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父譲りの成長力と破壊力/中京記念

  • 2017年07月22日(土) 18時00分


◆スピード記録は、再現される可能性がある

 高額条件の芝のレースが少ないため目立たないが、今期の中京の芝は高速コンディション。2週前の芝1600mでは、2歳の未勝利戦で「47秒6-46秒6」=1分34秒2の2歳コースレコードが生まれ、古馬1000万条件では「45秒6-47秒1」=1分32秒7の古馬のコースレコードが記録された。

 Bコースに移った先週も、古馬1600万条件の2000mが「60秒1-58秒2」=1分58秒3のコースレコードである。それも各馬ともに少々芝の傷んだ内を避け、終始コースロス(距離損)がありながらであり、また、1分32秒7のレコード以外はレコードになるような速い流れではないから、実際は数字が示す以上の高速馬場の可能性がある。

 良馬場のここ2年は1分33秒台中盤の決着タイムだが、天気予報通り雨が降らないと、「1分32秒前後」のコースレコードになる公算大だろう。

 ブラックムーン(父アドマイヤムーン)の阪神1600mの米子Sのレコード1分31秒9は、全体のレースバランス「47秒1-44秒8」で生まれたものであり、形とするとスローペースに近い。1000m通過は58秒5-レース上がり33秒4-11秒6だった。

 ブラックムーンはこの流れを最後方から追走し、直線は外に回って上がり「32秒4」。

 レースの後半600mは「10秒7-11秒1-11秒6」なので、どうみてもブラックムーンは10秒台のラップを2回踏んでいる。画面からの推定なのでコンマ1〜2の誤差はあっても、ブラックムーンの後半600mは推定「10秒6-10秒6-11秒2」=32秒4だった。

 ハイペースを追走してのレコードでも、先行馬の崩れに乗じてのレコードでもない。あの週の阪神の超高速の芝コンディション(古馬500万下の2000mがレコード級の1分57秒9)に、ブラックムーンの高速フィニッシュ可能な爆発力が重なったのである。

 このスピード記録は、現在の高速の中京でそのまま再現される可能性がある。予測される平均ペースは追走に負担がかからないから望むところか。

 左回りでは、昨秋のキャピタルSを米子Sと同じようなレース運びで、大外から突き抜けて3馬身差の楽勝がある。デビュー3戦目に中京のマイルでも3着があるから、コースに死角はない。追い込み一手の戦法そのものに不安定という心配は付きまとうが、人気でも、父アドマイヤムーン(宝塚記念、ジャパンCなど)譲りの成長力と破壊力を示しはじめたブラックムーンから入りたい。

 波乱の重賞だけに相手は絞りにくいが、調子絶好と思えるグァンチャーレは入れておきたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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