◆難しさ、荒れ方が断然トップのG1 まだまだ能力の不透明な馬ばかり。距離の適性も、脚質も不確か。展開の予測もむずかしい。
17番人気のピンクカメオが勝ち、18番人気のムラマサノヨートーが3着した2007年の3連単973万円台を筆頭に、238万円台、123万円台など、JRAの「G1競走3連単高額配当ベスト20傑」に入る高額配当が4つも並んでいる。G1は昨年まで22競走だった。高額配当ベスト20になど一度も顔を出さないG1が約半分もあるのに対し、最多の4レースもベスト20入りしているのだから、難しさ、荒れ方断然トップが、このNHKマイルCである。この10年間に3着以内に快走した30頭の中に、2ケタ人気の伏兵が計「10頭」も含まれる。平均すると、毎年1頭は2ケタ人気が関係するということか。
軸(中心)に据え買いたい馬が見つかったら、どういう種類の馬券を買うかが問題である。こんなむずかしいレースで狙いの馬が台頭してくれたのに、買った馬券はみんな外れ、という失敗は避けたい。最低、単・複は買っておく手がある。軸馬が人気薄の必要はない。あのクロフネが快時計で快勝した時の2〜3着馬は、12番人気と、13番人気馬だったという歴史がある。
抜けた力量馬はいないと考えられ、人気は割れている。多くの馬にチャンスがあるとなると、この距離では複数の馬の仕掛けが早くなる公算大。待ちに徹しては、勝機は逃げてしまいかねない。
12月の中山1600mで、あの時期に古馬1000万級のレース内容で迫力勝ちした
アウトライアーズ(父ヴィクトワールピサ)から入りたい。3月のスプリングSではウインブライト(皐月賞6番人気)の2着にとどまったが、厳しい攻防になったマイルのひいらぎ賞では完封している。スピード色の濃い母方に父ヴィクトワールピサの底力が加わったこの馬、体型が母の父フレンチデピュティに非常に似ているあたり、1800mも、2000mもこなしているが、本質はマイラーだろう。フレンチデピュティに似ているのは大きい。
この種牡馬はNHKマイルCの代名詞でもあるピンクカメオの父であり、13年の10番人気での勝ち馬マイネルホウオウの母の父である。昨年の12番人気で3着のレインボーラインにも、ほかに最近10年の3着以内馬のインパルスヒーロー、クラリティスカイ、ミュゼスルタンにも、母の父や、父方祖父として登場する。フレンチデピュティは、波乱のNHKマイルCの隠れたカギを握る種牡馬に近い。この種牡馬の特徴は、混戦向きの地力の差し=追い込みである。
今年、フレンチデピュティの血を持つのは、3番アウトライアーズ(母の父)、11番
オールザゴー(母の父。ピンクカメオの内田博幸)、16番
アエロリット(父方祖父)、18番
ガンサリュート(父も、母の父もNHKマイルの勝ち馬)の4頭。なんとなく関係するように思える。