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“3歳6冠”レースの意外な“格差”

  • 2017年03月04日(土) 12時00分


◆クラシック制覇には運を使う?

 チューリップ賞に弥生賞。3月に入ってこういうレース名を聞くと、「あぁもうすぐクラシックレースの季節なんだなぁ」と思います。春はすぐそこです。

 今年はどの馬がクラシック戦線を賑わせてくれるのか?その話をするのはもちろん楽しみですが、今回はちょっと立ち止まって、近年の“3歳6冠レース”(皐月賞、ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス、秋華賞)を勝った馬の“その後”について調べてみました。

 ご存知のように、それらを制した後も長く活躍した馬、それっきり勝てなくなってしまった馬など、明暗はくっきり。もっと細かく言うと、3歳限定戦まではよかったけど、古馬混合戦では勝てなくなっちゃったとか、クラシック制覇を最後に引退を余儀なくされたとか、さまざまなタイプがいます。

 では、ここ10年の“3歳6冠レース”優勝馬の中で、古馬混合G1戦を最も多く制したのはどの馬でしょう?

 正解はウオッカ(2007年ダービー馬)。安田記念2勝と天皇賞・秋、ヴィクトリアマイル、ジャパンC各1勝の計5勝をマークしました。これに、ゴールドシップ(12年皐月賞+菊花賞馬)が4勝(宝塚記念2勝と有馬記念、天皇賞・春各1勝)、ジェンティルドンナ(同年牝馬3冠馬)も4勝(ジャパンC2勝とドバイシーマクラシック、有馬記念各1勝)で続いています。

 勝ち馬が後に古馬混合G1を制したかどうかで区別すると、“3歳6冠”レースには意外な“格差”がありました。ここ5年で言うと、古馬混合G1勝ち馬を最も多く輩出しているのが菊花賞。先のゴールドシップの他、13年のエピファネイア(ジャパンC)、15年のキタサンブラック(天皇賞・春、ジャパンC)、16年のサトノダイヤモンド(有馬記念)の計4頭が古馬混合G1を制しました。

 逆に、この5年間に古馬混合G1優勝馬を1頭も出していないのがなんとダービー。ワンアンドオンリーかマカヒキがどこかで勝てば、その流れにピリオドを打つんですけど…。

 その前、09年のロジユニヴァース、08年のディープスカイも、古馬混合G1では勝てませんでした。ここ10年に限れば、ダービー+古馬混合G1優勝という馬はむしろ少数派です。

 でも、別に気にすることはないかもしれませんね。ダービー馬の中にはオルフェーヴルやウオッカ、そのちょっと前のディープインパクトみたいなスゴイ馬がいたわけですから、古馬になっても大活躍する馬がそのうち出てくるでしょう。

 ちなみに、ここ10年の“3歳6冠”優勝馬全49頭のうち、それに勝った後の重賞勝ちがない馬が17頭、つまり3頭に1頭以上もいます。クラシックレースを勝つというのは、力もそうですが、かなりの運を使っているのではないかと思っちゃいます。

 今年のクラシックレースが始まる前に、もうこんな話をしている私は、ちょっと先走り過ぎですかね?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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