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開幕!! 夏の中京は素質馬が眠っている/吉田竜作マル秘週報

  • 2017年06月28日(水) 18時00分


◆来春をにらむ素質馬が中京の地でデビューを迎える

 早いもので、今週から夏の中京開催が始まる。新馬戦も2開催目だ。実を言うと…って、いちいちもったいぶる話でもないのだが、意外なほどにこの開催から多くの素質馬がスターダムへとのし上がっていることをご存じだろうか?

 記憶に新しいところでは、今年のヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリードと、先週の垂水Sで見事4連勝を飾ったシルバーステートが一昨年の新馬戦(芝1600メートル)で激突。1番人気に推されていたシルバーステートを、差し切ったのがアドマイヤリードだった。当時、400キロにも満たなかった牝馬はその後、自らの走りで“本物”だったことを証明。一方、故障などで出世が遅れていたシルバーステートもようやく軌道に乗ってきた。かなり遅れてになるが、この新馬戦も、のちに“伝説”と認定されるのかもしれない。

 素質馬がこの中京開催に顔を揃えるのには理由がある。前述のアドマイヤリードやハープスターのデビュー(13年)に、この地を選んだ松田博元調教師は「直線までじっくりと運べるし、先々に向けてレースを覚えさせやすい」と、その理由を説明していた。3歳馬の頂点を決めるのは東京競馬場で行われるダービーとオークス。そこにつながるレースを覚えさせるという意味で、関西圏唯一の左回りの競馬場に素質馬が集まるようになったのだろう。

 今年もまた、来春をにらむ素質馬が中京の地でデビューを迎える。「ザッツPOG」でも取り上げたローズベリル(牝=父キングカメハメハ、母モルガナイト・高野)だ。ノーザンファームしがらきに取材に行った際に目に入った一頭。取材をともにした稲富菜穂もひと目で気に入ったようで、この馬とのツーショットを撮っていたほど。それほどの美形なのだが、見た目だけの馬ではないことを、栗東入り後の調教で証明してくれた。

 極悪馬場となった先週21日の坂路で4ハロン56.5-12.5秒と末脚をしっかり伸ばす好調教を披露。それも2本目の登坂でマークしたものなのだから2歳馬離れしている。この時期の牝馬のアドバンテージでもある完成度の高さに加え、力強さと気品も兼ね備える。新馬デビューの際には比較的慎重な発言が多い高野調教師が、この馬については「先週の動きで、これは(今週のレースに)使えるな、と。気性も問題ないですし、順調にきた」と、何ひとつ不安を口にしないほどだ。

 半兄ブラックスピネルが今年、東京新聞杯で重賞初制覇、半姉モーヴサファイアもオークス出走を果たすなど、活気のある血統。中京の直線を滑走路に、来春へ向けて名乗りを上げてくれるはずだ。

 一方、このローズベリルが出走予定の芝1600メートル牝馬限定戦(7月2日)について、「何か強いのが出るんですか?」と逆取材してきたのが、トロワゼトワル(牝=父ロードカナロア、母セコンドピアット)を管理する安田隆調教師だ。

「ウチのも調教に乗った福永君が、乗り味の良さを褒めてくれた。当初は目立たなかったけど、ここにきて動きが良くなってきましたよ」

 新種牡馬として注目されているロードカナロアを出した安田隆厩舎にとっては、この馬がその“トップバッター”。気合が入るのも当然だ。

 ちなみに担当するのも父と同じ岩本助手で、「お父さんも若い時は牝馬のような細やかな性格をしていたこともあって、面影はありますね。まだ緩さは残っていますが、乗り味は本当にいい。速いところにいくと2歳馬とは思えない走りをします」とこちらも力が入っている。

 CBC賞当日は牝馬クラシック、そして新種牡馬戦線を占う意味でも、重要な一戦となる中京芝1600メートル(牝)新馬戦にも、ぜひ注目してほしい。

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2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

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