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ロードカナロア産駒勝ち上がり第一号か、ステルヴィオ

  • 2017年04月12日(水) 12時00分
≪2歳≫

ジュンエスポワール(牡 栗東・森秀行 父ハーツクライ、母ビーウインド)
 ステラウインド(父ゼンノロブロイ/15年七夕賞-GIII・2着)、スマートルビー(父ゼンノロブロイ/準OP)の4分の3弟。「ハーツクライ×スピニングワールド」はオークス(GI)や中山記念(GII)など4つの重賞を制したヌーヴォレコルトと同じ組み合わせ。母の父スピニングワールドは種牡馬としては目立った成績は残さなかったものの、「Nureyev×Riverman」という良質の血統を活かして母の父としては成功した。2代母は名馬テイエムオペラオーの半姉で、Ribot系の日本ダービー馬バンブーアトラスの娘。底力に秀でた本格血統が並んでいるので、おそらく本領を発揮するのは古馬になってからだろうが、芝中長距離で非凡な資質を開花させる可能性がある。

ステルヴィオ(牡 美浦・木村哲也 父ロードカナロア、母ラルケット)
 4分の3兄ボルゲーゼ(父キングカメハメハ)は気性難の改善のため去勢され、現時点で2勝を挙げるにとどまっているが、まともならもっと上のクラスで走っていてもおかしくない。母ラルケットはクイーンC(GIII)3着馬で、4代母スイートコンコルドは七冠馬シンボリルドルフの全姉。本馬はロードカナロアを父に持つのでマイル以下が守備範囲だろう。Nureyev≒Fairy King 5×3は、キングカメハメハ産駒の場合は芝の道悪やダート向きの適性を上昇させるが、父ロードカナロアは現役時代にスプリント路線で無敵を誇ったように圧倒的なスピードの持ち主なので、こうした重厚なクロスはむしろ底力を強化する働きをするのではないか。ファルブラヴが抱えるRibotは、父ロードカナロアの配合の骨格を成すGraustark=His Majesty 6×4というRibot系の全兄弟クロスを継続し、ロードカナロアが抱えるIn Realityは、母の父ファルブラヴとニックスの関係にある。おそらく「ロードカナロア×ファルブラヴ」はうまく行くだろう。早期デビューが見込めるようなので、新馬戦が始まってすぐ早々に勝ち上がれそうだ。

ニシノトランザム(牡 栗東・森秀行 父Orb、母Glorious Success)
 父Orbはケンタッキーダービー(米G1・ダ10f)の勝ち馬。その父Malibu MoonはA.P.Indy系の主力種牡馬の1頭で、日本ではオーブルチェフ(11年全日本2歳優駿-JpnI)の父として知られている。「A.P.Indy×Mr.Prospector」はPulpit、Mineshaft、Congrats、Tempera、Tomisue's Delight、Accelerator、Little Belleなど多くの名馬が出ているニックス。Orbは母の父がUnbridledなので、米リーディングサイアーのTapit(Pulpit×Unbridled)と配合構成がよく似ている。現2歳世代が初年度産駒となるが、種牡馬として楽しみな存在だ。母Glorious SuccessはCampanologist(11年オイロパ賞-独G1など独伊でG1を4勝)の半妹で、3代母Glorious Songは歴史的名繁殖牝馬。血統的な筋が通っており、FappianoとIn Realityのニックスなどもあるのでおもしろい。来年のUAEダービー(G2)に出走していてもおかしくないだろう。

セグレートシチー(牡 美浦・伊藤圭三 父サウスヴィグラス、母アイシークレット)
 父サウスヴィグラスは現役時代にJBCスプリント(GI)をはじめ8つのダート重賞を制覇。種牡馬としてもラブミーチャン、ナムラタイタン、コーリンベリーなど多くのダート短距離馬を送り出し、2012、15、16年に地方競馬のリーディングサイアーに輝いている。現在、日本のダート界はゴールドアリュールとキングカメハメハが勢力を二分しており、短距離はサウスヴィグラス、という図式。本馬は「サウスヴィグラス×ゴールドアリュール」というダート界のスター種牡馬同士の組み合わせ。また、母方にアサティスを持つサウスヴィグラス産駒、というグランド牧場の定番配合でもあり、このパターンからはラブミーチャン、タイニーダンサー、モダンウーマンなど活躍馬が目立っている。マイルまでなら守備範囲だが、サウスヴィグラス産駒なので1400mがベストか。昇竜S(3歳OP・ダ1400m)に出てきてほしい。

≪3歳≫

スマイルアゲイン(牡 栗東・藤原英昭 父エンパイアメーカー、母エイジアンウインズ)
 ヴィクトリアマイル(GI)と阪神牝馬S(GII)を勝ったエイジアンウインズの4番子。初子(父コンデュイット)はデビューできず、2番子エイジアンドリーム(父キングカメハメハ)は1戦0勝で死亡、3番子マッジョテンペスタ(父ワークフォース)は勝ち上がれぬまま地方の金沢競馬へ転出と、これまでの産駒成績はイマイチ。本馬もデビューが遅れ気味だが、血統的に楽しみが大きい。父エンパイアメーカーとの組み合わせでは、Gana Facil≒ミルレーサー3×3、Image of Reality≒Marston's Mill 3×4が生じる。2代母サクラサクIIはきわめて優秀な繁殖牝馬で、エイジアンウインズのほかにエバーブロッサム(13年オークス-GI・2着)、キュートエンブレム(08年フローラS-GII・3着)、パッシングマーク(06年ベンジャミンS-OP)などを産んでおり、血統的なポテンシャルは高いので、上記の配合がハマれば大物となってもおかしくない。ダート向きのマイラーだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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