◆素晴らしい内容で3連勝中 生産頭数が500頭未満だった1940年代、1000頭以下だった1950年代は、日本ダービーも、皐月賞も、牝馬がいなければ競馬らしい競馬にならなかった。
そういう時代は別にして、過去50年間の皐月賞で、91年にダンスダンスダンスが人気薄で5着。14年バウンスシャッセが人気薄で11着しただけの牝馬は、どんなレースになるのだろう。
ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、スイープトウショウ、エアグルーヴ……など、男馬相手のビッグレースを勝った牝馬はいっぱいいる。牡馬を最初から最後まで総合能力で圧倒した名牝も珍しくない。
3歳牝馬
ファンディーナは、まだまだ未知の領域が大きいが、男馬相手に快走して、大目標とする日本ダービーに駒を進められるだろうか。
レイデオロは疲れを取るのに予想外に時間がかかり、皐月賞をステップにして本当の目標の日本ダービーに向かいたい。そんなムードがなくもない。近年、良績の集中する共同通信杯→皐月賞の日程を選んだ
スワーヴリチャードも、どちらかというなら、本当に勝ちたいのは日本ダービーというローテーションに近い。
例年、最重要なポイントになる『きさらぎ賞、弥生賞、スプリングS』の好走馬のレベルは、馬場状態やペースも関係するが、少なくとも今年はハイレベルではない。
過去50年以上、皐月賞で牝馬が快走した記録はないが、ほとんどの出走馬が満3歳になったところである。人間の年齢に換算することはできないが、強引に当てはめるなら、12〜15歳くらいか。中学生だろう。健康に育った女子のほうが強い。
素晴らしい内容で3連勝のファンディーナが、牝馬だから男馬相手の皐月賞は苦しい、とするには実際には大きな根拠はないかもしれない。
スローの3連勝なので表面上の記録は目立たないが、2戦目には最後の2ハロンを楽々と連続して10秒台中盤でまとめている。前回のフラワーCは、スタート直後に今日は「早めに行こう」の合図を送り、後半は残り2ハロンあたりで「ギアチェンジをしてもいいよ」と、手綱を緩めてなだめるのをやめただけで、あとは馬なり。それでレースレコードだった。この牝馬、思われているよりはるかにすごいスピード能力を秘めていそうなのである。
大変な人気だが、「やっぱり牝馬じゃないか」という揉まれての敗走は否定できないが、逆に、「全然能力が違ったじゃないか」という快勝もある。
穴狙いのファンも、人気のファンディーナを簡単に消す必要はない。ウオッカの日本ダービーは3連単「215万円」、ピンクカメオのNHKマイルCは「973万円」、ヘヴンリーロマンスの天皇賞・秋は「122万円」、ダイワスカーレットの有馬記念は「98万円」など、男馬相手に牝馬が快走すると(その牝馬の人気は別に)、3連単の大波乱が飛び出すことが多い。2回も2000万円馬券に関係したミナレットではないが、大波乱の主役はだいたい牝馬なのである。