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POG戦線での活躍がすごい池江厩舎(山本武志)

  • 2017年04月04日(火) 18時00分


◆しっかりと実績を残しているからこそだろう

 POGでは色々とマイルールがある。これまでは前年に結果を出した厩舎からの指名は控え気味に、という気持ちを強く持っていた。例え、常にリーディングトップを争う厩舎であっても、毎年POGに参戦する馬は違う。毎年、最強軍団を作れるという保証はどこにもなく、確率論的にも敬遠しがちだった。ただ、04年にメリット制が導入されて以降、上位厩舎と下位厩舎の差が拡大した今の競馬界で、そんな考えはもう時代遅れかもしれない。特に池江厩舎を考える時、その思いは強くなる。それほど、ここ最近のPOG戦線での活躍がすごいのだ。

 15年はミッキークイーンが忘れな草賞からオークスを勝てば、牡馬路線でも京都新聞杯を勝ったサトノラーゼンが日本ダービーで2着に入った。昨年はサトノダイヤモンドがきさらぎ賞を勝ち、日本ダービーではマカヒキと叩き合いの末に2着。今年はアルアインとペルシアンナイトが皐月賞の有力候補の1頭で、ミスエルテが桜花賞へ。さらには、サトノアーサーが日本ダービーへの直行を決めている。他にもトレーナーの期待が非常に高く、ダービーへの滑り込みを狙うサトノクロニクルなど、超大物こそいないが、バラエティーに富んだラインアップ。この3世代でPOG期間に重賞8勝を挙げている。最近は毎年のように豪華なラインアップだが、しっかりと実績も残しているからこそだろう。

 今年の2歳馬もすごい布陣だ。まずは最近、絶好調の里見治オーナーが所有するサトノグロワールだ。母のシャムロッカーは豪州GI2勝を挙げ、同国の最優秀3歳牝馬に選ばれた。昨年のセレクト1歳セールでは1億7000万円で落札。「セリの後も思っている通りに成長しているし、馬体に雄大さを感じます」と池江調教師もスケールの大きさにほれ込んでいる様子。秋以降のデビューで、クラシック王道路線を目指す。

 同じ里見治オーナーではサトノエターナルも見逃せない。母のソーメニーウェイズはGI1勝を含む重賞3勝を挙げ、セレクト当歳セールで1億1500万がついた。「欲を言えば、もう少し成長がほしいですが、この世代でバネの強さは一番。切れると思います」とその言葉にも力が入る。こちらも秋以降の初陣を予定している。

 セレクトの高額馬といえば、昨年の1歳セールで2億3500万円がついたシャンパンドーロの15。意外にも中京や小倉など早めの夏デビューが視野に入っている。「芝の中距離あたり。馬格に恵まれている」と評価は上々だ。さらに、米殿堂入りしたアゼリを母に持つシルヴァンシャーもクラシック路線を狙う、期待の1頭と言える。牝馬ならウィーミスフランキーの15。母は米GI2勝を挙げ、ダノックスがセレクト当歳セールで1億8000万円で落札した。「ディープの牝馬にしては体がある。桜花賞に行きたい馬ですね」と来春を思い描く。

 他にもサトノダイヤモンドの半妹(父オルフェーヴル)やミッキークイーンの半弟(父エンパイアメーカー)など数多くの血統馬がいるが、先ほど書いた最近の活躍馬を見ると、ディープ産駒が大半。以前はベタな血統を敬遠しがちだったが、そんな考えも時代遅れと考え、今回はディープ産駒をピックアップした次第だ。

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