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見逃せないレースが目白押しのアイルランド競馬

  • 2017年05月24日(水) 12時00分


◆「エイダン・オブライエン厩舎のガリレオ祭り」となる公算大

 日本は、今週日曜日に迫ったダービーの開催に向けて、大きな盛り上がりを見せているが、日本同様に競馬ファンが今週末を心待ちにしているのが、欧州のアイルランドだ。今週末にカラ競馬場で行われる開催に、見逃せないレースが目白押しなのである。

 まず、27日(土曜日)に組まれているのが、G1愛二千ギニー(芝8F)である。ここに、前走のG1英二千ギニー(芝8F)を含めて、デビュー2戦目から6連勝中のチャーチル(牡3、父ガリレオ)が登場するのだ。

 2歳時の昨年、G1デューハーストS(芝7F)、G1ナショナルS(芝7F)という2つのG1を含む4重賞を制し、欧州2歳牡馬チャンピオンとなったのがチャーチルである。父がガリレオということから、二千ギニーの前売りでも、ダービーの前売りでも、シーズンオフの間1番人気の座に居続けた同馬は、まずは今季初戦となった、5月6日にニューマーケットで行われたG1英二千ギニー(芝8F)を快勝。その後、2冠を目指してダービーに挑むのか、このままマイル路線を歩むのかが、大きな焦点となっていた。

 管理するエイダン・オブライエン調教師から、「次走は愛二千ギニー」という発表があったのは21日のことだった。LRディーS(芝10F70y)の勝ち馬で、前売り1番人気の座をクラックスマンと争っているクリフスオブモハー(牡3、父ガリレオ)を筆頭に、オブライエン厩舎にはダービーに駒を進める可能性のある馬が6〜7頭おり、わざわざチャーチルをそこにぶつける必要がないこともあるが、母ミャウが芝5Fの準重賞グランジコンSの勝ち馬であることをはじめ、チャーチルの牝系はスピード色が濃く、12Fにぶつけてこれだけの馬の経歴に傷をつける結果になるのは得策ではないとの判断もあったものと推察される。

 4.1/2馬身差で制した5月14日にカラで行われた一般戦(芝8F)を含めて、ここまで2戦2勝で来ているアイリッシュコレスポンデント(牡3、父テオフィロ)、G2UAEダービー(d1900m)勝ち馬サンダースノー(牡、父ヘルメット)あたりが敵になりそうだが、2倍を切る1番人気になるのは確実で、そしておそらくは無事に白星で通過することになるはずだ。

 続いて、28日(日曜日)に行われるのが、古馬による10F路線の基幹G1タタソールズGC(芝10F110y)である。そして、ここに本命馬として登場するのが、2016年のカルティエ賞欧州年度代表馬のマインディング(牝4、父ガリレオ)だ。

 これもエイダン・オブライエンが管理するマインディングの、昨年の成績は、7戦5勝。時系列にそってご紹介すると、G1英千ギニー(芝8F)、G1英オークス(芝12F10y)、G1愛プリティポリーS(芝10F)、G1ナッソーS(芝9F192y)、そして、リブチェスターを筆頭とした牡馬の一線級を撃破したG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)と、8Fから12Fまで網羅しつつ、5つものG1を制している。2歳時にも2つのG1を制している同馬の、通算G1勝利数がどこまで伸びるかは、今年の欧州競馬の焦点の1つとなっている。

 今季のマインディングは、5月1日にナースで行われたG2ムーアズブリッジS(芝10F)で始動。G3愛ダービートライアルS(芝10F)勝ちの実績のある牡馬のムーンライトマジック(牡4、父ケープクロス)に3.1/2馬身差をつける完璧な競馬で勝利を収め、今年最初のG1に臨むことになった。G1タタソールズGCは、マインディングを見るレースになりそうである。

 更に、28日(日曜日)のカラ競馬場では、G1愛千ギニー(芝8F)も組まれている。ここも2倍を切る1番人気が予想されるのが、G1英千ギニー(芝8F)勝ち馬ウィンター(牝3、父ガリレオ)である。

 この馬もチャーチル同様に、ここと英オークスを両天秤にかけていたのだが、実は天秤は当初から、こちらの方に大きく傾いていた。というのも、G1英千ギニーはオブライエン厩舎の親子丼で、英オークスは同競走2着のロードデンドロン(牝3、父ガリレオ)で獲りに行き、ウィンターはこちらに廻るという戦略は、自ずと透けて見えていたのである。

 G1愛千ギニーにはこの他、昨年9月のG1モイグレアスタッドS(芝7F)4着馬で、5月1日にナースのG3アサージS(芝7F)を制して重賞初制覇を果したレハナ(牝3、父ダークエンジェル)、今季初戦のG3愛千ギニートライアルS(芝7F)でウィンターを2着に退けて重賞初制覇を果した後、G1英千ギニーは10着と大敗したハイドランジア(牝3、ガリレオ)らが出走予定だ。

 G1英千ギニーが重賞初制覇だったウィンターだが、1番人気だったロードデンドロンに勝負どころで進路がなくなる不利があったものの、同馬に2馬身差をつけた内容は素晴らしく、順当ならここも無事白星で通過することになりそうだ。

「エイダン・オブライエン厩舎のガリレオ祭り」となる公算大の、今週末のアイルランドの競馬にも、ぜひご注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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