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宮崎北斗騎手(1)『サッカー界でも話題“z-health”を習得しに渡米』

  • 2017年05月08日(月) 12時01分
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▲自分の体を変えたい!アメリカから帰国した宮崎北斗騎手を直撃


3月末から短期でアメリカに渡った宮崎北斗騎手(28歳)。その目的は「z-health」というトレーニング法を学ぶため。昔から運動神経の悪さがコンプレックスだったという宮崎騎手。整体やボディーワークなど、あらゆるものを試してきた中で出会ったのが「z-health」だと言います。日本人の習得者は4人だそうですが、世界では急速に普及していて、ドイツのワールドカップで優勝したチームも取り入れていたとか。いったい、どのようなものなのでしょうか? (取材:赤見千尋)


脳神経学をベースにしたアプローチ


赤見 3月26日から4月4日までアメリカへ。詳しくは追々伺っていきますが、「z-health」というトレーニング法を勉強されてきたそうですね。それはどういった経緯で?

宮崎 僕、昔から運動神経が悪くて、体育の成績は「2」しか取ったことがないくらい(笑)。

赤見 それはまた…(苦笑)。

宮崎 競馬学校の頃からずっとコンプレックスだったんです。でも、負けたくないから、トレーニングなども人一倍頑張ってきたつもりなんですが、結局、それが原因で体を壊したり、肝心の結果が出なかったり。本当にありとあらゆることをやってきたんですけどね。昔は、軽い側弯症もあったりしました。

赤見 側弯症って何ですか?

宮崎 脊椎がs字に曲がってしまう病気です(前から見たときの脊椎が10度以上曲がっている状態。多くはその原因が明らかでない特発性側弯症といわれるものだが、神経や筋肉の病気、外傷、腫瘍などが原因となることも)。

赤見 それはケガが原因で?

宮崎 いえ、子供の頃からあったと思います。「z-health」を学んで前庭器官の機能異常が原因だと分かり、かなり改善する事ができました。また、落馬事故でのケガで、より自分の身体と向き合うようになりました。

赤見 大怪我でしたものね(2014年11月の福島競馬で落馬負傷。第6胸椎圧迫骨折のほか、くも膜下出血と脳挫傷を発症)。

宮崎 はい。トレーニングなど、本来はやればやるだけ身体は良くなっていくと思うじゃないですか。でも、そういう実感を得ることができませんでした。

赤見 ご自分で納得できるようなステップが踏めなかったということですね。

宮崎 そうですね。いい馬を頑張って集める一方で、アスリートとして自分の身体を整える事はすごく大切だと思うんです。整体やトレーニング、ボディーワークなどありとあらゆるものを試しました。

赤見 けど、なかなか納得のできるものに巡り合えなかった。

宮崎 はい。で、いろいろ探して試しているうちに、あるトレーナーさんに出会ったんです。その人と出会って初めて、体ってこんなに変われるんだ、今まで抱えていた悩みをこれだけで解決できるんだと思えて。それで、この人は何を勉強してきたんだろう、どんな技術を持ってるんだろうと思って聞いてみたら、「z-health」という脳神経学ベースのアプローチだと。

赤見 初めて聞きました。とても難しそう…(苦笑)。

宮崎 日本人では4人、国内では僕を含めてまだ3人しか習得していないものなんですけど、今、世界では急速に普及していて、ドイツのワールドカップで優勝したチームも取り入れていたらしいです。ゴールを決めたときに指でZマークを作っていたんですが、ジャーナリストたちはそれが何を意味しているのかわからなくて、いまだに「ミステリーのZ」と言われているとか。

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▲「ジャーナリストたちの間ではいまだに「ミステリーのZ」と言われているとか」


赤見 へぇ〜。それはどういうコンセプトのトレーニングなんですか?

宮崎 筋肉や、骨格だけではなく、脳神経学のレンズで身体を見ていく方法です。それによって、今まで解明されてこなかった不調の原因がわかったり、 痛みをとったり、筋力をつけたり、あらゆる自分の欲しい結果を最短で手に入れる事ができるんです。

 第三者に教えるために習得する人が多いんですが、僕の場合は、自分でその知識を得て、自分の体に応用したいなと。たとえば、先ほどお話した側弯症を治したり、柔軟性を高めたり、自分がほしい可動域を手に入れたりとか。

赤見 自分の体を知って、機能を高めることが目的ということですね。

宮崎 そうですね。眼や前庭器官などを含めて自分の体がうまく機能するようになれば、馬乗りの技術を高められるのはもちろん、レースでももっと周りが見えるようになったりとか、いろんなことを感じられるようになります。「R-phase」という最初の資格を勉強した後にそれを実感しました。

赤見 なるほど〜。なぜこの時期だったのですか?

宮崎 今回僕は「I-phase integration phase」という二つ目の研修に行ったのですが、そのコースが提供されているのがこの時期だったんです。ちょうど2場開催で乗り馬も少なくなる時期だったので、日本でウジウジしているくらいなら行ってしまおうと。

赤見 あ、2回目なんですね。それはいくつか段階のある資格なんですか?

宮崎 はい。更に進むと脳神経学そのものをより深く勉強することになります。

赤見 ところで、英語はいつ勉強されたんですか? リサ・オールプレス騎手とも普通に英語で会話をしていたから、ちょっとビックリしちゃって。

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▲「オールプレス騎手とも普通に英語で会話を」英語力に驚く赤見さん


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▲オールプレス騎手と通訳なしで会話


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宮崎 25歳のときに自分を変えたいなと思って、「Z-health」のコースを取ることを目標に英語の勉強を始めたんです。その矢先に落馬してケガをしたので、この機会にガッツリ勉強してやろうと思って。

赤見 学校に通ったりして?

宮崎 いえ、スカイプを使ったりして独自で勉強しました。

赤見 すごい! 自力で習得されたんですね。

宮崎 はい。明確な目標があったので、そこは我ながら頑張ったと思います(笑)。

(次回へつづく)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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