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高松宮からドバイまで、重賞ぜんぶのせ

  • 2017年03月23日(木) 12時00分


先週は大1人気の馬を観戦しつつ、小1人気の馬の重賞で資金を増やそうと企んでいた。大1人気とはもちろん、サトノダイヤモンドとファンディーナのこと。サトノダイヤモンドにはいい競馬をしてもらい天皇賞春で大1人気になってもらおう、ファンディーナにはG3を楽々と突破してもらい、桜花賞で大1人気馬になるであろうソウルスターリングに接近遭遇してもらおう、そう考えていた。

で、実際その2頭はインパクト十分な走りで1着した。よ! 池江屋! よ!高野屋! よ! ルメール屋! よ! 岩田屋! と歌舞伎っぽく掛け声をかけたくなるような走りっぷりだった。走ってるのは馬だから、本当は馬の名前で声を出すのが正解なんだろうけど、サトノダイヤモンド屋! ファンディーナ屋! では調子が出ない。にしても、岩田屋! はしっくり来るなぁ〜。うん、語呂がいい! なんて言ってる場合ではなかった。

小1人気のサトノアレスと中山18の鬼・Mデムーロのトリコロールブルーのどちらかは、3着は外さないだろうと判断し、万全を期して、プラチナヴォイスとの3連複を購入したつもりが、サトノもトリコロールも揃って馬券圏外に惜敗してしまい、自分の企て、思惑、皮算用がトリコロールで散って、ブルーになっていたんだっけ。

プラチナヴォイスはみっかっていたのに1銭にもならないていたらく。先々週もロードヴァンドール(金鯱賞)、トーセンビクトリー(中山牝馬)と、ここで取り上げた伏兵は活躍していたのに上手に馬券に落とし込むことはできなかった。ここのところ上手く整理整頓ができてない感じで、トリコロールレッド。血だるまだ。

今週は、高松宮記念他、ぜんぶで重賞が7つもある(ドバイも入れてます)。整理整頓しないと、てぇへんなことになる。もっと合理的に落としこまねば…。

というわけで、今、研ぎすまされた刃のようなタッチで合理的に競馬と馬券を語り斬る本島修司さんの最新刊「合理主義競馬」を血まみれになって読んでいる。非合理にまみれて散らかった自分を整えるためだ。

この本で語られていることは、好走する馬の本質についてと、(レースを何度もよく見るべしという)フィールドワークの重要性についてだから、即効で乱れた気持ちが整理されるわけではない。ただ、G1レースの絶対的なセオリーも掲載されている。1着にもっとも近い馬のセオリーが贅肉を削ぎ落して、合理的にまとめられているのだ。なんだかんだで「即効」大好きな自分にはたいへんありがたい項目だ(にしても騎手に対する眼差しがヤバイくらいにクールだ! クールすぎて、逆にヤケドしそうだ!)。

うむ、今週はリハビリを兼ねて、7つの重賞すべてちゃぶ台にのせてみよう。

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#1毎日杯
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毎日杯を1着した馬がNHKマイルで1人気になると1着する。

クロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイ、ダノンシャンティ…毎日杯での勝ちっぷりが認められて、NHKマイルで1人気に支持され、1着した馬たちだ。

しかし、最近はキズナがサンプルになっているのか、1戦挟んでダービーに向かってしまうパターンが増えた。でもその路線で成功したのはキズナのみ。去年の1着馬スマートオーディンもキズナパターンで京都新聞杯(1人気1着)を挟んで、ダービーに出走し、5人気で6着に負けた。キズナと違ったのはダービーで1人気になれなかったこと。NHKマイルに出走していたら、どうであったろうとは少し思う。

今年出走する馬たちは1着したらダービーを目指すのか、NHKマイルを目指すのか?

サトノアーサーは予想では断然の1人気だ。毎日杯の1人気馬は単3.5倍より人気ならば馬券圏内有力だけど、サトノアーサーの単勝は予想では1.8倍。これなら実オッズで3.5倍以内になるのは間違いない。馬券圏内では鉄板だ! でも1着しか許されない馬だろう。サトノアーサーは取りこぼしなく1着して、京都新聞杯などを挟みつつ、ダービーへ向かうのか? 実に興味深い。

毎日杯・注目馬
キセキ
ガンサリュート

キセキは2頭出しの角居厩舎(クリアザトラックとキセキ)の人気のなさそうな方。
クリアザトラックはずっとMデムーロ騎乗で、今回シュタルケと思いきや四位だった
シュタルケは2頭出しの池江厩舎のアルアインに騎乗するかとも思っていたら、そちらは松山で、シュタルケはキセキだった。

シュタルケ争奪戦が勃発していたか!?
それはともかく、ノーザンF系に騎乗することの多いシュタルケが非社台系生産のキセキに騎乗するのは、これまた興味深い。

角居厩舎には角居厩舎なりの狙いがあるはず。なんてったって2戦目で東京に遠征させている(セントポーリア賞1人気5着)。だからシュタルケをキセキに乗せたかったとみて、そこに乗っかる。シュタルケは毎日杯ではガイヤースヴェルトで6人気2着、ステファノスで4人気3着の実績もある。4〜7の伏兵人気で頑張る騎手とみた!

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#2 日経賞
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1人気は予想ではゴールドアクター。
きっと中山2500で強い(2-0-1-0)ことが評価されているのだろう。

4歳馬は最大で5頭出走。
シャケトラ・ジュンヴァルカン・ディーマジェスティ・ミライヘノツバサ・レインボーライン

勢いのある4歳勢が、中山2500のスペシャリスト・ゴールドアクターに太刀打ちできるかが焦点だろう。

4歳の包装紙でゴールドアクターを包む。それで一件落着にも思えるほどだ。

その一方で、今年は伏兵が割り込めるチャンスも増しそう。

日経賞は出走頭数が増えるほど、伏兵チャンスが生まれやすくなるからだ(1人気馬がダメと言ってるわけではない)。その目安は14頭。13頭以下だと6人気まででだいたい決まるのが、14頭以上だと7〜10人気くらいの馬にもチャンスが生まれやすくなる。今年は19頭が登録しており、14、5頭、いや16頭立てになるかもしれない。

メンバーを眺めると、6人気までに4歳馬も3頭入りそうで、4歳とアクターで決着がつきそうにも思えるけれど、16頭立てなら枠の有利不利も生まれるはずで、まだわからない。

日経賞・注目馬
シャケトラ
ジュンヴァルカン
ヤマカツライデン

シャケトラは伏兵ではない。予想でも3人気だ。
しかし、金子オーナーの馬に田辺が騎乗するとなると、プロディガルサンの流れからスルーできない。田辺はプロディガルサンには5回騎乗して、0-1-1-3だった。前走の金鯱賞では2人気に支持されて7着に負けてしまった。

それでも、浜中の代打とはいえ騎乗するということは、金子オーナーの信頼を獲得しつつあるということでもある。田辺の日経賞といえば、ホッコーブレーヴの2着、3着。どちらも道中10番手前後を追走し、末を伸ばした。田辺の得意パターンとシャケトラがマッチしたら、ここでも勝ち負けできるのではないか。

シャケトラは強烈な末脚を武器に勝ち上がってきた馬だ(全5戦中・上がり1位4回、3位1回)。道中の位置は中団よりやや前。それで上がりを繰り出せているのだから、末はほんまもんに思える。

ジュンヴァルカンは伏兵ゾーンにいそうな4歳馬だから。
ヤマカツライデンは3戦連続で京都のG2を逃げて捕まってきた。それなりに人気もあった(4、5人気)が、今回はだいぶ人気を落としそう(予想11人気)。ネコパンチするならここ! と思えなくもない。先行するゴールドアクターより2馬身くらい前で淡々と逃げられれば、一縷の望みはあるか。

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#3 マーチS
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裏で高松宮があって、遠くでドバイがあるから、騎手未定や、乗り替わりが多い。
しかも出走できれば人気になりそうなセンチュリオンやバスタータイプも現状は除外対象。想定しづらいレースだ。

それゆえにか、1〜3人気の成績も総じてよくない。
1人気1-1-2-6
2人気1-1-2-6
3人気1-0-2-7

6人気2-3-1-4

迷ったら6人気を買ったほうがいい。
ただ現状、上位人気になりそうな馬の出走が確定してないので、6人気は読めない。これは当日のお楽しみだ。

マーチS・注目馬
コスモカナディアン
ディアデルレイ

仁川Sと総武Sをちょっと負けた馬がよろしい傾向もある。
コスモカナディアンは仁川Sを2着、ディアデルレイは総武Sを5着。
しかもどちらも前走と同じ騎手。

コスモカナディアンは予想2人気。
ディアデルレイは予想8人気。

6人気は読めないと記したけど、予想3人気のセンチュリオンと予想5人気のバスタータイプが除外になったら、ディアデルレイは予想6人気になる。

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#4 高松宮記念
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この10年だけでなく、過去17年で勝ち馬は1〜4人気からしか出てないレース。
しかも1〜4人気の2頭がずっと馬券圏内に入っている。

中京芝1200のCBC賞も同じような傾向で、中京の芝1200は人気馬が走りやすいコースなのかもしれない。

今年の人気は(予想)
1人気レッドファルクス
2人気メラグラーナ
3人気レッツゴードンキ
4人気シュウジ

ここにソルヴェイグやセイウンコウセイが接近できるか。

今年は小粒だから久しぶりに傾向が崩れると思いたいところだけど、17年間小粒の年が1度もなかったわけではない。それでも1〜4人気が1着してきたのだから、まずは1〜4人気に敬意を持つことは大事だろう。

具体的にはどう敬意を持てばいいのか?

たとえば、斤量による敬意。

この10年で馬券圏内に入った30頭で、前走より斤量が減った馬、もしくは前走と斤量が同等の馬は23頭、前走より1キロ斤量が増えた馬は7頭。それ以外の馬は馬券圏内に入れていない。

斤量が増えない馬が圧倒的なことがわかる。

今年、前走より減る馬・前走と同等の馬
シュウジ
スノードラゴン 9歳
フィエロ    8歳
レッツゴードンキ
レッドファルクス
オメガヴェンデッタ 除外対象

出走が確定的な馬は5頭しかいない。
その5頭の中に、予想上位人気の馬が3頭もいる。

1人気レッドファルクス
3人気レッツゴードンキ
4人気シュウジ

なんだかんだで、この3頭には敬意が必要なことがわかる。

ちなみに予想2人気のメラグラーナは1キロ増だからナイガシロにはできないが、1キロ増の馬は他にもいっぱいいるから、斤量での敬意は特にない。

高松宮注目馬

シュウジ
ソルヴェイグ

シュウジとソルヴェイグは3歳でスプリンターズSを4着、3着した馬。
その後、シュウジは阪神Cを勝って、阪急杯で負けた。
ソルヴェイグはシルクロードSで負けた。

なぜ負けたのか?

重たかったから負けた。

これでいいんじゃないか? 本当のところはわからないけれど、シュウジは+8キロで生涯最高馬体重だった。ソルヴェイグは+18キロでこれまた生涯最高馬体重だった。

それを言ったら前走+10キロの502キロ、生涯最高馬体重で京都牝馬Sを勝ったレッツゴードンキはどうなんだ? って話だけど、この馬はきっと4人気以内に入るだろうからナイガシロにはしない。もし5人気以下に落ちたら、そのときにじっくり検討だ。

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#5&#6 ドバイターフ&シーマクラシック
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ドバイターフで日本の馬が好走していたら、シーマクラシックで日本の馬を狙う。
そんな構想を描いていた。
ドバイの芝は日本の馬が好走できる年と好走しにくい年があると思うからだ。

14年はジャスタウェイがターフを勝って、ジェンティルドンナがシーマクラシックを勝った。
15年はターフに日本馬は出走せず、シーマクラシックにワンアンドオンリーとハープスターが出て、3着、8着だった。

替わりにターフをフランスのソローが勝って、シーマクラシックをフランスのドルニヤが勝った。
16年はターフをリアルスティールが勝って、シーマクラシックをドゥラメンテが2着して、ラストインパクトが3着した。

今年はターフにリアルスティールとヴィブロスが出るから、その走りを見て、シーマクラシックのサウンズオブアースの購入を検討しようと思っていた。

しかしリアルスティールは回避(残念)。頼みの綱はヴィブロス1頭。
出走メンバーを見るとオブライエン厩舎が3頭も出走させ、何やら戦術を練っていそうで、手強そうだ。イギリス勢は5頭、フランス勢は2頭。ヴィブロスがこのメンバーに入っても善戦できるようなら今年も日本の馬に向いてる馬場と判定できそうだ。善戦の目安は5着としてみたがどうだろう。

シーマクラシック・注目馬

サウンズオブアースを買ってみたい。2着の多い馬を見ると、ドバイシーマクラシックと香港ヴァーズを勝った、日本では善戦系ホースだったステイゴールドを思い出すからだ。
海外の芝、海外のペース、海外の雰囲気がマッチして欲しいな。

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#7 ドバイワールドカップ
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15年にオールウェザーからダートに戻って、アメリカの馬が息を吹き返した。

15年
1着 UAE
2着 アメリカ
3着 アメリカ

16年
1着 アメリカ
2着 南アフリカ
3着 アメリカ

アメリカ2・他の国1
アメリカの馬で、別の国の馬を包めばよさそう。

今年のアメリカ代表はアロゲート。そのアロゲートがいるのにもかかわらずアメリカの馬は他に4頭出走する。
招待レースで、1着の600万ドルはとてつもなく美味しいだろうけど、2着200万ドル、3着100万ドルだって十分美味しいはずだ。

だから、3連複のフォーメーションなら、
1列目 アロゲート
2列目 他の国のなんか
3列目 アメリカの馬

で、馬券を組み立てれば当たりそうな気がする。
アロゲートが人気なのは世界共通だから、他のアメリカの馬をどうチョイスするか、もしくは他の国の馬をどうチョイスするかがキモかもしれない。

1列目 アロゲート
2列目 ムブタヒージ
3列目 アメリカの馬ぜんぶ

去年2着したスミヨンのムブタヒージが今年も頑張れば馬券は簡単だ。
いずれにせよ、今年はアメリカンな包装紙で包んでみたいな。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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