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夏バテの兆候なく、ただいま絶好調の馬とは? 中京記念最終追い切り詳報

  • 2017年07月19日(水) 18時00分


個人的には物足りない印象のブラックムーン


 私がウマい馬券で◎を打った馬の担当厩務員にレースの話を振ると「レースの後はもうフラフラやったわ。よう走ってるけどな」と回顧。続けて「先週の中京は暑かったから、レースが終わって倒れている馬もいたみたい」とのこと。人間の熱中症はもちろんですが、馬も限界まで力を出し切ってしまうと、倒れる寸前ということもあるようです。

 そしてこれからは当日の暑さだけではなく、週中の夏バテにも要注意。19日の追い切りの様子を見ても、その兆候が感じられる馬が何頭もいましたし、実際に調教をせずに厩舎へ帰っていく「早退」も。その馬は次週以降の重賞を使う予定でしたが、放牧に出されるとのことです。

 逆に弾けるような動きを見せる馬もいて「具合だけは絶好調やね」と担当者も苦笑いするのですが、それまでの成績が二桁続き(笑)。せっかく追い切りを見ているのですから、これまでの成績は度外視して、ウマい馬券ではそんな馬も狙ってみたいと思います。

【中京記念/ブラックムーン】

 昨年9月の西宮Sを勝った時から、いずれは重賞、G1でも勝ち負けできる馬と思っていましたが、前走のオープン2勝目でそれが現実味を帯びてきました。馬込みが苦手なタイプだと思うので、直線馬群がばらけやすい中京芝1600mはうってつけの舞台でしょう。

 1週前のCWコースでの動きは上々。これで最終追い切りは西宮Sを勝った時と同じ、6F84秒くらいならと思っていました。しかし、単走ということもあってか、前半はかなり遅く、正味4F追い切りのような形。時計は6F90.6〜5F72.5〜4F54.7〜3F39.4〜1F11.8秒で終い重点。陣営としては予定通りだったようですが、個人的には物足りない印象。3コーナー手前で尻尾を上げる仕草を見せていましたし、馬の様子を見ていると、この時季が応えている。そんな感じもあります。

ブラックムーン(7月19日撮影)

ブラックムーンの追い切りは個人的に物足りない印象(7月19日撮影)


【中京記念/ダノンリバティ】

 昨年出走して、56キロで5着。今年も同じ斤量で出走するので、その評価に悩む人も多いはず。特に休み明けですから、人気するなら押さえ程度と考えるのが無難かも知れません。しかし「春を休ませてよかった」と音無秀孝調教師が話すように、昨年は大阪城S、六甲S、マイラーズCと3戦してここを使いましたが、今年は谷川岳Sのみ。これが今回の仕上げに好影響を与えたようです。

 サンライズノヴァと併せた7月8日の坂路では相手に遅れたものの、馬なりの手応え。その翌週は終い重点でしっかりと追われて、4F53.4秒の1F12.2秒。そして最終追い切りはしっかり負荷をかけたいということで、攻め駆けするレッドラウダとの併せ馬。4F50.5秒と速い時計を出すことができました。もともと最終追い切りは速い4F時計を出した時に勝利実績がある馬。ただいま絶好調といった感じです。

ダノンリバティ(7月18日撮影)

ただいま絶好調といった感じのダノンリバティ(7月18日撮影)


【中京記念/グァンチャーレ】

 昨年リゲルSで◎を打った時に勝ちきれず、それを北出成人調教師に話すと「やっぱり京都やねんなあ」と話していたので、中山のニューイヤーSは軽視して、洛陽Sで◎を打つことができました。栗東坂路でこれだけ動くのに、実戦の坂では甘くなるという不思議な馬ですが、今回の中京芝1600mは昨年の豊明Sで2着。しかもメンバー最速上がりです。

 そういったコース実績以上に推せるのは状態の良さ。最終追い切りでは坂路で2F24.3秒、その内訳が12.2秒、12.1秒というラップの踏み方。坂が甘くなる馬とは思えないラップですが、とにかく調子が良いことには間違いないと思います。1週前にはCWコースで7Fから時計を出していますし、状態に関しては信頼して馬券を買うことができそう。

【中京記念/ピークトラム】

 昨年の2着馬ですが、当時は谷川岳Sを勝っての出走。6番人気が低評価だった印象もありますが、今年は同じ谷川岳Sが8着。それ以前の成績も昔のような勢いはなく、個人的には印を打つ気は全くないまま、最終追い切りを見ていました。

 武豊騎手が跨って、CWコースでの併せ馬でしたが、向正面ではラップが遅く、それを嫌がる素振りを見せて頭を振る仕草。やっぱり無印だなって思っていると、最後の直線では鋭い伸びを見せて先着。溌剌とした動きを見ていると、無印というわけにはいかないかも知れません。

ピークトラム(写真奥・7月19日撮影)

ピークトラムを無印というわけにはいかないかも知れません(写真奥・7月19日撮影)


【福島テレビOP/ダノンメジャー】

 ハナを切る競馬なら、そう簡単には止まらないタイプ。今回は同型もいるだけに、その出方次第でハナに立てない可能性はありますが、すんなりと競馬をするという前提で評価しなくてはいけない馬。

 最終追い切りはCWコースで単走でしたが、コーナー4つをしっかりと回ってくると、今回の競馬がイメージできる走り。当然、道中のラップは実戦よりかなり遅くなりますが、ゆったり入って、後半しっかりとまとめてくる走りは、福島芝1800mで好走するイメージが湧きます。あとは57キロや競馬場までの長距離輸送、これらをきちんと克服できるかどうかでしょう。

ダノンメジャー(7月19日撮影)

ダノンメジャーの追い切りは今回の競馬がイメージできる走り(7月19日撮影)


◆次走要注意

・7/16 2歳新馬【ゼットジガンテ】(6人/6着)

 上位2頭が強い競馬をしたため、この6着は地味に見えるかも知れません。しかし追い切りではしっかり動いていましたし、メンバー中3位の上がりをマークした内容は評価できます。個人的にはマイルくらいの距離がベストのような気がしています。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切り栗東坂路4F目最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳上500万下牝【ジュンテオドーラ】

 芝では勝ち切れず、前走がダートでの勝ち上がり。ただ素質の高さは一級品で、それを感じさせてくれた最終追い切りの動き。まだ状態としても7分程度だと思いますが、500万下ならこの状態で十分というレース内容を期待しています。

ジュンテオドーラ(7月19日撮影)

素質の高さを感じさせたジュンテオドーラの最終追い切り(7月19日撮影)


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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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