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活発な動きを見せる新種牡馬の産駒(村本浩平)

  • 2017年06月20日(火) 18時00分


◆「今後の生産界にとっても価値のある勝利」

 6月3日から今年のメイクデビューがスタート。4日のメイクデビュー阪神ではノヴェリスト産駒のヴァイザー(牡2、高橋亮)、メイクデビュー東京ではロードカナロア産駒のステルヴィオ(牡2、木村)と、今年、初年度産駒をデビューさせる新種牡馬の産駒が勝ち上がった。

 ヴァイザーは赤本の取材で、育成先であるノーザンファーム空港牧場を訪れていた際、たまたま管理をする高橋亮調教師にお話を聞かせてもらった馬であり、その時、

「仕上がりもいいですし、早めに勝ち上がれると思いますよ」

 との言葉を聞いていた。赤本の原稿は育成厩舎別に期待馬を取り上げているのだが、その際、管理をしていたA-1厩舎(ちなみに今年の日本ダービー馬となったレイデオロ(牡3、藤沢和)も手がけている)のオススメ馬としても、ヴァイザーを取り上げることができたのは、高橋亮先生の力強い言葉あってのこと。この場を借りてお礼を言わせていただきたい。

 この2頭だけでなく、今年の新種牡馬の産駒はメイクデビュー早々に活発な動きを見せている。18日のメイクデビュー東京ではへニーヒューズ産駒のムスコローソ(牡2、手塚)が優勝。2歳未勝利戦ではステルヴィオにメイクデビューで敗れたものの、先行して粘り込んでいたローズキングダム産駒のスプリングマン(牡2、黒岩)が、17日の2歳未勝利戦を1番人気に答えて勝利している。

 地方競馬に目を移しても、6月20日の時点でヘニーヒューズとエスポワールシチーが3頭の産駒で4勝をあげており、今年の新種牡馬では第一号となる勝ち上がりを、ホッカイドウ競馬でストロングキック(牡2、桧森)があげたストロングリターンが2頭の産駒で2勝。その他にもエイシンフラッシュ、サウンドボルケーノ、シルポートの産駒も勝ち上がりを見せている。

 ヴァイザーとステルヴィオが勝利した後、2頭の父が繋養される社台スタリオンステーション事務局の徳武英介氏と話をする機会があった。ノヴェリストは「芝中長距離の大物を送り出す種牡馬」との評価とはまた違った、2歳戦の早い時期、しかも芝1400Mにおける産駒の勝利。そしてロードカナロアも自身が圧倒的な強さを見せていた芝スプリントではなく、芝のマイルで余力充分の勝ちっぷりを見せてくれた。

 徳武氏も自身の現役における活躍とはまた違った、産駒2頭の勝利を喜んでいただけでなく、

「2頭共にサンデーサイレンスの血が入っていない種牡馬であり、今後の生産界にとっても価値のある勝利と言えます」

 とも話していた。

 近年、優れた成績を残している種牡馬は、その父系だけでなく、スクリーンヒーローやアドマイヤムーンのように牝系にまでサンデーサイレンスの血が入っている。その点、ロードカナロアとノヴェリストは、アウトクロスの配合馬を生産する際に格好の種牡馬であり、その上、ヴァイザーとステルヴィオ共に、母の血としてその名を残すサンデーサイレンスとの相性の良さも証明されたことで、生産者にとっては安心して配合できる種牡馬ともなっていきそうだ。

 こうなると、今年の新種牡馬としてだけでなく、サンデーサイレンス系種牡馬としても超大物と言える、オルフェーヴルの初年度産駒からも勝ち名乗りの知らせが聞きたいところ。今年のPOG取材でも、新種牡馬の中で「クラシック級」との言葉が最も多く聞かれたのがオルフェーヴルの産駒であり、ただ、メイクデビューを勝ち上がるのでは無く、来年のクラシックを意識させるような圧巻のレースを見せてもらいたい。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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