアルスティールの場合は去年の実績がある。今年はもう少し余裕を持たせて70%くらいで使ってくるかもしれない。

ならば割り込みチャンスはある。

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中山記念・注目馬
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ロゴタイプ
ヌーヴォレコルト

ロゴタイプの父ローエングリンは初重賞勝ちが中山記念(4歳)で、ラスト重賞勝ちも中山記念(8歳)だった。

ロゴタイプは、去年の中山記念は7着に負けたけど、4歳時は3着、5歳時は2着と父ローエングリンの片鱗は見せていた。もしその好走が父譲りならば、まだまだ片鱗の見せ場はあるはず。

1月は16勝していたのに2月になったら2勝しかしてない田辺だけど、その真骨頂は強い人気馬を向こうに回し、作戦を練って、その間隙を突く騎乗のはず。それをやるのにお誂え向きな状況が生まれそうで、そこにも期待。

ヌーヴォレコルトは、外枠より内枠がいいと思う。だから内枠に入ったら狙ってみたい。54キロで出られるのもいい。海外で3戦して、ちょっと楽をさせてる可能性はあるけど、それは馬体重ではわからないかも。それよりも予想7人気はデビュー以来最低人気。それなら買える。

ロゴタイプは、トリッキーに先行して、ヌーヴォレコルトは内を突いて、アンビシャスとリアルスティールの間に割り込んでもらう。そんな見立て。逃げ先行も、最内狙いも、要は最短距離で駆け抜けるということ。割り込むのに有効な手段だ。

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5人気はミラアイトーン
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アーリントンCは、突き詰めれば、1人気から行くか、4・5人気から行くか、と我がバズーカ・メモにある。

予想1人気はペルシアンナイト・Mのデムーロさん。
予想4人気はディバインコード・柴田の善さん。
予想5人気はミラアイトーン・武の幸四郎さん。ワオ!

ワオワオ!

ローエングリンは初重賞勝ちが中山記念で、ラスト重賞勝ちが中山記念と書いた直後に武の幸四郎さんが出現してしまった。

この5人気にはラスト重賞の可能性のある武幸四郎騎手へのエールが込められているかもしれないけれど、初勝利を読売マイラーズCであげた男に、ラスト勝利も重賞でというエールも込められているのかもしれない。

同時に8月のデビューから3戦ずっと、武幸四郎騎手に手綱を任せた島川オーナーと池江師のエールも込められているように感じる。しかも1人気には池江厩舎のペルシアンナイトがいる。そのおかげで(?)人気も5人気に落ち着いているとしたら、それだってエールだ。
(実オッズでは3人気くらいに祭り上げられてしまったとしても、ペルシアンナイトがいるかぎり1人気にはならない)

読売マイラーズCは当時、阪神1600だった。
アーリントンも阪神1600。
はじまりの重賞もおしまいの重賞も阪神1600。
一番勝ってる重賞コースが阪神1600(5勝)。

はじまりの唄をおしまいでも唄えるか?

なんて記してみたけど、あくまでも阪急杯に騎乗しない設定だ。でも阪急杯には「騎手未定」が多いから騎乗するかもしれない。
だとしても、それは話題性の騎乗依頼であって、チャンスホース的依頼ではないだろう。だから阪急杯に騎乗したとしても、おしまいの唄はアーリントンでいい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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