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プラチナヴォイス 攻めの調教は吉と出るか?/トレセン発秘話

  • 2017年03月15日(水) 17時59分


◆いかに馬の状態を見極めて、極限まで攻め抜けるか

 牡馬クラシックの有力馬だったブレスジャーニーの故障を報じた新聞記事を見て、松田調教師が自身の経験を重ねつつ、こう口にした。

「今の時期は本当に難しいですね。馬の成長度合いと、走りたいという気持ちが、なかなかバランス良く一致しない。体がまだ出来上がっていない段階で、気持ちだけで走り切ってしまうと、馬が壊れてしまう。でもクラシックは攻めないと勝てないんです」

 かつてタニノギムレット、キングカメハメハなど、歴史に名を残すクラシックホースを出しながら、それらが古馬になる前に、故障により引退を余儀なくされてしまったトレーナーの言葉だけに“重み”がある。

「ウチは攻めて、攻めて、攻め抜いてクラシックを勝ったけど、それでは“古馬になるまで馬が持たない”と言われて…。攻めを加減したら、クラシックを勝てなくなってしまったんです」

 ディープインパクトのようにずぬけた能力があれば、ギリギリまで攻めなくてもクラシックを勝ててしまうのだろうが、本来はいかに馬の状態を見極めて、極限まで攻め抜けるか。これこそが、クラシックで栄冠を勝ち取るために避けては通れない過程なのかもしれない。

 スプリングSに向けてプラチナヴォイスは明らかに“攻めてきた”。前走のきさらぎ賞(4着)では道中、内にササって直線はまともに追えなかった経緯を踏まえ、この中間は調教内容に大幅に変化を加えたのだ。

「トラックでより多く乗るようにしているし、併せ馬では前に馬を置いて、その内から抜くような形でササらないように矯正している。競馬ではブリンカーを着けることも考えているよ」とは担当の織川厩務員。

 現時点でプラチナヴォイスの賞金1200万円は、クラシック当確とは言えない微妙なライン。だからこそ、このスプリングSで皐月賞の優先出走権が与えられる3着以内、いや、できれば2着以内で賞金自体を加算し、日本ダービーまでの出走を確かなものとしたい。攻めの調教は果たして吉と出るのか? 最終追い切りまで見守ったうえで、その評価を決めたい。(栗東の坂路野郎・高岡功)

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