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【ダービー回顧】大舞台での敗戦を糧に「これからミサイルマンと一緒に成長していきたい」

  • 2017年06月19日(月) 18時01分
ギャロップ翼

▲自身2度目の晴れ舞台・東京ダービー(SI)を振り返る(撮影:武田明彦)


2歳時からコンビを組むミサイルマンと挑んだ東京ダービー(SI)は8着に完敗。現時点での力の差を認めながらも、自身のさらなる成長を誓って同馬と次のステージに向かいます。さらに週末を利用し参戦した韓国&佐賀遠征の振り返りも!(取材・文:赤見千尋)

厩舎、馬、森(泰斗)さんの想い…「すべてが噛み合ったからこそ」


――まずは6月7日(水)に行われた東京ダービーから振り返っていただきます。ダービーという特別なレースでしたが当日の雰囲気はいかがでしたか?

笹川 やっぱり緊張感もありましたし、いつもとは違った雰囲気でした。ただ、去年一度経験しているお陰で、去年ほどは緊張せず自然体でいられたかなと思います。ミサイルマンも落ち着いていたし、雰囲気もすごく良くて。返し馬でもいい走りをしていたので、前走で気持ちを高め過ぎてしまったという反省点が活きているなと感じました。

――レースはキャプテンキングをマークする形で進みました。

笹川 キャプテンキングかヒガシウィルウィンの後ろを狙っていたので、思ったような位置が取れました。前走ではかなり引っ掛かってしまいましたけど、道中折り合いもスムーズだったので、「あとは伸びるだけだ」という感じで乗っていました。でも、ペースが上がった3コーナーくらいから、ついて行くので精いっぱいになってしまって。結局そこから伸びることができませんでした。その辺は2000mという距離の壁なのか、現時点での力の差なのかなと思います。それほど大きく負けているわけではないですけど、あそこで勝負するには、もう一段階成長が必要なのかなと。

――まだキャリア6戦ですもんね。

笹川 そうですね。すごくいいものを持っている馬で、先々もっと逞しくなってくれるんじゃないかと思います。デビューした時が425kgで、そこから1年で40kg近く成長してくれたことはすごいですし、まだまだ伸びしろがある馬ですから。精神的にもまだ幼い部分が残っている中で、上位争いはできなかったけれど、南関クラシック戦線を戦ったことはすごくいい経験になると思います。もちろん、僕自身もまだ成長途中ですから、これからまたミサイルマンと一緒に成長していきたいです。

――勝ったのは2番人気のヒガシウィルウィンでした。かなり強かったですね。

笹川 強いとは思ってましたけど、まさかあんなにあっさり勝つとは思わなかったです。2着のキャプテンキングも強い馬ですが、6馬身も差があったので。前走の羽田盃からさらに力がついているんだなっていうのは見ていて感じました。それに、森(泰斗)さんは“東京ダービーを勝ちたい”と前から言っていて、今年こそと宣言していましたし、羽田盃が終わった後のコメントで、「逆転できる」とも言っていたじゃないですか。それで実際に勝つというのが、本当にすごいなと。厩舎の方々の頑張りと、馬の成長と、森さんの想いと…、ダービーに向けてすべてが噛み合ったからこそ、勝つことができるんだなと感じました。

ギャロップ翼

▲全身全霊の騎乗でヒガシウィルウィンを世代頂点に導いた森泰斗騎手(撮影:高橋正和)


――森騎手がパドックで心臓を叩いていて、すごく緊張感が伝わって来ました。

笹川 ああいう仕草は見たことなかったので、緊張感は伝わりました。何度も言いますけど特別なレースですし、人気馬に騎乗した時のプレッシャーは相当でしょう。ミサイルマンもいい馬ですが、上位人気ではなかったですし、東京ダービーで1番人気2番人気というのは僕にはまだ想像ができません。

――いつかはダービー制覇という想いはありますよね?

笹川 もちろんです! 勝ちたいですし、毎年出たいレースですね。ただ、ダービーというのは“その時だけ頑張ればいい”というレースではなくて、いい馬と出会って、少しずつ階段を上ってたどり着くレースですから。新馬戦から戦いはすでに始まっているので、また新たな馬と出会ってダービーを目指したいです。その時には、今年経験させてもらったことが確実に活きて来ると思うので、いい経験をさせていただき、ミサイルマンにも関係者の方々にも感謝しています。

――続いて、韓国遠征についてお聞きします。キモンアヴァロンは残念ながら12着という結果でしたが、レースを振り返っていただけますか?

笹川 ちょっと気持ちの難しい馬なので、速い流れも合わなかったのか、最初にごちゃついたのがよくなかったのか、一度もグッと来る手ごたえがなかったです。せっかく遠征で乗せていただいたのに、残念な結果になってしまいました。

――2年ぶりのソウル競馬はいかがでしたか?

笹川 前半のレースから見てましたけど、2年前に行った時より確実にレベルが上がっていました。騎手のレベルもすごく上がっていて、これはうかうかしていられないなと、いい刺激を受けました。

■韓国遠征レースレポート


――続いては、佐賀所属のフジノカミワザのことをお聞きします。まずは5月28日(日)に佐賀競馬場で行われた九州ダービー・栄城賞。7番人気の低評価を覆して、半馬身差の2着に健闘しましたね。

笹川 前に大井にいて乗ったことがあった馬で、最大限力を出せればということだけを考えていました。馬がすごくがんばってくれて、あとちょっとだったんですけどね。オーナーには昔から可愛がってもらっていましたし、勝てなかったけどいいレースができて、素直に自信になりました。ただ…、6月18日(日)の高知優駿でも乗せていただいたんですけど、馬体故障で落馬中止となってしまいました。僕が大きなケガをしなかったのは、馬が助けてくれたお陰です。本当に本当に残念です。

――遠征自体は佐賀が久しぶりということでしたが、次の日曜日が韓国でしたから、5月22日から約3週間休みなしで騎乗していたんですね。

笹川 とてもありがたいことですが、体力的にはけっこうキツかったですね。唯一競馬がなかった土曜日も長距離移動だったので。レースには集中してましたけど、体力的に追いつかなかったのか最後は風邪を引いてしまいました。その辺りはまだまだ自分の足りないところです。これからもチャンスをいただけたらいろいろな場所に行きたいですし、もっと体力もつけて、しっかり体調管理して頑張ります!

※次回の掲載は7月3日(月)予定です

●笹川翼 / ギャロップ翼
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1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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