コウソクストレート シンザン記念14着惨敗でも狙いたいワケ/トレセン発秘話
◆「まだこれからの馬」と上を見る中舘英二調教師
馬体重の増加は時に充実の証しだ。例えばアパパネ。2歳女王に輝いた阪神JF時はデビューから20キロ増の472キロ。さらに秋華賞は18キロ増(490キロ)で牝馬3冠を成し遂げた。先週の金鯱賞を制したヤマカツエースも、昨年は使うごとに体が減ったが、近走は逆に使うごとに増えている(近3走20→4→8キロ増で1・4・1着)。よほどいま具合がいいのだろう。
さて、その観点からも期待したのは、デビュー時から14キロ増で出走したコウソクストレートの前走シンザン記念。しかしレースは14着の着順以上に目を覆いたくなるような3秒1差の大敗。京都への輸送で何かあったのかと勘繰りたくなるような惨敗だった。
「いや、馬はおとなしかったし、いつも通り。8キロ増の数字が示すように輸送にトラブルはなかった。ただ、初コースで相当に舞い上がったね。大外枠で壁がつくれず、終始かかり通し。馬場(重)も合わず、自分の走りがまったくできなかった。あれは参考外でしょ」
管理する中舘英二調教師は先週、まるで前走がノーカウントであるかのようにサバサバと振り返った。いまさら失った金は返ってこないので、文句は言うまい。気持ちを切り替えて聞くべきは今週18日の中京GIIIファルコンS(芝1400メートル)。放牧を挟んでの巻き返しがあるか否かである。
「前走時はマイルもいけると思ったが、体形が徐々にスプリント寄りになってきた。その意味でも3戦2勝の千四に戻るのはいいはず。何より重要なのは自分の走りをするためのメンタル面。スイッチが入りやすい気性を考慮して、今回はメンコを装着。ハミをトライアビットに替え、舌も縛って万全の構えで行くつもり。出遅れて4着だった京王杯2歳Sも、いま思えば相当に強力なメンツだったしね。ゲート練習も積んできたから、流れに乗れば違うはずだよ」
指揮官の語る通り、京王杯V馬モンドキャンノは朝日杯FSで2着、2着レーヌミノルは阪神JF3着。そのメンバーにあってナンバー2の上がりを記録した脚力は、GIIIなら上位のものがあるのも確かだ。「まだこれからの馬」と上を見るトレーナー。リフレッシュ効果で心身が充実するようなら、その伸びシロを買う手がある。(美浦の宴会野郎・山村隆司)