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セレクションセールを振り返って(須田鷹雄)

  • 2017年07月25日(火) 18時00分


◆価格の数字に惑わされないように気をつけたい

 1週遅れの話になるがセレクションセールが終了した。セレクトセールの狂乱がそのまま続いた印象で、本体価格3000万円以上・税込み3240万円以上馬が22頭誕生(価格は以下すべて税込み)。高くなりはじめていた昨年でも13頭、一昨年は2頭、2011年は震災の影響もあったろうが最高価格馬が2520万円、2010年も3000万円台無しだから、景気が良くなったものだ。

 ただ、賞金が上がったわけではないので、馬代金が上がったぶんは馬主の負担となる。セレクションセールで取引された現3〜13歳世代(当歳セッション含む・その後別なセールで取引された馬も含む)の馬について中央における1走あたり賞金を見ると1頭あたり賞金は1254万円。まだこれから稼ぐ3歳世代で434万円、既に評価がほぼ確定した12歳世代で1249万円、13歳世代は1190万円。ホッコータルマエのように地方で稼いだ馬もいるので実際にはもう少し上だが、贔屓目に見ても当たり世代で1300〜1400万円というところだろう。

 それに比べると、馬代金が中間値で1512万円という今年の価格はいかにも厳しい。ちなみに昨年の価格中間値は1134万円、一昨年は1080万円、2010年や2011年は840万円(消費税5%)だった。

 こういう事態になると、来年POGで選ぶほうも冷静さが必要だ。プロフィルを見る際に価格の数字に惑わされないように気をつけたい。また今回は、産駒の評価が定まっていない種牡馬の産駒が積極的に購買された印象がある。価格上位もロードカナロアやオルフェーヴル、エイシンフラッシュといった初年度産駒が2歳の種牡馬が多く、初年度産駒が1歳のグランプリボス産駒も4104万円で取引された。

 そのチャレンジが結果に繋がる可能性もあるが、この価格構成だと既成勢力の種牡馬、既に十分結果が出ている種牡馬のほうが良いようにも思う。ダイワメジャーはこのセリとの相性がそれほどでもないのだが、長年セレクションのエースだったマンハッタンカフェ、ダートもこなせるクロフネは計算がたつ。

 もうひとつ、これを書いては身もフタもないのだが、セレクション組を指名しすぎるのも避けたい。3歳世代も既にPOG期間の評価は確定しているので3〜13歳の11世代を対象に見ると、POG期間にJRAの競走に出走した馬は1548頭。そのうち期間内にJRAの競走を3勝以上したのは9頭のみ。1世代に1頭いるかいないかだ。期間内にJRAの競走で3000万円以上を稼いだのは25頭で世代2頭強。イメージ以上に厳しい戦いである。高いといっても3000万円台、セレクトセールなら普通の値段なので、当然ではあるのだが。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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