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京成杯1人気1着馬の価値といつの間にか強い馬はここでもいつの間にか強いか。

  • 2017年03月02日(木) 12時00分


京成杯を1人気で1着したコマノインパルスは弥生賞でも勝ち負けできるのだろうか?

現状の評価は予想2人気。2人気とは言え、安心はできない。
先週の阪急杯では単1倍台だったシュウジが馬群に沈んだ(シュウジに関しては心配したけど、あんなに負けるとは思わなかった)。
同じく先週は中山記念でも1人気のアンビシャスが4着に敗れた(こっちは馬券圏内はカタいと思っていた)。

コマノインパルスはキャリアの浅い3歳馬。しかも弥生賞に強い社台系の生産馬ではない。心配するにこしたことはない。

#1 前走1人気で1着した京成杯に価値はあるのか。

価値の観点はいろいろあるだろうけど、1人気で1着したことに重きを置いてみる。理由は思いのほか京成杯を1人気で1着した馬がいないからだ。

99年に中山内回り2000に変更されて以後19年(2002年は東京開催)で、中山の京成杯を1人気で1着した馬はコマノインパルスを除き5頭、非1人気で1着した馬は12頭。その馬たちがその後、ダービーまでどんな成績だったのか。

京成杯(中山開催) 1人気1着馬とその後

99年
オースミブライト スプリングS7着 皐月賞2着 ダービー4着

05年
アドマイヤジャパン 弥生賞2着 皐月賞3着 ダービー10着

06年
ジャリスコライト 皐月賞7着 ダービー14着

08年
マイネルチャールズ 弥生賞1着 皐月賞3着 ダービー4着

10年
エイシンフラッシュ 皐月賞3着 ダービー1着

ジャリスコライト以外の馬は、皐月賞かダービーのどちらかで馬券圏内に好走しているのがわかる。エイシンフラッシュにいたっては皐月賞を3着し、ダービーを1着している。京成杯を1人気で1着することにはそれなりの価値がありそうなことがわかる。しかし、非1人気で1着した馬の成績も見ないとどうこう言えない。

非1人気の1着馬の成績とその後

07年
サンツェッペリン スプリングS8着 皐月賞2着 ダービー4着 

非1人気馬で京成杯を1着した12頭のうち、皐月賞・ダービーのどちらかで馬券圏内に好走したのはサンツェッペリンただ1頭。それ以外の1着馬で皐月賞・ダービーに出走した馬はすべて馬券圏外だった。

つまり、京成杯で1人気1着した馬は5分の4頭が皐月賞・ダービーのどちらかで馬券圏内に好走し、京成杯で非1人気1着した馬は12分の1頭が皐月賞・ダービーのどちらかで馬券圏内に好走したということになる。

なるほど。京成杯で1人気1着することにはそれなりの価値があることが晴れてわかった。5分の4頭のうち、2頭は弥生賞に進んで、2着、1着している。コマノインパルスにはありがたい過去歴だ。

コマノインパルスは、ジャリスコライト的でなければ、皐月賞かダービーで好走できるということだ。

ジャリスコライトはこんな成績の馬だった。
新馬    芝18 1着
いちょうS 芝16 1着
朝日杯FS  芝16 3着
京成杯   芝20 1着

コマノインパルス
新馬    芝20 1着
葉牡丹賞  芝20 2着
京成杯   芝20 1着

無理矢理、印象づければ、この時点ではジャリスコライトはマイラー色の強い馬だったけど、京成杯を勝ってしまったとも言える。もちろんその年のレベルが低かった可能性もある。

一方コマノインパルスは、当初から2000以上を意識して使われ、結果を残して来ていて、ジャリスコライトより距離適性はありそうに思える。

#2 この10年で社台系生産馬は8勝、ビッグレッド生産(マイネル系)馬は2勝。

08年 マイネルチャールズ 2人気 1着
12年 コスモオオゾラ   9人気 1着

基本的には人気の社台系生産馬が1着する。でもときどき1人気ではないマイネル系の馬が1着する。こんな構図だ。

コマノインパルスは新井牧場生産馬だから、非社台系だ。非社台系だけど、マイネル系でもない。だから少し心配だけど、今年は例年とは違う人気の構成になりそうで、そこは帳消しにできそうにも思える。

この10年で社台系生産馬が1人気をゆずったことは1度もない。
しかし今年は、1人気を非社台系にゆずりそうだ。

予想1人気 カデナ グランド牧場生産 馬主・前田氏(ノースヒルズ系)
予想2人気 コマノインパルス 新井牧場生産 馬主・長谷川氏
予想3人気 ダイワキャグニー 社台F生産 馬主・大城氏
予想4人気 グローブシアター ノーザンF生産 馬主・キャロット
予想5人気 ダンビュライト ノーザンF生産 馬主・サンデーR

社台系の馬が予想とはいえ、3〜5人気に甘んじている。これは珍しい。めったにないことだ。実オッズでひっくり返ることもないとはいえないけれど、経験上、今年は1人気は非系生産馬にゆずるように思えてならない。

しかも、マイネル系の馬もいない。
ならば、今年は例外、珍しい年と認定して、社台系でもマイネル系でもない馬に狙いを定めてもいいのではないか?

っていうか、京成杯を1人気1着して、弥生賞を2人気で1着した非社台生産の雄マイネルチャールズの戦歴は参考になるかもしれない。

マイネルチャールズ
新馬   芝18 2人気4着
未勝利  芝18 2人気1着
葉牡丹賞 芝20 1人気2着
ホープフルS 芝20 2人気1着
京成杯  芝20 1人気1着
弥生賞  芝20 2人気1着

葉牡丹賞を2着したり、京成杯を1着したりと、コマノインパルスと近い感じがする。今年はマイネル系の替わりにコマノインパルスが1着すると判定してもいいように思えて来た。

もう少しダメを押してみたい。
競馬王3月号の「新・究極コース攻略」によると、中山芝2000の上級条件では第一に「同距離」(つまり前走2000)、第二に「前走3角10番手以下」がいいとある。

コマノインパルスの前走は芝2000、前走の3角の位置は10番手。
ここでも合格だ(該当馬はコマノインパルスのみ)。

鞍上・田辺は1回中山で11勝(+中京開催で2勝)をあげたけれど、1回東京では5勝しかあげられなかった。しかし、2回中山に戻って、早くも5勝をあげた。中山記念でも7人気のロゴタイプを3着に持ってきた。調子が戻っていそうだ。

京成杯を1人気で1着して、弥生賞に進んだ2頭は前記したように2着(アドマイヤジャパン)、1着(マイネルチャールズ)している。いろいろ加味すると、ここでもコマノインパルスは通用するのではないか。ここで連対できるなら、皐月賞かダービーでいっそう狙えそうで(1着はともかく馬券圏内で狙える)、どのみち、コマノインパルスには注目だろう。(ここで勝ち負けできなかったらどうなるのか?その時は改めて考察でいい)

1人気のカデナについては、前走京都2歳Sを1人気で勝っていないことと、非社台系生産馬が1人気で勝っていないことと、武豊が思ったより早く手放した理由が自分にはわからないことから、下げてみることにした。

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弥生賞・注目馬
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コマノインパルス

ダイワキャグニー

ダイワキャグニーは怖い。北村宏騎乗の先行馬やダイワ系の先行馬は、この時期、いつの間にか強いことがある。キタサンブラック(スプリングS5人気1着)やダイワメジャー(スプリングS11人気3着、皐月賞10人気1着)のように。

この馬の「いつの間にか」の買い時は前走、6人気で1着したセントポーリア賞だったのかもしれないけれど、ここでも3人気なら、まだほのかに「いつの間にか臭」が残っているともいえる。だからナイガシロにしない。

セントポーリア賞で2着したエトルディーニュに騎乗していた田辺がダイワキャグニーの強さを一番体感しているかもしれない。ならば京成杯の時より位置を上げてくるかもしれない。それで勝ち負けできるなら、いよいよほんまもんだろう。

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チューリップ賞・注目馬
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カワキタエンカ
ミリッサ

ソウルスターリングとリスグラシューのワンツーは想像できても、この2頭両方が馬券圏外に敗れるシーンは想像できない。だからこの2頭の間に割り込めるか、3着に粘り込めるかをイメージしてみた。

カワキタエンカはデビューして2戦だけど、どちらも重馬場だった。で、新馬戦1着、千両賞3着。父ディープインパクトだし、重馬場より良馬場のほうが成績をあげる可能性はある。新馬戦のレース後コメントでも「良馬場のほうがよさそう」とあった。今回登録しているディープインパクト産駒3頭の中では一番大きそうで(前走464キロ。ダノンディーヴァより少しだけど大きい)、隠れた才能が潜んでいるかもしれない。

ミリッサは前走410キロだった。基本的に430キロを切る馬はクラシックでは買いにくいけど、チューリップ賞までは食い込める場合もある(それでも過去10年で4頭しか馬券になっていないけど)。

でも何らかのプラス要素があれば、なんとかなるのではないか?
ミリッサは去年1着したシンハライトの異父妹。母シンハリーズの子ども達は、シンハライトだけでなく、アダムスピークもリラヴァティもアダムスブリッジも阪神で成績をあげる馬たちだった。それを理由に去年も初阪神でもシンハライトに期待してみた。

シンハライトとアダムスピークは父ディープインパクトだったけど、リラヴァティとアダムスブリッジは父ゼンノロブロイだった。父が違っても阪神が得意ならば、父ダイワメジャーのミリッサでも期待してみたくなる。

今回は勝ち負けというより桜花賞の権利をしっかり取るレースをするのではないか?それがどういう競馬かはわからないが、ベストポジショニストの福永騎手がきっちりいい位置を取ると思っている。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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