スマートフォン版へ

【矢作厩舎の厩舎力(完結編)】矢作芳人調教師(後編)『非合理な過去の慣習なんて変えてしまえばいい』

  • 2017年03月17日(金) 18時01分


(前編のつづき)

馬主に年間約2億円の還元


 ご存じの競馬ファンも多いかと思うが、開業時から変わらぬ矢作厩舎のスローガンといえば、「よく稼ぎ、よく遊べ!」

 これについては、実践しているのはもっぱら調教師だという噂もなきにしもあらず(笑)。当の本人のこんな嘆き節が聞こえてくる。

「最近の若いやつは遊ばないんだよねぇ。いわゆるリア充っていうの(笑)? 私生活を充実させるために、みんな頑張って働いてるんだからさ。働いて稼いだ分、やっぱりもっと遊ばなくちゃ。いつも言ってるんだけどねぇ」

 そして、さらに矢作らしさが溢れているのが、こちらも開業以来、モットーとして掲げる「一銭でも多くぶんどる!」というフレーズだ。ぶんどる相手は、もちろんJRA。一見すると刺激的な言葉だが、ここには経営者としての矢作の理念が詰まっている。

「その言葉を使うとき、一円にしようか一銭にしようか迷ったんだけど、一銭のほうがインパクトがあるなと思って(笑)。言葉の意味としてはそのまんまで、ひとつの企業として、一銭でも多く利益を上げたいというのは当たり前のこと。うちの出走回数の多さもここにかかってきます。

 ファンの方は知らないかもしれないけど、1回出走するだけで、馬主さんには約40万円の特別出走手当が入るんです。一度競馬に使うだけで約40万円もくれるなんて、世界中のどこを探してもJRAだけ。となれば、出走回数にこだわらなかったらそれは嘘でしょう。

 うちは毎年、500回以上出走させているから、たとえば40万×500回で2億円。特別出走手当自体は厩舎には一銭も入ってこないけど、馬主さんにはそれだけで合計2億円の還元ができる。もちろん、いい着順にきてくれればそれが一番だけど、たとえそうではなくても、企業として株主である馬主さんに還元できれば、それは成功のひとつだと俺は思う。

 ただ、ファンにはけっこう批判めいたことを言われているのもわかってる。「矢作厩舎は数打ちゃ当たるで打率が悪い」とかね。俺ね、さっきも言ったけどけっこう“気にしい”なんで、ネットとかで叩かれているのを見るとすっごく落ち込むんだよね(苦笑)。

 それはともかく、馬主さんに喜んでもらえれば、いい馬を預けてくれるチャンスも増える。その結果、競馬界を盛り上げることもできるし、ファンにも喜んでもらえると俺は思ってるから」

続きはプレミアムサービス登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeiba豪華ライター陣による本格的読み物コーナー。“競馬”が映し出す真の世界に触れてください。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング