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2頭の“スピネル”仕上がり具合は如何に!? 3重賞の追い切りチェック!

  • 2017年04月19日(水) 18時00分


馬体重にこだわる必要はないと思うブラックスピネル

 今朝の栗東トレセン。調教前から真っ黒い雲が空を覆い、ちょっとしたきっかけで大雨が降ってきてもおかしくない状況。なんとか持ちこたえてくれた後は、青空が一気に広がって、今度は暑くなるくらいの日差し。トレセンニュースでもお伝えした、天皇賞(春)の1週前追い切りなどがありましたから、雨が降らなくてほんとよかったです。

 そろそろ時期的に2歳馬が大量入厩してもおかしくないのですが、今年は少し遅めですね。現時点でも何頭かはゲート練習なども行っていますが、本格的にペースが速くなるのはGW明けでしょうか。やっぱり6月のメイクデビューはちょっと早い気がしますし、その分、3歳未勝利をもう少し優遇してあげるような番組にすることが、全体的な競馬の流れをよくするような気がする。これが現場にいる人間としての意見です。

【福島牝馬S/クロコスミア】

 前走阪神牝馬Sは強いメンバー相手に4着は決して悪くない結果。ただ、ローズS2着時のように重馬場の阪神芝。好走条件が揃っていたという見方をすることは決して間違っていなかったと思います。そして今回はメンバーが前走と比較すれば、すごく楽になりますが、個人的に問題だと思っているのは長距離輸送。

 3歳以降、関東圏へ輸送して結果が出ていないところがすごく気になります。もともとガサのない牝馬。あまり強い追い切りを課すこともできないでしょうし、特に今回のような中1週だと、調整が難しいと思います。だから最終追い切りは栗東坂路4F62.0秒で終い重点という内容になったのでしょうが、いくらなんでもこれで重賞勝ち負けというのはどうでしょうか。

【フローラS/ディーパワンサ】

 個人的にはフラワーCでの凡走は堪えました。小回りのコーナー4つは最大パフォーマンスを出せる舞台だと思っていましたし、実際にレースでもうまい立ち回りで勝負圏内。なのに追い出して、さっぱり伸びない走りに距離なのか、初めての関東圏輸送だったのか、と頭を悩ませています。

 この中間も追い切り内容に関しては、特に問題はないと思います。前走時でも悪い状態だとは思っていなかったので、今回が特別上昇しているということはないでしょう。よって、前走が距離でないとすれば、2回目の関東圏輸送で、連勝した左回りの舞台は最適。これで走れなければ、距離か早熟。そんな結論になってしまうと思います。

【フローラS/ヤマカツグレース】

 休み明けだったフィリーズレビューは出遅れたものの、後方からしっかり差を詰めて5着。一気に距離が延長した前走は自然とハナに立つ形となったものの、追われてからはしっかり伸びたが、追い比べには負けて2着。距離やレースぶりは全然違うものの、きっちりと好走できている点が競馬センスを感じる1頭。

 1週前追い切りも動きが目立っていましたが、最終追い切りも道中はゆったり、終いはしっかりと緩急つく内容でその動きは抜群。極端なスローペースで、最後が瞬発力勝負になった時は分が悪いかも知れませんが、3歳牝馬で最後は体力が要求されるような流れになれば、きっと対応できるタフさを持ち合わせています。まずは抽選をクリアできるかどうか。

ヤマカツグレース(4月18日撮影)

緩急つく内容で抜群の動きの追い切りを見せたヤマカツグレース(4月18日撮影)


【マイラーズC/ブラックスピネル】

 チャレンジCでプラス18キロだったことが5着の敗因。だからこそ、馬体が減って減って、2着1着と結果が出た近2走という考え方はあります。ただ、個人的には負けたといってもさほど着差がついたわけでもなく、あまり馬体重にこだわる必要はないと思っています。それよりも前走時のように、最終追い切りできっちり速い時計を出すことが着順に直結するような気がしています。

 そういった意味で、最終追い切り栗東坂路4F51.4秒の時計は高く評価したいところ。ただ、前走時は1週前追い切りでも速い時計を出しており、それが今回は4F53.0秒。馬場が悪かったとはいえ、この馬ならせめて4F51秒台後半は出るはずなので、最後が1F14.7秒も要したため、まだ動けないのかも知れません。ここも人気すると思いますが、冷静に判断してみたいと思います。

ブラックスピネル(4月18日撮影)

ブラックスピネルの追い切りの時計は高く評価したい(4月18日撮影)


【マイラーズC/エアスピネル】

 3歳春は相手が強すぎて、この馬自身は好走していても着順がひと息。でも、当時の追い切り内容、そして京都金杯の調教内容がベストだと考えると、1週前追い切りまでの段階で栗東坂路2F目に12秒台のラップを踏むような、速い時計の追い切りを消化することが好走調教だというのが個人的な判断。

 それを思うと、今回は終い重点の内容ばかり。もちろん、脚をためて走ることができているという点で文句はありません。でも次走を本番と見据えてつくっていることも間違いないでしょうから、ここも崩れることなく走ってくれるでしょう。ただ、馬券的に中心視することはちょっと避けてみたいと思います。

エアスピネル(4月18日撮影)

崩れることなく走ってくれるであろうエアスピネル(4月18日撮影)


◆次走要注意

・4/16 障害未勝利【マドリードカフェ】(1人/1着)

 トレセンでも初入障前から話題になっていましたが、その想像通りの強さ。というよりも、調教でも見せる、1頭になるとソラを使うところをレースでもやっていました。そのあたりは癖を知っている熊沢重文騎手がきっちり制御してくれましたが、それだけ余裕の走りということでしょう。

 先週の中山GJを圧勝したオジュウチョウサンの1強時代ですが、この馬なら互角以上に太刀打ちできるはずなので、これからの走りはずっと見守っていきます。

[メモ登録用コメント] [中山大障害]これからも負け知らず

◆今週の追い切り特報

・3歳未勝利【パッションチカ】
 水口優也騎手が跨ると、折り合って走ることができる馬。今週は芝1200mを使うということもあって、時計は4F。CWでの走りを見ていても、決して未勝利で終わる馬ではありません。今週も除外の可能性がありますが、必ずどこかで勝ち上がるはずです。

【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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