◆差し馬向きとはいえない馬場を承知で… 改修直後はタフな芝だった中京競馬場の芝コンディションは、昨年のこの時期には(正確には高松宮記念の行われた第3週目)、中京芝1200mのそれまでのレコード「1分08秒0」が、1分07秒4→最下級条件500万で1分07秒3→と連日更新され、高松宮記念はとうとう「1分06秒7」。日本レコード級の高速決着だった。
路盤の排水整備も関係して、中京芝コースの高速化は今年も進んでいる可能性が高い。
1週目の先週は、中京芝1400mのレコードが条件戦で「1分19秒6」にまで更新され、超スローにも近い2000mの金鯱賞は「60秒4-58秒8」のバランスでも、1分59秒2だった。
この3歳戦の1400mは、15年を除き「差し=追い込み」馬の天下のイメージが残っているが、今年は差し馬、追い込み馬に有利な馬場コンディションではない可能性のほうがはるかに高い。外枠に人気馬が多いが、内枠の先行馬には要注意だろう。
そういう差し馬向きとはいえない馬場を承知で、差しの
ナイトバナレット(父ディープブリランテ)を中心にしたい。前回のジュニアC1600mは、追い込みがツボにはまった印象があるが、この馬自身の1分34秒7の前後半バランスは推定「47秒3-47秒4」。上がりは35秒3-11秒3であり、決して先行馬の崩れに乗じて…という追い込みではない。実際、2-5着の4頭はみんな好位で流れに乗っていた馬だった。
レース全体のバランスは「45秒9-48秒8」=1分34秒7。前半1000m通過は58秒2なので、1勝馬も多かった中山のマイル戦とすれば実はきついペースだが、騎乗していた中谷騎手(ナイトバナレットとは2戦2勝)はレース後、「ペースが遅くなって、かかり気味になった」とコメントしている。3歳馬が1000m通過58秒2のペースを追走して、流れが遅いのでかかり気味…、となるのは豊かなスピード能力の証明である。
この一族は、姉の4歳牝馬アルジャンテ(父ディープインパクトは、ナイトバナレットの父ディープブリランテの父親)の全3勝が芝1400mであるように、時計の速いレース向きのアメリカ血統。
アルジャンテ、ナイトバナレット姉弟に芦毛を伝えるのは、3代母ミリーアンドミーの父方に流れる種牡馬プロミストランドの芦毛であり、プロミストランドは天才種牡馬サンデーサイレンスの母ウィッシングウェルの、父方祖父である。そこで、サンデーサイレンスの秘める芦毛のマームードの「4×5」にプロミストランドは関係している。
1400mのわりにはハイペースになりそうもないが、さすがにこの距離の重賞レースならナイトバナレットが折り合いに苦心することはないだろう。
関西に転じてやっと騎乗機会が増え、昨年は25勝、今年も先週まで【6-9-2-81】の中谷雄太騎手(37)。いよいよ初重賞制覇のチャンスだ。思い切り良くスパートしたい。