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POG取材とタイミングの話(須田鷹雄)

  • 2017年05月09日(火) 18時00分


◆早期デビュー・早期入厩馬に隠れた大物がいる

 ネタ探しに競馬場をうろうろしてみたが、これといった収穫はなかった……。国枝師に伺ったところ母フサイチパンドラ(牝/父ロードカナロア)あたりは早くに一回入れるような話だったが、使うかどうかは入れてみてからということ。他にも2頭ほど伺ったのだが、絶対に早期デビューという感じではなかった。

 その国枝師とは「最近はPOG本の取材が早すぎてすみません」という話も。2歳戦開始が前倒しされ、本が出るタイミングも前倒しされ、取材も前倒しに。まだ調教師がじっくり2歳馬を見に行っていないようなケースもあり、このあたりは考えていかなくてはならない。

 タイミングといえば、社台ファーム勢はPOG本の取材時期に既に山元トレセンへ移動している馬も多く、そこが盲点になりがち。赤本は後藤さんの原稿でもその他でもその盲点を埋めるよう努力しているのだが、それでも「あ〜、これシルシ打っとけば」みたいな馬は出てくる。母アオゾラペダル(牡/父ダイワメジャー・高木)は500キロ超で武骨な体のラインをしたダイワメジャー産駒という、社台ファームの育成に合うタイプ。既に東京芝1400mでのデビューが内定しているが、この距離というのも極端なスローになりにくいという点でよい。

 ちなみに、「山元行っちゃった組」については、赤本をよーく見ると「あ、これ載ってたんだ」という大物血統もいるので、宝探し的に楽しんでいただきたい。

 もうひとつ、トレセン絡みで今年の話題といえば、堀厩舎が2歳馬を早めにトレセンへ持ってきていること。まさかというような大物血統が入厩している。

 これについてはノーザンファームで聞いたところ、トレセンの環境に慣らすことに主眼を置いた厩舎の試みで、デビューに直結するものではないとのこと。厩舎と牧場で、その馬に関する意識を共有する意図もあるという。ともあれ現3歳世代の成績をふまえて堀師が考えた戦略なので、その結果は楽しみというか、興味深い。

 いったん入れたノーザン育成馬について、4月取材時の牧場コメントでは、母メジロフランシス(牡/父スクリーンヒーロー)が「使うのは秋。いったん北海道まで戻るかも」。母アイランドファッション(牡/父ディープインパクト)は「もともとは10月東京くらいのイメージ」、母アパパネ(牡/父ディープインパクト)は「夏に使うタイプの馬ではない」といった具合だから、前述した話の趣旨もお分かりいただけるだろう。それでも一度トレセンの土を踏んだ馬は人気になると思うので、敢えてお試し入厩がドラフト後になる馬、あるいは早期入厩をしない馬に賭けてみるという手もあると思う。

 ちなみにさきほどの3頭だと須田は母メジロフランシスに赤本の◎を打ったのだが、○にした母アイランドファッションも有望な素材。ノーザンファーム早来・木村厩舎での取材によると上にはノドが弱い馬がいたがこの馬はその不安がなく、ハロン15から終い14くらいまで放してもケロっとしているとのことだった。「隠れたクラシック候補」と言われていたが、クラシック候補であるかどうかより、隠れてるのかどうかのほうが問題かもしれない。人数にもよるが、ドラフト1〜2位で消える馬だろう。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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