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G1を5勝した名牝から誕生した世界的良血馬ユナリオンス

  • 2017年03月01日(水) 12時00分
≪2歳≫

チャノカオリ(牝 栗東・加藤敬二 父ゴールドアリュール、母チャツミムスメ)
「ゴールドアリュール×サクラバクシンオー」という組み合わせはトップカミング(10年日経新春杯-GII・2着)、スターバリオン(OP)、メモリアルイヤー(OP)などが出ているニックス。父ゴールドアリュールはエスポワールシチー、スマートファルコン、コパノリッキーなどを出したダート向きの種牡馬だが、母の父にサクラバクシンオーを持つ配合はダートだけでなく芝でも走れるのが特長。また、牡馬の成績が圧倒的に優れている同産駒のなかにあって牝馬の頑張りも目に付く。本馬はサンデーサイレンス2×4、Nureyev 3×5という大胆なクロスを持つ。芝向きのマイラーだろう。

ドナファウスタ(牝 美浦・武市康男 父オルフェーヴル、母ライヴマジック)
 南関東の鎌倉記念(重賞)を制したポッドガイ(父パイロ)の半妹。2代母トゥルーファンタジーはファンタスティックライト(米香愛英で芝G1を6勝)の半妹にあたる。父オルフェーヴルは現役時代に三冠、有馬記念(GI)[2回]、宝塚記念(GI)などを制し、フランスに遠征して凱旋門賞(仏G1)で二度2着となった。近年最高クラスの実力に加え、ドリームジャーニー(09年有馬記念などGIを3勝)の全弟という血統も申し分ない。現2歳世代が初年度産駒となる。「ステイゴールド×メジロマックイーン」という重厚な血統構成だけに母方からアメリカ血統由来のスピードを入れたいところで、Mr.Prospector 4×3の母ライヴマジックは悪くないだろう。母の父Shamardalも日本向きの血で手堅いスピードを伝える。芝向きの中距離タイプ。

ベルペスカ(牝 栗東・角田晃一 父ディープブリランテ、母ビューティーコンテスト)
 スワンS(GII)で5着となったムーンクレスト(父アドマイヤムーン)の半妹。母ビューティーコンテストは「Singspiel×ラストタイクーン×Busted」という良質のステイヤー血統で、愛オークス馬Wemyss Bightの近親にあたる良血。父ディープブリランテはダービー制覇の実績を引っ提げて種牡馬入りし、現3歳世代の初年度産駒からディーパワンサ(16年阪神JF-GI・4着)、ジャストザマリン(17年フェアリーS-GIII・4着)、ナイトバナレット(17年ジュニアC-OP)、スズカゼ(17年菜の花賞-3歳500万下)など13頭の勝ち馬を出している。本馬の母の父はSingspiel。父の代表産駒ディーパワンサは2代母の父がSingspielなので配合構成が近い。芝向きのマイラーだろう。

ユナリオンス(牝 美浦・萩原清 父Shamardal、母Alexander Goldrun)
 母Alexander Goldrunはアイルランド産馬で、同国を拠点に世界中を飛び回り、プリティポリーS(愛G1・芝10f)[2回]、オペラ賞(仏G1・芝2000m)、香港C(香G1・芝2000m)、ナッソーS(英G1・芝9f192yds)などを制した名牝。母の父Gold Awayはミッキークイーン(15年オークス-GI、15年秋華賞-GI)の母の父でもある。父Shamardalは仏2000ギニー(仏G1)、仏ダービー(仏G1)を制した名馬で、名種牡馬Street Cry(Zenyatta、ストリートセンスなどの父)の全姉を母に持つという血統も魅力的。種牡馬としてはLope de Vega(10年仏2000ギニー-G1、10年仏ダービー-G1)をはじめ多くのG1ホースを送り出し、アイルランドを代表する名種牡馬の1頭となっている。息子のLope de Vegaもまた種牡馬として成功している。本馬は外国産馬でありながら日本向きの適性を感じさせる配合構成で、高い資質を感じさせる。芝中距離でおもしろい存在となりそうだ。繁殖牝馬としても大いに期待できる。

ローランサン(牝 美浦・高市圭二 父キングカメハメハ、母ビックリバコ)
 エプソムC(GIII)で2着となったエーブチェアマンの全妹。母ビックリバコはJRAで未勝利に終わったものの、2代母サマニベッピンは阪神牝馬特別(GII)、金鯱賞(GIII)、府中牝馬S(GIII)などを勝った名牝。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト」という組み合わせは、ソリタリーキング、エアスピネル、アドマイヤロイヤルといった重賞勝ち馬が出ており、連対率23.6%、1走あたりの賞金額289万円と優れている。キングカメハメハ産駒全体の成績は19.2%、216万円、「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の成績は20.8%、245万円なのでそれらを上回っている。仕上がりは早く、芝1600〜2000mを得意とし、東京コースよりも中山コース向きだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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