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オルフェーヴル×豪州血統の芝中距離タイプ、アラウン

  • 2017年04月05日(水) 12時00分
≪2歳≫

アラウン(牡 栗東・森秀行 父オルフェーヴル、母アリアプーラ)
 芝短距離路線でオープンクラスまで出世したフギン(父Street Sense)の半弟。母アリアプーラはオーストラリア産馬。その父Flying SpurはEncosta de Lagoの叔父でゴールデンスリッパーS(豪G1・芝1200m)の覇者。父オルフェーヴルはドリームジャーニー(09年有馬記念などGIを3勝)の全弟で、現役時代に三冠、有馬記念(GI)[2回]、宝塚記念(GI)などを制覇したほか、フランスに遠征して凱旋門賞(仏G1)で二度2着となった。現2歳世代が初年度産駒となる。2代父ステイゴールドは母方にデインヒルを持つ配合からフェノーメノ、ナカヤマフェスタという大物を出したので、オルフェーヴル×デインヒル系のFlying Spur、という本馬はおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

デルマテキーラ(牡 美浦・田中剛 父ブラックタイド、母ティルトウイング)
 父ブラックタイドは名馬キタサンブラックを出したことで、ディープインパクトの全兄というオマケ的な存在ではなくサンデーサイレンス系の重要な一分枝となった感がある。しなやかな瞬発力を武器とする弟に比べてパワー寄りに出ており、本質的には持続力タイプ。連対率ベースでみると芝よりもダートの成績が上回っている。母方にRobertoを持つディープインパクト産駒にはディーマジェスティやアドミラブルといった馬がいるものの、全体的な成績はもうひとつ。しかし、「ブラックタイド+Roberto」はマイネルフロスト、ライジングリーズンという重賞勝ち馬が出るなど好成績を挙げている。本馬はこのパターン。サンデーサイレンス2×4で2代母がウイングレット(05年中山牝馬S-GIII)なので芝向きのマイラーだろう。

トーセンウィズダム(牝 美浦・古賀史生 父トーセンロレンス、母トーセンムンク)
 父トーセンロレンスは2009年のセレクトセール当歳セッションで1億6500万円(税抜)の値がついた高馬。ディープインパクトやブラックタイドの4分の3弟で、父はダイワメジャーという良血だが、残念ながらデビューできずに種牡馬入りした。現2歳の初年度産駒は8頭の登録がある。すべてエスティファームの生産馬で島川隆哉さんが所有されている。本馬はその1頭。母トーセンムンクは現役時代に芝1200mで2勝を挙げており、Mr.Prospector 3×3、Buckpasser 6×4というクロスを持つ。手堅いスピードを伝える繁殖牝馬だと思われるので、父トーセンロレンスの相手としてふさわしいと思われる。芝向きのマイラーだろう。

トーセンエクラ(牡 美浦・畠山吉宏 父トーセンホマレボシ、母トーセンブリリアン)
 半姉トーセンベニザクラ(父ダイワメジャー)はフェアリーS(GIII)の勝ち馬。父トーセンホマレボシは現役時代に京都新聞杯(GII)をレコード勝ちし、現3歳の初年度産駒から8頭の勝ち馬を出している。ディープインパクト産駒なので基本的には芝向きだが、スターストラック(ダート2勝)のようなパワータイプも出している。本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ4×3で、Halo≒Sir Ivor≒Drone 4・6×5・5。配合構成は悪くない。芝向きの中距離タイプ。

≪3歳≫

ビギン(牡 栗東・角居勝彦 父キングカメハメハ、母ワイルドラズベリー)
 母ワイルドラズベリーは白百合S(OP)と紅梅S(OP)を勝ち、ローズS(GII)2着、秋華賞(GI)4着などの成績を残した。洋芝や荒れた馬場を得意とするファルブラヴ産駒にしては鋭い決め手を持つタイプで、これはPerfect Pigeonの牝系から出た一流馬に共通する特長でもある。Perfect Pigeonの息子ゴールデンフェザントはカミソリのような切れ味でジャパンC(GI)を差し切り、フローラS(GII)を制した近親のベッラレイアも末脚を武器とするタイプだった。父キングカメハメハはその母の父ラストタイクーンの血統構成(Northern Dancer+Nasrullah+Princequillo)を強化すると芝向きの優れた産駒が出る傾向がある。本馬の3代母マリスターIIはそうした構成なので配合的に見どころがある。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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