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ファンディーナは買うがトップではない!/皐月賞

  • 2017年04月13日(木) 18時00分

■皐月賞(G1・中山芝2000m)フルゲート18頭/登録19頭


【特注データ】〜レースデータより〜



 大混戦が予想される今年の皐月賞。前走1着馬が10頭もいることが、このレースをより難解なものにさせている。しかし、皐月賞での好走に結びついているのは、前走1着よりも「前走1番人気」のほう。両者を比較すると、前走1番人気馬は前走1着馬を連対率で約10%、複勝率では約15%も上回っているのだ。ちなみに、今年の登録馬で前走1番人気であるのは、カデナ、サトノアレス、ファンディーナ、ペルシアンナイト、レイデオロの5頭だ。

 そしてもうひとつ、前走人気に関連するレースデータを紹介しよう。皐月賞では、前走での単勝オッズが「3.0〜3.9倍」の馬、ならびに「5.0〜9.9倍」の馬が、妙に弱い。前者での好走例は、過去10年で2013年の覇者ロゴタイプのみ。後者に至っては2008年の勝ち馬キャプテントゥーレが最後の好走例で、以降はのべ32走で3着以内なしと全滅している。

 このデータが今年も通用するならば、アウトライアーズ、アダムバローズ、アルアイン、ウインブライト、カデナ、サトノアレス、スワーヴリチャード、ダンビュライトの8頭は、けっこう危なっかしい面がありそう。このあたりが蹴飛ばせれば、人気馬から入る馬券であっても、配当的にはかなり期待できるはずだ。

【コース総論】中山芝2000m Bコース使用

・コースの要所!

★複勝率69.0%と意外なほど1番人気が強いコース。基本的には信頼。
★イメージとは真逆で好成績なのは外枠。信頼度も回収率も断然高い。
★追い込むのは厳しいが差しは届く。最速上がり馬の好成績も目立つ。





 ホームストレッチにある急坂の下がスタート地点。いきなりの上り坂と、最初のコーナーまで距離があるという形態から、序盤のポジション争いが激化するコースではないといえる。瞬発力だけではなく持久力も問われるためか、1番人気は連対率52.9%、複勝率69.0%と高信頼度。以下の人気は、まんべんなく馬券に絡んでいる印象である。

 枠番データで面白いのが、データ上は完全に「外枠有利」だという点だ。信頼度が高いのはもちろんのこと、回収率の面でも明らかに優秀。枠番値もプラス0.4と申し分ない。平均人気がもっとも低いのに平均着順がもっとも高いのだから、これはもう外枠有利と結論づけてオッケイ。「中山芝」というイメージに騙されないように注意したい。

 脚質別で信頼度が高いのは先行勢だが、中団待機組との成績差はそこまで大きくはなく、「思ったよりも差せる」というのが正直な感想。最速上がり馬の好成績からも、けっこう差せるコースであるのが見てとれる。ただし、後方に置かれるとやはりキツいようで、中団の位置が取れるかどうかはかなり重要だ。

【レース総論】皐月賞(G1) 中山過去10年(9回)

・レースの要所!

★1番人気の信頼度はソコソコも上位人気は強い。狙い目は7〜9番人気。
★コースデータ同様にレースデータも外優勢。勝率の差は非常に大きい。
★上がり3F順位が3位以内の馬[7-6-4-12]。決め脚が求められるレース。
★共同通信杯組が非常に強い。トライアル組では若葉S組が要注目か。








 レースの平均配当は、単勝1047円、馬連1万4231円、3連複3万5074円。ヴィクトリーとサンツェッペリンで決まった2007年を筆頭に、コンスタントに荒れるレースとなっている。人気別では、1番人気こそ[2-1-2-4]とソコソコの信頼度にとどまっているが、2〜4番人気あたりは超優秀。トータルで見ると、上位人気が強いレースといえる。ふたケタ人気は[0-1-1-76]と大不振で、穴を狙うなら7〜9番人気のゾーンがオススメだ。

 枠番別成績は、コースデータ同様に外枠優勢。中枠の信頼度の低さや、内枠の枠番値の低さも目立っている。今回はより「紛れのない」データとして、ひとケタ人気馬に限定した枠番別成績も出している。外枠である馬番13〜18番は連対率29.6%、複勝率37.0%という超優秀な成績となり、回収率は単複ともに余裕で100%の大台を突破。皐月賞の外枠がいかに強いか、よりハッキリ理解していただけることだろう。

 続いて脚質だが、目立っているのが上がり3F順位が3位以内だった馬の好成績だ。1〜3位のトータル成績は、[7-6-4-12]で連対率44.8%、複勝率58.6%、回収率は単複ともに200%以上という強烈なもの。後方に置かれると厳しいのはコースデータと同じだが、決め脚の重要性はさらに増している。近走でいい末脚を見せていた馬のほうが信頼できるレースといえそうだ。

 主要トライアル別成績では、共同通信杯組が圧倒的。出走数が少ないにもかかわらず、これほどの成績を残しているのだから驚きだ。今年の登録馬でコレに該当するのは、スワーヴリチャードただ1頭である。皐月賞トライアル組では、意外に侮れないのが若葉S組。こちらも該当する登録馬はアダムバローズだけで、今年はどのような結果が出るのか楽しみである。

 最後に騎手関連データだが、G1にしては珍しく、継続騎乗と乗り替わりで成績差がほとんど見られない。つまり、鞍上の乗り替わりを割り引く必要はないということだ。騎手分類別では外国人ジョッキーの成績がいいが、これを理由に「買い」といえるほどではない。騎手というファクター自体を、あまり意識する必要がないレースといえるかもしれない。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きBコース。道悪だった先週の競馬でかなり荒れた印象を受ける。

・天候予測
 土曜日に降雨がありそうだが日曜日は晴れ〜曇り。おそらく良馬場か。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ヴィクトワールピサ産駒○、バゴ産駒▲、キングカメハメハ産駒△、ルーラーシップ産駒△

 道悪での競馬となった先週の競馬。おそらく、アレでかなり馬場が傷んだと思われる。荒れて差しが決まるのか、それとも差せなくなって前が残るのか、現時点では予測するのが非常に難しい。また、土曜日に多少の降雨がありそうなのも悩ましい要素。いずれにせよ、キレッキレのタイプではなく、パワーも持ち合わせている馬を重視すべきだ。

 血統面では、5種牡馬の産駒をプラス評価。安定感があるのはディープインパクト産駒だが、勝率でそれを上回るヴィクトワールピサ産駒やバゴ産駒なども、ここは決して侮れない存在である。逆に、ハーツクライ産駒やステイゴールド産駒が見せている適性は「並」程度で、過剰に高く評価するのは禁物である。

★出走登録馬・総論×各論

 ファンディーナの参戦でさらに難解に、かつ面白くなった今年の皐月賞。データ面から見ても、正直なところ「コレ」という存在はサッパリ見当たらない。どの馬にも一長一短があり、ある意味どこからでも買える──といっても過言ではない。絶対に来ない馬を1頭挙げろと問われても、返答に窮する一戦だ。

 やはり難しいのがファンディーナの扱い。ただし、買うか消すかならば「買い」が正解だ。冒頭の「特注データ」の対象で、ディープインパクト牝馬にしてはガサがあり、パワーも十分に感じられるタイプ。スローの競馬しか経験していないのはネックだが、あっさりこなせてしまいそうなポテンシャルを感じる。というわけで、中途半端だが三番手評価とした。

 トップ評価は、前走の敗戦で思いっきり人気を落としそうなサトノアレス。netkeiba.comでの現在の予想オッズは、なんと9番人気である。しかし、ガサのあるディープ産駒でキレだけでなくパワーも備えているのは、この馬もファンディーナと同じ。前哨戦では1番人気で4着に敗れたが、巻き返しておかしくないプロフィルの持ち主といえる。いい決め脚があるのも大きなプラスだ。

 二番手評価にスワーヴリチャード。皐月賞とバツグンの相性を誇る共同通信杯組で、レース内容も文句なしの強さだった。1枠2番という枠番や前走での単オッズが3.1倍というのは大きなマイナス材料だが、こちらも決め脚は素晴らしいものを持っており、地力に関しても間違いなく上位。人気に推されて当然のプロフィルを有している。

 以下は、ペルシアンナイト、カデナ、アウトライアーズ、アダムバローズ、コマノインパルス、レイデオロ、トラストという評価の序列。馬券は、上位評価組3頭の組み合わせから人気薄に流す3連複や3連単あたりが面白そうなイメージだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧





阪神11レース 桜花賞(G1)
1着 10レーヌミノル
2着 06リスグラシュー
3着 14ソウルスターリング

……当欄の馬券はなぜに当たらぬ(#^ω^)ビキビキ

というわけで、NO.1予想では幸いにも的中できましたが、こちらはハズレ。14ソウルスターリングと08カラクレナイ、17ディアドラのボックスという「攻め」の馬券は、3着4着6着に終わりました。まあ、よく頑張ったと言えなくもない(自己弁護)。しっかし、圧倒的1番人気が3着以下になったときの馬単、破壊力あるよなあ。

※コース&血統データは2014年以降、レースデータは2007年以降が集計対象です。
※枠番値は、当該枠番における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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