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GIへ向けてのトライアル、休み明けの仕上がり具合は!? 3重賞の追い切りチェック!

  • 2017年03月08日(水) 18時00分


ジューヌエコールは休み明けの不安なし

 好天で行われた3月8日の栗東トレセンでの追い切り。次々に重賞出走予定の馬たちが追い切っていて、それを見ていくだけでも結構な量。しかし、そんな忙しさがあっても「やっぱり見ていて良かった」と思える瞬間があるからこそ。その瞬間は馬券的中の時であることは言うまでもないと思いますが、それ以外だと端から見ていて「こうだ」と思っていることが、騎乗者も同じように感じていると分かった時。

 トレセンニュースでもお伝えしたシュヴァルグランがまさにそれ。先週までの時点でも調教担当者からは「変わってきている」ということを聞いていましたが、主戦である福永祐一騎手が跨った時にどんな感触なのかが一番知りたかったんですよね。そして、8日の追い切りにジョッキーが騎乗。すぐにジョッキーに感想を聞きました。細かなことは書きませんが、ジョッキーからは「ハミに向かっていく調教に対して、変わろうとして良くなっている」と聞くことができました。それと同時に「ハミに向かっていく分、後ろがもっと入ってこないと」ということも聞け、今後はそういった点に注意しながら追い切りを見ていけばいいということが分かりました。

 シュヴァルグランに対して「モデルチェンジ」という言葉を使いましたが、私自身もそういった変化を見ていくことで、調教捜査官としてモデルチェンジができると思っています。まだまだ勉強ですが、やはりいろんな意見を聞くことができる環境で追い切りを見れることは最高。あとは結果・・・、ですよね(汗)。

【金鯱賞/ヤマカツエース】

 有馬記念以来の休み明けとなりますが、この馬らしく、2月5日から時計を出し始めて、ここまでじっくりと乗り込んできました。本数だけでなく、1週前追い切りではCWで6Fから素晴らしく速い時計をマーク。こういった動きができた時点で、すでに仕上がり万全といってよいと思います。

 最終追い切りは単走。とはいっても、朝一番の馬が多い時間で他厩舎の馬がいろんなところで視界に入る状況。だからといって、リズムを乱すこともなく、自分のペースで走り抜いてきました。時計は6F82.7〜5F67.0〜4F52.4〜3F38.2〜1F12.0秒。1週前しっかり、最終追いゆったりとベストな仕上げ。あとは57キロが大きなマイナス材料にならなければ。

ヤマカツエース(3月8日撮影)

ヤマカツエースはゆったりとベストな仕上げ(3月8日撮影)


【金鯱賞/ステファノス】

 香港カップから3ヶ月ぶりのレース。2月7日に栗東へ帰厩して、標準的な追い切り本数を消化。追い切り内容に関しては、坂路ではあまり速い時計を出さず、CWでしっかり追うという形。3月2日のCWでは6Fから追い切って、終い重点で力強く動けているという印象でした。

 最終追い切りはCWで単走。個人的には終い重点だろうと思っていましたが、道中のラップが思っているよりも速く、最後までそのスピードが衰えることはありませんでした。結果、時計は6F78.7〜5F63.7〜4F49.6〜3F36.5〜1F12.5秒で楽々自己ベストを更新。勝ち切れないレースが続いているだけに、これくらいしっかりと時計を出す方が結果につながるのかも知れませんが、個人的には併せ馬で最後がシュパンと切れる動きが好みです。

ステファノス(3月8日撮影)

追い切りで楽々自己ベストタイムを更新したステファノス(3月8日撮影)


【中山牝馬S/パールコード】

 エリザベス女王杯4着の後、ひと息入れてから、ここを目標に調整。最終追い切りも含めると、9本の坂路とCWでの時計。昨秋は馬場状態から栗芝での追い切りが続きましたが、CWでの追い切りの方が負荷が強いだけに、年齢をひとつ重ねての強さも感じさせてくれます。

 最終追い切りはCWでグレイトパールを追走して、後ろからはレインボージャージが追いかける流れ。しかし、4コーナーでは本馬が大外に回って、前に2頭を見るような形。しかし、手応えが違っていて、楽に2頭を捕まえて先着。その時計は6F80.0〜5F65.0〜4F51.0〜3F37.3〜1F12.1秒と休み明けだったり、中山競馬場までの輸送があるのに、しっかりとやってきたなあという印象。55キロは楽な斤量ではありませんが、それだけ力を見込まれているということ。その実力はしっかり発揮できる状態です。

パールコード(3月8日撮影)

実力はしっかり発揮できる状態にあるパールコード(3月8日撮影)


【フィリーズR/レーヌミノル】

 調教とは関係ないところでの感想になりますが、前走クイーンCを見ていると、やっぱりマイルという距離は長いのではないかという感じ。上位3頭が強いのはよく分かりますが、キャリア1戦のハナレイムーンにクビ差まで迫られた内容がそう思えてなりません。

 それだけにここでの距離短縮は大きなプラスになるでしょう。ただnetkeiba.comの予想単勝オッズで2.0倍(8日16時現在)は少し人気しすぎている印象も。だって、勝ち鞍は1200mしかないわけですから。もちろん追い切りの動きは素晴らしく、1週前は速い全体時計をマークし、最終追い切りは終い重点。調教から気になる点は一切ないので、当然馬券的にも評価しないといけないでしょうが、動きだけで過信するのもいかがなものでしょうか。

レーヌミノル(3月8日撮影)

レーヌミノルの動きは素晴らしいが、過信するのもいかがなものか(3月8日撮影)


【フィリーズR/ジューヌエコール】

 個人的にはデイリー杯2歳Sのようなレースができれば、マイルもこなせる馬だという認識。ただ、それにはすべてがうまくいくという条件が付くので、多少ロスがあっても勝ち負けできるベスト距離は1400mではないでしょうか。それを象徴するのがききょうS。少頭数だったとはいえ、出負け気味に後方から差し切りを決めた内容がそれを示しています。

 帰厩当初にCWで追い切った時はテンションが高い印象がありましたが、追い切るごとにそれは解消しています。最終追い切りでは前半脚をためて後半伸ばす走りができており、休み明けの不安もありません。あとはスタートと位置取り。それ次第ということになりそうです。

◆次走要注意

・3/4 オーシャンS【コスモドーム】(9人/7着)

 4コーナーから直線へ向くところで、一瞬は伸びてくると思いましたが、結果的には前も止まらない展開。これなら結果的に前走のような積極的なレースの方がよかったということ。

 しかし今回のレースは次走以降に必ず役立ってくるはずで、芝1200mならオープンもしくは重賞で勝てる順番が回ってくるはず。

[メモ登録用コメント] [芝1200m]最終追い切り美浦坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

・3/5 3歳未勝利【アドミラブル】(2人/1着)

 喉の手術を施して、結果的には正解。追い切りではしっかり動けていたので、それがレースでも結果となって表れたのでしょう。

 まだ安心はできませんが、能力が一級品であることは確か。次走以降も最終追い切りでしっかり動くことができれば。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切り栗東坂路で4F51秒台、1F12秒台なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・障害未勝利【プランスペスカ】
 先週の障害試験に合格。ウマい馬券でも障害レースに関しては、予想を入稿していませんが、この馬に関しては別。飛越の上手さ、そして最終追い切りで見せた、平均ラップをずっと持続するという走りに障害センスの塊を感じます。

プランスペスカ(3月8日撮影)

走りに障害センスの塊を感じるプランスペスカ(3月8日撮影)



【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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