◆良血ミリッサがどんな走りを見せるのか
先月5日に左肘内側側副靱帯損傷を負い、休養していた福永祐一が、今週から復帰する。実戦に先駆け24日朝、アクシデント後に初めて栗東トレセンに姿を見せ、調教に騎乗した当人は、万全の状態をこう説明した。
「今回も含め、最近のケガ明けで戻ってきた時に、いろんな人から“無理するな”って言われたけど、他の人よりも、むしろしっかり治してから戻ってきているつもり。実際、前回の休み明けも、いきなり勝ったでしょ」
確かに右鎖骨骨折から3週間でカムバックした昨年12月23日は、復帰初戦の2歳未勝利戦でいきなり勝ち、ノープロブレムを結果で証明した。
日曜のGII弥生賞にはカデナという牡馬クラシックの有力馬が控えており、復帰週からいきなり大きな勝負どころを迎える。いや、大勝負といえば、カデナよりも、むしろ土曜のGIIIチューリップ賞で騎乗予定のミリッサの方かもしれない。
すでにクラシック出走への賞金ラインをクリアしているカデナとは違い、こちらは1勝馬。ここで3着以内に入らないと桜花賞出走は絶望的になるからだ。
「ミリッサ? あの馬は走るよ。前回(エルフィンS3着)は京都の前残り競馬になったから、ああいう結果になってしまったけど、阪神なら違うはず。強い馬も出てくるが、こっちには使っている強みがあるからね。十分勝負できると思っている」
テン乗りながら、実際にエルフィンSでミリッサの末脚を封じて勝ったサロニカの鞍上だった男の言葉だけに説得力がある。一方、担当の大井助手の言葉もまた力強い。
「前走は展開のアヤで負けてしまっただけ。体は増えてはいないけど、カイバはしっかり食べているので、気にしなくていい。強い相手が出てくるが、ここで権利を取れなければ、本番どうのとは言えなくなるわけだから」
阪神JF1、2着のソウルスターリング、リスグラシューという強敵相手に、昨年のオークス馬シンハライトの妹という良血ミリッサがどんな走りを見せるのか。福永の手綱さばきともども注目だ。(栗東の坂路野郎・高岡功)