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ロジータの血が花開くか!? ブラゾンドゥリス/かしわ記念

  • 2017年05月04日(木) 18時00分


リピーターの活躍が目立つ


 ゴールデンウィークの3日間連続ダートグレード競走、トリを飾る大一番は5月5日の船橋競馬場で行われるJpnI『第29回かしわ記念』。アジュディミツオー、ブルーコンコルド、エスポワールシチー、フリオーソ、ホッコータルマエら多くの名馬たちが制してきた歴史ある一戦。今年も上半期マイル王の座をかけてJRAから6頭、地方馬4頭が集結。好天にも恵まれそうで、子供の日の船橋競馬場は華やかなムードで盛り上がること間違いなしです。

 かしわ記念はリピーターが活躍することの多いレース。例えばエスポワールシチーは2009年、2010年を連覇したのち2011年3着、2012年1着、2013年2着と5年に渡って大活躍。フリオーソは2010年2着、2011年1着、2012年2着。この同一馬が複数回馬券圏内に来る傾向は、もっと前にさかのぼってもブルーコンコルド、アジュディミツオー、トーシンブリザードら多くの馬たちの名前があがります。

エスポワールシチーは2012年、かしわ記念3勝目の快挙を達成した(撮影:高橋正和)


 今年の出走メンバーでこの傾向に該当するのは2014年と2016年の2勝を挙げているコパノリッキーと、2015年2着、2016年3着のベストウォーリア。当然今回も注目が集まる2頭です。

 コパノリッキーは昨年、逃げたソルテの2番手でレースを進め、直線でソルテを交わして3馬身差の快勝。もまれ弱いところがあるため近走は自分の競馬ができず敗戦が続いていますが、去年と同じ1枠1番に入り、すんなりと先行できればあっさりと連覇、3勝目を挙げる可能性も。昨年はかしわ記念のあと帝王賞、マイルチャンピオンシップ南部杯を連勝。この3連勝で見せた圧倒的な強さを忘れてはいけません。武豊騎手とのコンビで9つ目のGI・JpnI勝利を狙います。

かしわ記念3勝目を狙うコパノリッキー。昨年と同じ1枠1番に入った(写真は2016年のかしわ記念優勝時、撮影:高橋正和)


 ベストウォーリアは昨年3着。続くさきたま杯、マイルチャンピオンシップ南部杯、JBCスプリント、根岸S、フェブラリーSまで5戦すべてで2着。安定感抜群とも言えますが、本当に悔しいレースが続いています。こちらも2014年と2015年のマイルチャンピオンシップ南部杯を連覇したJpnIホース。かしわ記念は3度目の正直で今度こそ1着が欲しいところ。

ベストウォーリアは5戦連続で2着が続いている(写真は2015年マイルチャンピオンシップ南部杯優勝時、撮影:高橋正和)


 もう1頭のGIホース・モーニン。昨年デビューからわずか7戦でフェブラリーSを制し、続くかしわ記念で1番人気に推されたものの8着。今年のフェブラリーSでは12着に敗れるなど不振が続いていますが、再びの頂点を目指す戦いとなります。

モーニンは昨年、デビューからわずか7戦目でフェブラリーSを制した(撮影:下野雄規)


 インカンテーションは故障で何度も休養を挟みながらも3歳でレパードS、4歳でみやこS、5歳で平安Sを制している実績馬。今年3月のマーチSで復活の勝利を挙げ、重賞4勝目を飾りました。順調ならばもっと早くに大成していたであろう素質馬が、初めて地方競馬に参戦。かしわ記念でどんな戦いを見せてくれるか注目です。

7歳馬インカンテーションは今年3月のマーチSで復活の勝利(撮影:下野雄規)


 リッカルドは昨年夏、安達太良S(福島・1600万下)から連勝でエルムSを制して重賞初制覇。その後は勝ち星が無く、地方競馬初参戦だった前走・佐賀記念でも7着。今回のメンバー相手ではちょっと厳しいかもしれません。

連勝中の勢いがあるブラゾンドゥリスがイチオシ


 最後になりましたが今回私のイチオシ馬はブラゾンドゥリス。父ノボジャック、母ブライアンズソノ、祖母シスターソノ、曾祖母ロジータという血統馬。ブラゾンドゥリス(Blason de Lis)はフランス語でユリの紋章という意味だそうで、ロジータ(ラテン語で谷間に咲くユリの意)ゆかりの馬名というのもファンの心をくすぐります。

 父ノボジャックと親子制覇を果たした前走・黒船賞は3番手からの競馬。すぐ内にトウケイタイガー(5月3日にかきつばた記念を圧勝・黒船賞は6着)を見ながらレースを進めます。直線では内田博幸騎手の手綱に応え、しぶとく根性のある走りで混戦を制しました。一歩ずつ着実に力を付け、ここまで登りつめた5歳馬。東京大賞典や川崎記念を牡馬に混じって制した女傑・ロジータの血がJpnIの大舞台で花開くかもしれません。

前々走のバレンタインSでオープン初勝利、その後黒船賞で重賞制覇と勢いに乗る(撮影:下野雄規)


 2着続きのベストウォーリア、勝ち星から遠ざかっているコパノリッキー、モーニンと、有力馬たちに不安材料がある中、連勝中の勢いがあるブラゾンドゥリス。昨年暮れの東京大賞典をアポロケンタッキーが、1月の川崎記念をオールブラッシュが並み居る実績馬を相手に勝利したように今回のブラゾンドゥリスにも期待大。世代交代を印象付ける戦いを見せて欲しいと思います。

 今年の地方勢に昨年2着のソルテや、一昨年3着のハッピースプリントのような存在が居ないのは寂しい限り。いずれにしても今年はJRA勢の戦いになりそうです。JRA勢は実力拮抗、馬券的にも一筋縄ではいかない面白い戦いになりそう。

 7歳のコパノリッキー、ベストウォーリア、インカンテーション。5歳のモーニン、ブラゾンドゥリス。世代対決にも注目。『第29回かしわ記念』、必見のレースです!

※次回の更新は5月30日の18時。浦和競馬場で行われる「さきたま杯」のコラムをお届けします!



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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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