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【中山GJへ】平沢健治騎手(1)『打倒オジュウ!自信を持ってタイセイドリームの競馬を』

  • 2017年04月10日(月) 12時01分
おじゃ馬します!

▲美浦から栗東へ移籍し、活躍の幅を広げている平沢健治騎手


今週からのゲストは障害レースで活躍中の平沢健治騎手です。今週末は、春の障害GI・中山グランドジャンプ。いまの障害界で圧倒的な強さを誇るオジュウチョウサンの存在が大きく立ちはだかっていますが、虎視眈眈と勝機をうかがっているタイセイドリーム×平沢騎手のコンビは要注目。その手応えやいかに!? (取材:東奈緒美)


石神は巧い、だからなおさら負けたくない!


 今週はいよいよ中山グランドジャンプですね。まずはパートナーであるタイセイドリームについていろいろと伺っていきたいのですが、前走の阪神スプリングJは、昨年度の最優秀障害馬オジュウチョウサンの3着。昨秋の東京ハイジャンプと同じ結果となりましたね。

平沢 タイセイも頑張ってはくれたんですけど、やっぱりオジュウは強かったですね。ただ、前哨戦ですし、放牧明けでもあったので、あれがタイセイのMAXではありません。一度使ったことで、次はもっと良くなってくると思います。

 ひと叩き効果が期待できそうですね。タイセイドリームとのコンビは前走で6戦目でしたが、どういうタイプの馬ですか?

平沢 跳びも上手いし、癖がなくて乗りやすい馬です。レース中も、無駄にハミを噛んだり、逆にハミが外れるようなこともないので、余計な心配をする必要がないというか。気性的にもおとなしい馬です。

 優等生ですね。ウィークポイントはまったくないんですか?

平沢 強いてあげるとすれば、スッとした脚が使えないことですかね。ウィークポイントというより脚質の問題だと思いますけど、スペースが空いたときにすぐに反応できないから、どうしても後手を踏む場面があります。ただ、そのぶん長くいい脚を使えますからね。

 中山グランドジャンプでGI初出走となるわけですが、暮れの中山大障害は、割と早い段階で回避を決められたような。それはどういった判断だったのですか?

平沢 ローテーションが詰まっていたというのと、オーナーサイドと矢作先生のお考えもあったと思います。
(※平沢騎手はこのレースはマキオボーラーに騎乗予定でしたが、こちらも回避となりました)

 GIはまだちょっと早いかな…という?

平沢 いえ、まだ早いという判断ではなく、大事を取ったんだと思います。中山の障害を経験していなかったので、イルミネーションJS(12月3日)を使って結果を出しましたが、そこから大障害となるとかなり詰めて使うことになるので、それなら春(グランドジャンプ)まで待ったほうがいいんじゃないかという理由だと思います。

おじゃ馬します!

▲昨年12月3日のイルミネーションJS優勝時(撮影:下野雄規)


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▲勝利を喜ぶ平沢騎手(右)と管理する矢作調教師(左) (C)netkeiba


 では、グランドジャンプは、それこそ満を持してということになりますね。

平沢 そうですね。

 ライバルはやはりオジュウチョウサン。何か対策は練っていらっしゃいますか?

平沢 あくまで僕の印象ですが、オジュウも乗りやすそうな馬ですし、跳びも上手い。だから、弱点という弱点はあまり見当たらないんですが…(苦笑)。ただ、正直あまり意識はしていません。オジュウを意識するよりも、タイセイドリームのことだけを考えて競馬をしたほうが、いい結果につながるはずだと思っています。

 タイセイドリームの能力を引き出すという意味では、どういったところがポイントになってきますか?

平沢 さっきもお話したように本当に乗りやすい馬なので、いかにリズムよく走らせて、障害に踏み切りを合わせられるかだと思います。なにしろ長丁場ですから、馬のリズムを崩さないことが一番大切ですからね。

 道中のポジショニングなど、今から頭の中でイメージしていることはありますか?

平沢 障害は前残りのレースが多いですから、やはり前に付けられるのが理想ですね。前にいる馬が少ないぶん、アクシデントに巻き込まれるリスクも減りますし、僕自身、前で競馬をするのが好きなので。

 そうなんですね。

平沢 後ろからの競馬は…ちょっと面倒くさい(笑)。

 面倒くさいって(笑)。

平沢 馬群を割ったりしなくちゃいけないじゃないですか。それに、前の馬のリズムが崩れたら、こっちにも影響がありますからね。

 確かに、後方からの競馬のほうが、考えることや選択を迫られる場面が多そうですものね。さて、オジュウチョウサンの鞍上は同期の石神騎手ですが、馬やレースについて何かお話されたりしますか?

平沢 17期自体は仲がいいので、どうでもいい話はたくさんしますけど(笑)、競馬の話はほとんどしませんね。僕自身、競馬の話をするのがあまり好きではないので。

 そうなんですね。昨年、大障害の前に石神さんにもこのコーナーに出ていただいたんですが(※取材は美浦担当の赤見千尋さん)、そのときに平沢さんの話になって、「すごく頑張ってるよなぁ」っておっしゃっていたそうです。
石神騎手のインタビューはこちらから

平沢 なんか上から目線ですね。気に食わないなぁ(笑)。でも、現実的に石神は重賞もGIも勝っていますし、現時点での成績もトップ。誰かをライバル視することなんてほとんどないんですが、どうしても石神には負けたくないんですよね。

 それはやはり同期だからですか?

平沢 それもありますけど、それ以上に、僕から見ても石神は馬乗りが巧いから。だからなおさら負けたくないんですよね。やっぱりちょっと悔しいじゃないですか、あいつばっかり稼いで(笑)。

おじゃ馬します!

▲昨年の中山大障害を制し、春秋GI制覇を遂げたオジュウチョウサン(撮影:下野雄規)


 相手が巧いからこそ負けたくないという気持ちがなんだか素敵ですね。その石神さんが手綱を取るオジュウチョウサンが最大のライバルとなりますが、改めてレースに対する意気込みを聞かせてください。

平沢 オジュウは確かに強いと思います。ただ、タイセイドリームも、もともと準オープンにいた馬ですから、やっぱりすごくいい馬なんですよね。レースですから何が起こるかわかりませんし、とくに障害は、踏み切りが合うか合わないかがだいぶ結果に影響してくるので、絶対に勝てないとは思っていません。

 だからこそ、自分の馬に集中することが大切だと。

平沢 はい。毎日跨って状態を把握していますし、もともと跳びも上手いし、操縦性も高い。だから、自信を持って、タイセイドリームの競馬をしようと思っています。

(文中敬称略、次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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