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好配合が光るミッキーロケットの半妹ダノンポピー

  • 2017年06月28日(水) 12時00分
アドマイヤツルギ(牡 栗東・須貝尚介 父オルフェーヴル、母リュシオル)
 母リュシオルは芝とダートで計3勝を挙げ、1000万クラスまで出世した。その全姉スリープレスナイトはスプリンターズS(GI)など3つの重賞勝ち馬で、その母ホワットケイティーディドは女傑ヒシアマゾンの4分の3姉にあたる良血。本馬は母方にNureyevを持つオルフェーヴル産駒。Nureyevはオルフェーヴルの2代母エレクトロアートと配合構成がよく似ているので、本馬はエレクトロアート≒Nureyev 3×3となる。父の全兄ドリームジャーニーの代表産駒エスティタート(17年京都牝馬S-GIII・4着)はこのパターンから誕生している。芝向きの中距離タイプ。

ヴェルスパー(牝 美浦・加藤征弘 父ロードカナロア、母ヴェルザンディ) 
 母ヴェルザンディは現役時代に芝1600mで2勝を挙げた。名馬ディープインパクト(三冠を含めてGIを7勝)の半妹で、ニュービギニング(07年毎日杯-GIII・3着)の全妹にあたる。ウインドインハーヘアの血は、息子のディープインパクトやブラックタイドを通じて広まっているが、昨今、牝系からの勢力拡大が目覚ましく、現3歳世代に限ってもレイデオロ(17年日本ダービー-GI)、アドマイヤミヤビ(17年クイーンC-GIII)、プラチナヴォイス(17年スプリングS-GII・3着)、ブルークランズ(17年カーネーションC-3歳500万下・2着)などが出ている。また、2歳世代からもスワーヴエドワード(1戦1勝)という有望株が早くも勝ち上がっている。本馬は兄姉3頭がいずれも未勝利だが、父が手堅いスピードを伝えるロードカナロアに替わったので期待できる。芝向きのマイラー。

シーシャンティ(牡 栗東・今野貞一 父ロードカナロア、母コイウタ)
 ミッキーラブソング(父キングカメハメハ/16年京都金杯-GIII・3着)の4分の3弟。母コイウタはヴィクトリアマイル(GI)とクイーンC(GIII)の勝ち馬で、ベールドインパクト(13年京都記念-GII・2着、京都新聞杯-GII・2着)の4分の3姉でもある。2代母ヴァイオレットラブはビハインドザマスク(01年スワンS-GIIなど重賞3勝)の半妹にあたり、近親にオメガヴェンデッタやマスクトヒーローがいる活力のあるファミリーに属している。本馬のロードカナロア×フジキセキという組み合わせは、Super Luna≒Marston's Mill 4×4が生じ、なおかつMr.Prospector 4×4というスピード型のクロスも生じる。4分の3兄が重賞2着と走っており、本馬もそのクラスを目指せる器だろう。

ダノンポピー(牝 美浦・尾関知人 父ダイワメジャー、母マネーキャントバイミーラヴ)
 ミッキーロケット(17年日経新春杯-GII、16年神戸新聞杯-GII・2着)の半妹。母マネーキャントバイミーラヴは現役時代、イギリスでナッソーS(G1・芝10f)3着という成績がある。母の父PivotalはNureyev系で、現役時代にナンソープS(英G1・芝5f)を制し、種牡馬としてはさまざまなタイプの産駒を出して成功を収めた。母の父としてはさらに素晴らしく、英愛ブルードメアサイアーランキングでは毎年上位を争う存在となっている。本馬は母方にCaerleonを持つダイワメジャー産駒。このパターンからはレーヌミノル(17年桜花賞-GI)、コパノリチャード(14年高松宮記念-GI)、ソルヴェイグ(16年フィリーズレビュー-GII、16年函館スプリントC-GIII)などコンスタントに活躍馬が出ている。好配合かつ血統背景もしっかりしているので、高い確率で走ってきそうだ。芝向きのマイラー。

ロングランメーカー(牡 栗東・池江泰寿 父エンパイアメーカー、母ミュージカルウェイ)
 ミッキークイーン(15年オークス-GI、15年秋華賞-GI、17年阪神牝馬S-GII)、インナーアージ(OP)、トーセンマタコイヤ(準OP)、ルールブリタニア(3戦1勝)など、ディープインパクトとの交配で誕生した兄姉4頭はすべて勝ち上がっている。母はドラール賞(仏G2・芝1950m)の勝ち馬。本馬の父エンパイアメーカーは、現役時代にベルモントS(米G1・ダ12f)などG1を3勝し、12年の米サイアーランキングで2位となった。米三冠馬American Pharoahや今年のケンタッキーダービー馬Always Dreamingの2代父でもある。エンパイアメーカー産駒はトータルの成績ではダートのほうが上だが、カイザーバル、ナムラアン、プラチナヴォイスのような芝馬も出している。本馬はサンデーサイレンスを持っていないものの芝向きに出る可能性が高い。父はDr.FagerとIn Realityのニックスを持っている。2つの血を結びつけているのはRough'n Tumble(Dr.Fagerの父、In Realityの母の父)で、母ミュージカルウェイはこの血を持っているので配合的にはおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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