おじゃ馬します!/東奈緒美・赤見千尋

宮崎北斗騎手(2)『新トレーニングの効果を実感!レース中の動きに驚きの変化』

2017年05月15日(月)12時01分

注目数:19人
おじゃ馬します!

▲身体に関する常識が変わる!? 「z-health」とは具体的などんなものなのか


「z-health」という機関でコンディショニングの方法を学ぶために渡米していた宮崎北斗騎手。世界中で急速に広がっているという、この脳神経学の応用法は「様々な身体に関する常識を変えてしまうアイディア」だと宮崎騎手は言います。帰国してまだ1か月ですが、実際、レース中の動きにも変化を感じるそう。今回は「z-health」の具体的な部分に迫っていきます。(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

人間の脳は、一定期間使わない部分があるとその機能や存在自体を忘れていく


赤見 「z-health」というものについてもう少しお聞きしていきたいんですが、受講生はどれくらいいるんですか?

宮崎 僕がこの春に受講した「I-phase integration phase」というコースは40人くらいでしたね。

赤見 やはり世界各国から来ていらっしゃる?

宮崎 いえ、今回はアメリカやカナダの人がほとんどで、アジアからは僕だけでした。

赤見 完全なアウェイ状態からスタートされたんですね(笑)。ちなみに、受講生はどんな方たちなんですか? やっぱりスポーツ選手とか?

宮崎 アスリートでは、全米のレディーストライアスロンチャンピオンのDanielle Mackさんがマスタートレーナーの資格をもっています。あとは、トレーナーでジムを経営されている方とか、整体師とかセラピストとかが多いです。

赤見 なるほど。やはり「体」と向き合う職業の方にとっては注目の分野なんですね。あの〜、先ほどからいろいろとご説明いただいて、正直、わかったようなわからないような感じなんですが(苦笑)、実際、授業ではどんなことをされるんですか? できるだけ具体的にご説明いただけると…。

おじゃ馬します!

▲「やはり“体”と向き合う職業の方にとっては注目の分野なんですね」


宮崎 座学と実際に動いて行うクラスが交互にあるような感じです。理論を先に勉強しながら、実践で理解していくスタイルなのですごく解りやすいです。内容としてはひとつひとつの関節、視機能、前庭器官、それぞれの解剖学や神経のルート、それに対するトレーニングと何が必要かの見極め方を自分達の身体で確かめていきます。

赤見 そうなんですね。まだ帰国して日は浅いですが、実感としてどんな変化がありますか?

宮崎 なかなか言葉で伝えるのは難しいんですけど…、こんな感覚で馬に乗れるんだっていう感覚の上昇度合いがすごいですね。その前の半年、1年と比べると、こんなに変われるんだっていうくらい。ただ、馬乗りは自分の体だけではなく、馬上でいろいろなことを感じて上手くなっていくものだと思うから、まだまだこれからなんですけどね。

赤見 具体的にどんな変化が?

宮崎 レース中、以前より周りが見えるようになりました。心の余裕とか言う話ではなく、落馬したときに後頭葉にくも膜下出血を発症したんですけど、その影響もあって、目の動きにちょっと制限がかかってしまっていたんです。とはいえ、普通なら気づかないレベルだと思うんですけどね。でも、「z-health」を活用してリハビリしたことで、視野が広がって、視機能全体が上がりました。

赤見 へぇ〜。そんな効果もあるんですね。それは意識の問題? それとも動き?

宮崎 ん〜、言葉で説明するのが難しいところなんですけど(苦笑)。

おじゃ馬します!

▲「言葉で説明するのが難しいんですけど、視野が広がって視機能全体が上がりました」


赤見 ですよね〜(笑)。

宮崎 人間の脳は、一定期間使わない部分があるとその機能や存在自体を忘れていくんです。それはあらゆる関節の動きだったりするんですけど、そういった物をトレーニングで改善していきます。けど、実践で自分の体に意識を向けることは色々な点において理にかなってないんですよね。だから、馬に乗りながら、たとえば足首の関節の位置はこうしたほうがああしたほうがとか考えてしまうのは、実はあまり良くないことで。

赤見 脳神経を理解することで、無意識にベストな状態に持っていけるのが一番いいということですか?

宮崎 バランスを保つなど、あらゆる動作の70%は脳の自動制御なんです。それには脳が必要な動きを予め認識しておく必要があるんですけど、さっき言ったように効率的な動きをするのに必要な関節の一部分を忘れてることが多いんです。なので思い出させる作業が必要です。そういった感覚情報は自然と全身に影響するので。

 たとえば、体が硬くて前屈ができないとしたら、踵の骨の動き方を知らない事に原因があったり。踵の骨って、靴を履いているからあまり動いていないんですよね。だから、踵の骨を動かすトレーニングをしたら、一気に前屈ができるようになったりとか。そんな風に筋力も一瞬で上がります。

赤見 へぇ〜、なんだかすごい世界。

宮崎 踵の骨ひとつをとっても、使えなくなっている事が多いんです。あらゆるものがパフォーマンスの妨げになります。

 あとは、脳の回路を特定の方法で見ていくと、痛みに関しても様々な解決法が分かったりします。脳幹がちゃんと機能していると痛みの神経の認識を抑制してくれるので、その働きを活性化するために必要なのは反対側の対応する関節の動きだったり(笑)。なかなか伝わりづらいと思いますが、まぁそんなようなことを勉強してきました。

赤見 なるほど〜。体に起こるすべての事象は、脳神経からくるという解釈でいいんですね。

宮崎 そうです。様々な身体に関する常識はこれから変わっていくと思います。外科的なものは別として、リハビリとか予防医療の業界では、おそらく20年後には常識になっているんじゃないですかね。だって、ほとんどの身体の問題を自分で治せちゃうんですから。

(次回へつづく)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コラムニストプロフィール

東奈緒美・赤見千尋
東奈緒美・赤見千尋
東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

東奈緒美・赤見千尋『おじゃ馬します!』バックナンバー