終いはさすがの切れ味だったグローブシアター
2月28日、3月1日と調教開始前は-2℃と寒さ厳しかった栗東トレセン。しかし、3月に入って、そろそろ賑やかなメンバーが揃ってきました。特にクラシック路線に進みたい馬たちがトライアルに向けて、思い思いの仕上げで出走。賞金を持っていて、出走がほぼ確定している馬たちはいかに余力を残した状態で出走させるか。賞金がなく、なんとか優先出走権を得たい馬は目一杯に仕上げて、どこまでやれるか。この取捨選択が難しい時期ではありますが、やはりまだこの時期ということを考えれば、無理に目一杯でなくとも、いろんな意味で余裕のある陣営が強いような気はします。
どうしても今週、来週の重賞出走予定馬の追い切りに注目していると、ドバイ遠征組に対する追い切り取材が薄くなってしまいます。今朝もサウンズオブアースが坂路で追い切っていましたが、ラスト1Fの動きくらいしか確認できなかったり。でも馬券の発売もあるだろうレースですから、こちらの方の比重もしっかりと確保していきたいと思います。
【オーシャンS/メラグラーナ】
前走で中山芝1200mは2戦2勝。この時点でオーシャンSをトライアルに使ってくるだろうとは予測していましたが、今回は追い切り本数が少なめ。2月8日のノーザンFしがらきから帰厩しているので、本来なら6本の仕上げだと思いましたが、最終追い切りを含めても5本。これはあまり歓迎できる材料ではありません。
しかし追い切り内容を見ていくと、決して仕上がりが悪いというわけではありません。最終追い切りにしても軽く走っているように見えて、実際の時計は4F53.1〜3F38.8〜2F24.7〜1F12.0秒。モニターで動きを確認した後に、ホントにそんな時計出ていたのと数字を二度見したくらい。軽く走って時計が出るのですから、休み明けから動けるとは思います。ただ量としては余裕のある仕上げであることは間違いなく、この状態でどこまでやれるかでしょう。
【チューリップ賞/リスグラシュー】
出遅れて後方からのレースになった阪神JFは勝ち馬には完敗の2着。この差をどのように詰めてくるかというところになりますが、まず休み明けとしては決して追い切り本数は多くない今回。2月14日にノーザンFしがらきから帰厩したばかりですから、それは仕方ないところでしょう。ちなみに過去休み明けでの出走歴がないので、比較することはできませんが、少し間隔があいてもある程度の本数はやっていました。
2月22日の1週前追い切りでは、武豊騎手を背に4F51.2秒という時計をマークしているだけに仕上がり不足ということはないでしょう。それは最終追い切り坂路での1F12.2秒の伸びを見ても分かります。トライアルですから、この追い切り内容でも十分に力を発揮するとは思いますが、隙があるとすれば今回でしょう。
リスグラシューに隙があるとすれば今回でしょう(2月28日撮影)
【チューリップ賞/アロンザモナ】
3戦2勝。スムーズなレースをできなかった中京芝1600mのこうやまき賞を度外視すれば、2戦2勝の強い馬という見方はできるでしょう。ただ、それがいずれも京都競馬場でのレース。今回の阪神芝1600mに対してどのようなレースができるか、ここがポイントになりそうです。
追い切り自体は前走と変わらず順調。1週前に4F52.0秒と全体で速い時計を出し、最終追い切りは終い重点。幸英明騎手が騎乗していましたが、手応えには余裕があって、それでいて1F12.3秒はさすがの伸び。坂路でこの時計が出れば、初経験の阪神競馬場の坂もこなせる、というのは私も過去にやっていた短絡的な考え方で、レースに行くとそうではなかったりします。そういった意味で楽観はできませんが、状態に関しては前走以上といってもよいと思います。
楽観はできないがアロンザモナの状態は前走以上(2月28日撮影)
【弥生賞/カデナ】
デビューから4戦すべてメンバー最速上がりをマーク。京都、阪神だけでなく、東京競馬場でもそれをマークしている点は高く評価できるでしょう。もちろん小回りの中山競馬場になって、その能力が発揮されるかということについては未知ですが、関東圏への輸送を経験していることはこの時期の3歳にとっては大きなアドバンテージです。
福永祐一騎手が跨り、追い切り前に入念にコンタクト。このシーンはカデナの帰厩当初に行われていたものであり、再びこの調整が復活したという感じ。ただ、追い切りに関しては4F目が最速ラップにならず、後半2Fも25秒を切ってこなかったことは過去2走の好走時とは違います。4F時計が自己ベストを更新するくらい、前半から速いラップを踏んでの内容ならまだしも、4F54.4秒で3F目から4F目に0.5秒も減速したのは気になります。世代随一の能力の高さは評価できても、今回の追い切り内容は評価できません。
カデナの能力の高さは評価できても、今回の追い切り内容は評価できない(3月1日撮影)
【弥生賞/グローブシアター】
キャリア1戦で初めての中山競馬場、重賞という厳しい条件だった前走ホープフルS。それでも3着したあたりはセンスの良さといったところでしょう。前走後はひと息入れて、2月8日にノーザンFしがらきから栗東へ帰厩。ここまで坂路での追い切り本数の方が多いものの、1週前と最終追い切りはCWで行われています。
前走時がモヤのため、時計が分かりませんが、今回は全体時計が遅い内容。3頭併せの真ん中でしたが、最後はほぼ同入といった感じ。全体時計は遅いものの、6F87.1〜5F70.0〜4F54.4〜3F38.8〜1F11.6秒と終いはさすがの切れ味。前走で中山輸送を経験している点もアドバンテージになるでしょうし、現状の仕上げで不安視するところはありません。
現状の仕上げで不安視するところはないグローブシアター(3月1日撮影)
◆次走要注意
・2/25 アーリントンC【ヴゼットジョリー】(5人/4着)
4着とはいえ、勝ち馬からは0.9秒離された完敗。ただ個人的にはCWで最終追い切りを行ったアーリントンCでは、このあたりが精一杯だろうという推測をしていました。実際、新潟2歳Sを勝った時は最終追い切り場所は栗東坂路でした。
次走が桜花賞ならまず最終追い切り場所は栗東坂路が好走条件。そしてラスト1Fが最速になるラップを踏むことができれば、阪神JFでの0.9秒差はきっちりと埋まってくるでしょう。
[メモ登録用コメント] [桜花賞]最終追い切り栗東坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け
・2/26 中山記念【アンビシャス】(1人/4着)
印を軽くした理由はウマい馬券のコラムにも記しましたが、やはり追い切り本数が1本少ない仕上がり通りの走り。もちろん展開が向かなかったこともありますが、2着馬と同じ上がりタイムというところがそこだと思います。
このまま在厩しての調整ということですから、今度は追い切り本数も強化するでしょう。追い切り本数が6本以上なら、昨年と同じ結果が期待できます。
[メモ登録用コメント] [大阪杯]調教タイプが標準多め坂路なら勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・3歳新馬【ザンテツケン】
単走で追い切ったCW。水口優也騎手が跨っていましたが、とにかく素晴らしい動き。担当者とも話しましたが、1頭だとこんなに伸び伸びと走る馬なんだなというくらい、首の位置が低くて、大きなストライドを見せていました。スムーズなレースが条件になりますが、それが叶えば、圧勝もありそうです。
スムーズなレースになれば圧勝もありそうなザンテツケン(3月1日撮影)
【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!