◆阪神JFの時点で、桜花賞勝ち負け必至のレベル 断然の人気を集める
ソウルスターリング(父フランケル)の信頼性はかなり高い。ここまでにさまざまな角度から検討、分析が重ねられてきた。見逃されている視点は少ないはずである。
もっとも重要視していいのは、2007年から現在のコース形態になった阪神のマイル戦は、乱ペースによる紛れが少なく、オークスにもつながる総合力の勝負になること。阪神1600mの重賞を勝っているのは、今年、ソウルスターリングだけである。それも2勝。阪神JFは先行して、自身は推定「47秒1-46秒9」の素晴らしいバランスで「1分34秒0」。上がりは34秒8だった。もうこの時点で、桜花賞勝ち負け必至のレベルである。
次いで3月のチューリップ賞に出走すると、この時も好位追走の正攻法で、推定「47秒2-46秒0」。後半の800m-600mのタイムを約1秒も短縮し、上がり3ハロン33秒8。全体時計は「1分33秒2」だった。
この記録は、10年アパパネ、14年ハープスターの持つ桜花賞レコード「1分33秒3」を上回っている。体調に破綻のない限り、桜花賞は当確。それもきわめて高いレベルで、である。
早熟系か? そうではない。14戦全勝の父フランケルは、3〜4歳時に10勝し、心配された10ハロンまで力強く勝っている。14連勝の中には渋馬場の(欧州の)勝ち星が5つもある。フランケルの父は、ガリレオ。その母はジャパンCにもきた凱旋門賞馬アーバンシー。アーバンシーのファミリーは、実はドイツを代表する名門の一族である。
母スタセリタ(父モンズーン)もまた、ドイツ牝系の出身であることは知れ渡っている。早熟系とは逆であり、4〜5歳になって本物になったパワフルな中距離型だった。10勝のうち実に8勝が渋馬場(欧州の稍重、重、不良を含む)である。
近年の日本で大活躍したドイツ牝系というと、ブエナビスタ、マンハッタンカフェが代表するシュヴァルツブラウロート。1947年から発展する名門牝系だが、ソウルスターリングは、もうこれも知れ渡ってしまったが、大成功のブエナビスタ一族と同じファミリー出身である。
ソウルスターリングは、たしかにスピード豊かな牝馬だが、体型、血統背景からすると日本の馬場の2400mくらいはまったく平気。マイルを力でこなしているが、むしろ1600mより2000m級の方が合っている可能性さえある。
いびつなコーナーが解消された現在の阪神の桜花賞は、かつてとはまったく逆に「外枠」の方が断然有利なコースになった。3歳牝馬の場合、多頭数の内枠では、先行スピードで押し切らなくてはならない。外なら揉まれずに差す形がとれる。
現在のコース形態になって過去10回、馬番別の成績は、3等分すると、
内の1〜6番枠【1-0-2-57】
中の7〜12番枠【5-4-5-45】
外の13〜18番枠【4-6-3-47】
となる(取り消し1頭)。
断然人気でも、ソウルスターリングに枠順も味方している。ルメール騎手はもちろん、欧州育ちの騎手は内枠有利にこだわることが多いが、もう日本人化したルメールは、日本の多くのレースは外枠が不利ではないことを信じるはずである。相手の主力も、外の
アドマイヤミヤビ、
ミスパンテールにしたい。
6年連続して連対馬を送るディープインパクト産駒は、結局、今年は
カワキタエンカ1頭だけ。
今年の注目種牡馬は、懸命に巻き返しを図っているクロフネだろう。直仔の
ジューヌエコール、芦毛の
アエロリットのほか、母の父として芦毛とマイル適性を受けたアドマイヤミヤビが最大の注目馬。カワキタエンカは、渋った馬場のクロフネの孫として侮れない。