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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2005年01月11日(火) 18時01分
 131回目の開催を迎える今年のケンタッキーダービー(5月7日、チャーチルダウンズ競馬場)の総賞金が、従来の100万ドルから200万ドルに倍増されることが主催者から発表された。

 昨年暮れ、アメリカの競馬日刊紙デイリーレーシングフォームが04年の世界高額賞金レース・トップ100を発表し、世界各国のダービーの中でケンタッキーダービーの賞金は上から9番目に過ぎないと、やや自嘲気味に書かれたことをこのコラムでも御紹介したが、まるでこの声に呼応したかのような大盤振る舞いである。05年のすべてのダービーの賞金が出揃ったわけではないが、他国のダービーが05年も04年と同賞金であれば、ケンタッキーダービーは日本、英国に次いで、UAEと並んで世界3番目の高額賞金ダービーとなる。

 これにともない、上位入着馬に対する賞金の分配方法も変更。従来は、4着馬まで賞金が支給され、1着・70%、2着17%、3着8.5%、4着4.5%の割合で分配されていたが、今年から5着馬まで賞金の対象となり、分配の比率は、1着・62%、2着20%、3着10%、4着5%、5着3%と、2〜5着馬に厚いものに改訂されることになった。

 本番までまだ4ヶ月近くあり、Run for Rosesと呼ばれるケンタッキーダービー戦線が本格化するのはこれからだが、目下地元のメディアが最有力候補と推しているのが、ロックポートハーバー(父アンブライドルズソング)。

 02年4月7日にケンタッキーのテイラーメイドファームで生まれたロックポートハーバーは、母がステークス勝ち馬で、母の半妹にG2アディロンダックS勝ち馬リーガリーアピーリングがいるという、まずまずの血統。03年のキーンランドセプテンバーセールに上場され、47万ドルで現馬主のリック・ポーター氏(馬主登録名はフォックス・ヒル・ファームズ)に購買され、昨年スマーティージョーンズで一躍名を馳せたジョン・サーヴィス厩舎の一員となった。

 04年9月にフィラデルフィアパークの5.5Fのメイドンでデビューし、ここを8.3/4馬身差勝ち。次走、同じくフィラデルフィアパークの6.5Fのアロウワンスも7.1/2馬身差勝ちしたのち、次走はペンシルヴェニアを出てアケダクトの8FのG3ナシュアSに挑戦し、ここも6.1/4馬身差の圧勝で重賞初制覇を果たした。

 最近走は11月27日にアケダクトで行われた9FのG2レムゼンSで、ここも制してデビューから4連勝を飾った。実はこのレース、ロックポートハーバーは最初のコーナーで他馬と接触して、右後肢を負傷。レース後は大量の血を流しながらの凱旋という深い切り傷だったが、それでも同じくここまで無敗だったギャロッピンググローサーを首差斥けて優勝。勝ちタイムの1分48秒88というのはレース史上2番目という好タイムで、潜在能力の高さをうかがわせた。

 その後、負傷の状態が心配されたが、年内いっぱいを治療に専念した後、年明けから乗り運動を再開。昨年のスマーティージョーンズ同様、オークローンパークのG3レベルS(3月19日)、G2アーカンソーダービー(4月16日)を叩いて本番という青写真が描かれている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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