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距離短縮で想像以上の強さを見せたホワイトフーガ/さきたま杯・浦和

  • 2017年06月01日(木) 18時00分

撮影:高橋 正和




ホワイトフーガにとっては好条件で戦える数少ないレースだった


 ホワイトフーガの前走、マリーンCを勝ったあとの蛯名正義騎手の話として、「かかるぶん、1800mより1600。1400ならもっといいかもしれない」という話があったが、そのとおりのレースになった。そのとおりというより、JRA勢は自身も含めて4頭ともがGI/JpnI勝ち馬で、そのメンバーを相手に4馬身差の圧勝は、蛯名騎手にとっても、高木登調教師にとっても、予想していた以上に強いレースだったのではないだろうか。

 昨年このレースでの5着は、スタートで大きく躓いて出遅れてしまったため参考外。それ以前となると、1400m戦はさらに1年前、3歳時の端午Sを勝ったとき。3歳1月の500万下での勝利もあり、これで1400m戦は4戦3勝となった。仮に1400mがベストの距離だとすると、牝馬限定のダートグレードは1600m以上のレースしかないため(2歳戦は除く)、レースの選択は意外に難しい。

 ダート牝馬の頂点、JBCレディスクラシックは開催場によって距離が微妙に変わり、その舞台が大井になると、前哨戦のレディスプレリュードとともに距離は1800m。折り合いに難があるホワイトフーガは、ダートの女王という立場ではあるものの、その距離に苦しんできた。地方競馬には1400mのダートグレードはいくつもあるが、ほとんどがJpnIII。実績馬に厳しい別定重量戦、もしくはハンデ戦で、GI/JpnI勝ち馬となると牝馬でも57kgとか58kgを背負わされることになり、いくら得意の距離といっても条件が厳しい。別定条件がそれほど厳しくないJpnIIのさきたま杯は、牡馬相手とはいえ、ホワイトフーガにとっては好条件で戦える数少ないレースだったというわけだ。

 中央の芝短距離で実績を残してきたカオスモスが外めの10番枠からハナを主張し、アンサンブルライフ、ラブバレット、ニシノラピートと、交流重賞としてはめずらしく地方勢が先行した。前半3F通過36秒3は、昨年ソルテとコーリンベリーが競り合っての36秒5より速いペース(ともに良馬場)。前半6番手追走とはいえ、ホワイトフーガにとってはかかる心配がなく、おあつらえ向きのペースとなった。

 ホワイトフーガは3コーナー手前から仕掛けると、一気に先頭に立ったというだけでなく、あっという間に後続との差を広げ、そのセーフティリードを保っての圧勝となった。

 後半3Fのラップは、11.3-12.4-13.1で、レースの上がり3Fは36秒8。残り600から400mのところで11秒3というラップを記録しているが、過去のさきたま杯のラップを見ても、ここで仕掛けて一気にペースアップできた馬が勝ち馬となっていることが多い。

 ホワイトフーガはまさにそのパターンで勝ったわけだが、驚くべきは自身の上がり36秒4というタイム。残り400mではすでに先頭に立っていたため、残り400mからのラップタイム12.4-13.1はホワイトフーガが記録したもの。しかし残り600mの地点ではまだ先頭に立っていなかったため、レースの上がりとホワイトフーガの上がり3Fのタイム差0秒4はここで縮められており、つまり計算上では、ホワイトフーガは残り600mから400mの地点で、10秒9という驚異的なスパートを見せていたことになる。あらためて、かかる心配がない1400m戦なら相当に強いレースをするところを見せた。

 4馬身差で2着はモーニンだが、スタートがまるで去年のホワイトフーガを見るようだった。躓いてダッシュがつかず、ベストウォーリアよりうしろの6番手あたりからの追走。勝負どころでは、ホワイトフーガを追いかけるように位置取りを上げていったが、いかにも前半の位置取りが悪すぎた。互角のスタートを切ってホワイトフーガより前の位置からレースを進めていれば、もしかすると直線はホワイトフーガと追い比べになっていたかもしれない。かしわ記念では逃げて3着で復調気配を感じさせたが、今回も完全復活とはならず。運がなかった。

 ベストウォーリアは5番手を追走し、3コーナー手前でホワイトフーガが一気に仕掛けていったタイミングで追い出したが、あっという間に置き去りにされてしまった。かしわ記念(4着)は中間挫跖の影響で仕上がりきらずということだったが、今回もまだ完調とはいかなかったようだ。

 地方最先着は4着のアンサンブルライフ。ハイペースを2番手で追走し、勝ち馬からは1秒4差。3着のベストウォーリアに1馬身差は健闘といえる。

 3年連続岩手から参戦のラブバレットは5着。1番枠ゆえ逃げるかとも思われたが、カオスモスのダッシュが速く控えて3番手から。コーナーを4つ回る1400mはペースの緩急が大きい。予想でも書いたが、この馬は平均的なラップを刻む、コーナーが2つの1200mか1400mのほうが流れに乗れる。むしろJRA勢のメンバーが楽な北海道スプリントCのほうがチャンスがあったのではないだろうか。2年連続3着という地元のクラスターCにあらためて期待だ。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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